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聖女の毒杯 井上真偽

「その可能性はすでに考えた」シリーズ第2弾。あらゆる可能性を推理しつつ人知を超えた奇蹟の存在を追い求めると豪語する探偵、その弟子である名探偵コナンのような小学生、探偵に1億円以上を貸し付けている違法貸金業の中国人女性という3人組が、摩訶不思議な事件の解決に奔走する。今回の事件は、婚礼の盃を回し飲みした両家の親族と一匹の犬が飛び石のように毒殺されるというもの。前作同様、様々な登場人物たちが事件の真相について仮説を提示したりそれを反論しあったりという展開が延々と続く。文中には、その仮説の要点、それまでに分かったことを時系列にまとめた表、登場人物たちの位置関係を表した図や行動表などが盛り込まれているが、それを全て理解しようという気にならないほど細密で、そこに思考の漏れがあるかどうかなどを検証する気にもなれない。それでも何となく何を言わんとしているのか、何を否定しているのかはわかるので、その流れだけを楽しむことができる。何となく分かったことにして読み進めても面白いし、じっくり時間をかけて検証しながら読んでも多分面白いだろう、読者によって色々な読み方ができる一冊なんだろうと思った。(「聖女の毒杯」 井上真偽、講談社文庫)
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