先日古本屋で買った本に方丈社編集の『朝、目覚めると、戦争が始まっていました』という本を買ってきました。
この本を読み終えて、次の文章ありました。
これは太宰治が書いた「十二月八日」という小説の中の一節の言葉です。主人公は女性です。
ところが、保坂正康はこの小説の一文を太宰本人の言葉として抜粋している。
保坂は「その時、国民はみな歓喜に沸いた。アメリカに押さえつけられて背伸びできない鬱屈感があった。・・・その感情の発露は特に知的階層に多かった。」と記述している。【保坂正康『あの戦争は何だったのか』新潮新書より】
保坂が言うように12月8日の真珠湾攻撃に感動した者が多かったのだろうか、…。
保坂は「逃げの上手い歴史家」である。国民が歓喜に沸いたのは事実かも知れないが、とくに知識階級に「感情の発露が多かった」という表現は何なのだろう?なんかボカしていないだろうか。裏を返せば、感情の発露の記録が残りやすいのが知識階級とならないだろうか。
ちなみに保坂は1939年生まれ、開戦の時は2~3歳の幼児であった。近現代史ですら事実を捉えていくコトは実に難しい。
【次回へ続く】
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