goo

夏天の虹 高田都

「みをつくし料理帖」シリーズの最新刊。前巻で究極の選択をした主人公が、その選択の結果に苦しみながら、前に進もうと努力する様が描かれている。追い打ちをかけるように主人公に別の大きな災難が降りかかり、更に主人公を支えてくれていた脇役の悲劇などが重なり、主人公にとってはこれでもかこれでもかという苦難の連続だ。救いは、主人公の迷いも解けて、これからは自分が選んだ道をまっすぐに進んでいくと思われるところ。巻末には、新作の発表ペースがこれから1年ごとになるという作者の言葉が掲載されている。次の作品では、明るい内容になっていることを期待して待ちたい。(「夏天の虹」 高田都、ハルキ文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

震える岩 宮部みゆき

主人公のお初が不思議な能力を駆使して江戸の難事件に立ち向かう「霊験お初捕物控シリーズ」の第1弾。別に読んでいる風野真知雄の「耳袋秘帖」シリーズと同様、実際に存在する江戸時代の奇談集にヒントを得たミステリーで、いくつかの奇妙な出来事が関連性をもって話が進んでいくという構成も両シリーズで共通している。そうした共通点がありながら、両方の持ち味は全く別のもので、本書の方が、重層的な謎のそれぞれ関連性はより深く練られているように思われる。さらに本書の場合は、それに「忠臣蔵」という誰もが知っている話が絡んで、非常に味わい深いものになっている。本シリーズの第2作目はすでに入手済み。準主役の少年がどのような形で活躍するのかも含めて、今から読むのが楽しみだ。(「震える岩」 宮部みゆき、講談社文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
   次ページ »