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想い出が消えないうちに 川口俊和

人気シリーズ第3作目の完結編。ある特殊な条件を満たす場合のみ過去に戻って会いたい人に会えるという不思議な喫茶店という設定はこれまで通り。この特殊な条件は、物語の中の登場人物を縛ると同時に、書き手である作者をも縛る。本書を読んでいると、作者自身がその設定の中でどのように話を制作していくか模索しながら書き進めていることがよく分かる。著名な作家が、物語の作成、自らの執筆の秘密として「設定だけを決めてあとは筆に任せる」と言っているが、おそらくそれと同じ感覚なのだろう。本書をもって完結編とする潔さも気持ちが良い。(「想い出が消えないうちに」 川口俊和、サンマーク出版)

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