goo

見つけたいのはのは、光 飛鳥井千砂

初めて読む作家だが、書評誌で絶賛されていたので読んでみることにした。読んで最初に感じたのは、こんなすごい作家のことを今まで全く知らなかったのは何故だろうということ。これまでにどんな作品を書いているのか巻末の作者紹介欄を見るが確かに知っている題名はなかった。書評誌に5年ぶりの新作とあるので寡作な作家なのだろう。内容は、出産後に雇い止めにあい保育園が決まらずワンオペ育児に疲労困憊する女性、同僚や部下が立て続けに出産や育児のための休暇を取りそのしわ寄せで仕事が回らなくなってしまった女性、働きながら2児を育てるシングルマザーという3人の女性が出会い、本音を語りながら閉塞状態からの出口をそれぞれが模索するというお話。少し前に読んだ本も男子の頼りなさ不甲斐なさに申し訳ない気分になったが、本書はその何倍もその感が強い一冊だ。こうした力強い本を男性目線で書くことのできる作家がいるだろうかと考えるが、全く思いつかない。主人公たちの未来には光がさしているように思えるし、この本を読んで不甲斐ない自分と対峙しながら、小説には何かを変える力があるだろうと感じた。(「見つけたいのは、光」 飛鳥井千砂、幻冬舎)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )