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水鏡推理Ⅳ 松岡圭祐
シリーズ4作目。これまで読んできた著者のシリーズがみな完結してしまい、今読み続けているのはこのシリーズだけになってしまった。そうした状況のなか、出版社が変わったことが影響しているのかどうか判らないが、作者の作風がどんどんアイデア中心の軽い読み物から、メッセージ性の強い重厚なものになってきている気がする。本書も一つの事件を追いかける主人公の姿がじっくり描かれているが、これは作風というのとは別の要因があるのかもしれない。これまでの完結していったシリーズの主人公がどちらかといえば1つの分野で超人的な才能を発揮していたのに対して、本シリーズの主人公は優秀で推理力に長けているとはいえ、超人的なスピードで謎を解明していくというほどではない。そうした主人公の特性から、どうしても話はゆっくりと進まざるを得ない。また、作品に社会問題や時事問題を巡るメッセージを付与しようとすると、説得力を持たせるためにはどうしても色々と緻密に書かなければいけない話もでてくるだろう。出版社の変化、主人公の特性、作風の変化、どれが最初かは判らないが、そのあたりがちょうどうまく絡みあって、このシリーズに新しい魅力を引き出していることは間違いない。(「水鏡推理Ⅳ」 松岡圭祐、講談社文庫)
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