1936(昭和11)年2月、軍事政権への強化を企図したクーデター「二・二六事件」があった。
さて、その3ヶ月後の5月「阿部定事件」が新聞紙上を飾った。この時代の空気感の落差は何なのか。
ファシズムという厄災は天から降って来て瞬間に凍り付くような非日常がやってくるのか。
片や、人々の日常はかくも平安の中に安住しているのか。まったく奇妙奇天烈な組み合わせであった。
「阿部定事件」と「二・二六事件」という時代の両極の異相はどうして起きたのか。
佐高信は「単なる猟奇的なスキャンダルを大々的に報道した。あえてすり替えた」と言っている。
近頃も政治的な問題が表出すると、芸能人の大麻事件が露見すると云う。
この疑似性は為政者側の作為に拠るモノなのか、確証はない。
いずれにせよ、阿部定の“色”に本質的に人々は弱い。写真では相手の男(石田吉蔵)もイケメンだった。