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古生物学者、妖怪を掘る 荻野慎諧

間違いなく科学者による啓蒙的解説書なのだが、どこまで本気なのかと思ってしまう不思議な一冊。取り上げられているのは、何故古今東西の邪悪な妖怪や鬼にはツノがあるのか、平家物語に登場する鵺の正体はレッサーパンダではないか、一つ目妖怪の正体は何かなど、冒頭から最後まで、著者の古生物学や歴史に関する知識に基づいた非常に興味深い話が続く。杓子定規な科学書ではなく、もっともらしさや可能性の高さなどにとらわれず、読み手の心を豊かにする「選択肢の提示」に専念している著者の姿勢が楽しくもあり、有り難くもある。語り口も軽妙で、思わずニヤニヤしながら読んでしまった。(「古生物学者、妖怪を掘る」 荻野慎諧、NHK出版新書)

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