玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

市井の近現代史(7)

2023-06-05 14:47:21 | 近現代史

―日米戦争の原因は簡単には言えない―

入江隆則は「戦争の原因という言葉は安易に使われるが、歴史的に何処まで遡るか確定しにくい難題である。」と言う。

一般的には、日米戦争の原因は石原莞爾ら参謀指導の1931年9月の満州事変に起因していると考えられるが、東郷茂徳は「外務省は、米国が如何に熱心に支那における門戸開放を基調とする九ヵ国条約に執着し、そのためには戦争をも辞さないという底意が在ったことを解しなかった。」と『米国の底意』を見抜けなかったと戦後になって回想した。

米国は1921年の華府会議に中國の門戸開放において、日本との戦争を意識したと考えることができる。

しかし、三根生久大も「1906年になると米国は日本に対する警戒を強め・・・1907年には「日本の攻撃を防御する為の様々な計画について検討された。」と書いている。

1941年の真珠湾攻撃から始まった日米戦争が、1906年の日露戦争勝利後まで起因するとなると、随分と長い戦略性の下で行われた戦争であるとの思いが浮かび上がってきた。

 

【引用文献:入江隆則『敗者の戦後』中公叢書、東郷茂徳『時代の一面』中公文庫、三根生久大『日本の敗北』徳間書店】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする