秦の始皇帝はこの世に叶わない物は何も無く、故に永遠の命を、不老不死に薬を求めたという。その延長線上に位置するのか、彼の墓には兵馬俑が埋められたという。何のためにか?
秦が滅びた後に、楚の項羽と漢の劉邦が出てくる。『史記』には人間を生き埋めにするという叙述が出てくる。残忍な項羽は攻略してしまうと、全部の人間を穴埋めにして殺した。疑うと、降参した20万人の兵士でも一夜にして生き埋めにした。
ところが、秦の時代では兵馬俑が埋められた。それも一体一体、顔も身なりも違っていたという。この時代は生き埋めして殉死させれば肉体は腐ってしまう人間の兵士よりも、絶対に死なない兵馬俑の方が、永遠の命が求める覇者には価値があったのではないか。だから始皇帝が自分の墓の守りとしたのか。何となくそんな気がし始めた。そう思うのだが、これは間違いなのだろうか?
更に、やぶにらみ的な余談だが、隣国は埋めて隠してしまうのが簡単な解決方法らしい。事故を起こした新幹線車両すら埋めたというのだから。この日本では、まずそんな広い土地が無い。隣国だが、随分と違う歴史と人間を造ってきたのだろう。何にせよ、難しいお隣さんだということかな。
日本が盗んだと言ってきた彫刻が、朝鮮戦争の時以来地下に眠っていたと分かったのに長年知らんふりをして非難をしてきた国もある中、とげの一つを抜けてよかった。美術品は公共財だと思う。私蔵は死蔵でもったいないね。