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ワーカーズ・ダイジェスト 津村記久子

もう著者の本は7,8冊目になるが、1冊読むたびに著者の新しい側面を発見するような感覚があってとても嬉しい。ジャンルとしてはお仕事小説とか私小説といったかなり狭い範囲の作品ばかりなのだが、何故か読むたびに新しいものに触れているような感覚にとらわれる。本書は、暗闇の中を手探りで進むようなやるせない初期の作品と、暗いトンネルを突き抜けたような最近のユーモラスな作品のちょうど中間に位置する作品のような気がする。ウィキペディアで作品の書かれた時期を調べてみると、作者が芥川賞を受賞した2年後に発表された作品とのことでで、ちょうどそのあたりが転換点になっているのかもしれないと勝手に想像してしまった。(「ワーカーズ・ダイジェスト」 津村記久子、集英社文庫)

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