ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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さよなら蘭寿とむ

2014-04-27 22:25:40 | ドラマ・ワイドショー

私は花組にはあまり縁がないので、真矢みき時代からそんなに見ていた

わけではありません。

だけど、すでに「SPEAK EASY」にいたという事ですから、目に入っていたんでしょう。

愛華みれ時代は「ミケランジェロ」しか見ていないけど、蘭寿はニッコロだったのねーーと

ニッコロって・・・石の下敷きになって死んじゃう役だったっけ?

あのシーンは、見てて「ひどいっ」って思った記憶が。

 

多分、私の目に「蘭寿とむ」として目に入ったのは

月の燈影」の次郎吉役でした。

あの作品自体、結構暗くて難しくて。特に彩吹が演じたのは感情を抑える役どころ。

しかし蘭寿の次郎吉はどこまでも純粋で明るくて、非常に好感を持ちました。

はっきり言って彩吹より目立っていたし、主役的オーラが大きかったような気がします。

笑顔が弾けるような元気な男役・・・というイメージがそこにはありました。

花組の系統としてコメディが上手というのがありますが、蘭寿は間違いなくその系統に

属し、「天使の季節」の女装シーンは非常に面白かった記憶があります。

後に「逆転裁判」を見た時、まさにぴったりな役柄だなと思ったものです。

あの作品の出来がもっとよかったら、蘭寿の宝塚人生も変わっていたかも思います。

 

いわゆる「花組の御曹司」状態だった蘭寿が宙組へ異動になった時は

一体何の冗談かと思いました。

当時トップの大和悠河とはタイプが違っていたし、「バレンシアの熱い花」の

ロドリーゴやラモンは・・・・ちょっと・・・・って感じで。

申し訳ないけど宙組時代に印象に残る役柄はそんなになかったと思います。

まるで咲きかけの薔薇のように、早く咲いて早く咲いてと願うのに

なかなか花弁が開かないような、そんな印象を持っていました。

 

ファンにとって嬉しかったのは、蘭寿が花組にトップとして凱旋した事でしょうか。

数年間の宙時代は忘れて伝統的な花組の、都会的で粋でかっこいいトップスターの

誕生に誰もが拍手を送りました。

二番手がやっぱり返り咲きだった壮一帆というのも+に働くだろうと思われたのです。

しかし、お披露目の「ファントム」からして蘭寿の個性を生かすものではなかった。

そもそも再演というのも不満でしたけど、「ファントム」のエリックのような

孤独をしょった青年など、全く蘭寿のイメージとかけ離れていたからです。

時には柄違いの役をやって幅を広げるというのは大事なことです。

「この人はこんな役も出来るんだ」と発見することはファンとしても嬉しい。

けれど、それは2番手時代にすでに終了しておかなくてはならないもので、

蘭寿の場合、2番手時代に確実に「柄」にあった役に恵まれなかった事が大きな

禍根を残したと思います。

本当に「逆転裁判」の脚本がもう少しすぐれていたら・・・と思わざるを得ません。

役柄的には本当に似合っていたと思うので。

 

トップスターになって、以前のような華やかさとか弾け感が消えてしまい、

逆に2番手の壮一帆がどんどん自己主張しはじめて目立ち始めた時、

何とかならないかなと思っていました。

そこに表れたのが「オーシャンズ11

これまた再演ではありましたが、ダニーという都会的でちょい悪で大人な男は

蘭寿の個性にぴったり 多分、星組よりも演出家の意図に近い出来であったと

思いますし、これが代表作といってもいいのではないかと思います。

しかし、その後「サン・テグジュペリ」も「アンドレア・シェニエ」も不発。

ショーにおいては唯一「CONGA」だけはよかったけれど、あどはどれも・・・・

演出家たちが蘭寿の個性をよく把握できなかったのが原因かなと思うのですが。

ダニーのような役柄がぴったりであるともう少し早く把握していたらとも思います。

 

見かけのちゃらさ(失礼)に比べて、中身は非常にまじめで不器用。

正義の味方よりは屈折した方が似合い、けれど声が高いからセリフに

重みがなかなか出ない・・・・いわゆるかなり遅咲きなんだと思います。

今回のさよなら公演「ラスト・タイクーン」は蘭寿の集大成としては内容はともかく

役柄的にはぴったりで、「こんな蘭寿をもっとみたい」と思わせるものでありました。

それなのに退団。

これからどのような活動をするのかわかりません。

同期の涼紫央は母となり、遼河はるひはバラエティで活躍、紺野まひるは女優にして

母・・・・とこの82期は個性にあふれた生き方をしています。

蘭寿もきっと型にはまらない生き方をしてくれるものと信じています。

不器用だから多少迷ったり、場違いな事をやってしまうかもしれないけど

これからの長い人生を考えると、全てに無駄はありません。

いつか舞台でテレビで、「これぞ蘭寿とむ」を見せてくれる事を祈りつつ・・・・

 

せっかく彼女の18番が出来たというのに・・・・・

 

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TAKARAZUKA夢眩

2014-04-27 18:05:51 | 宝塚コラム

 さて。

ショー「TAKARAZUKA夢眩」は斉藤吉正作・演出です。

今回のショーはタイプでいうなら「MISTY STATION」風。

懐かしいフォークソングやアニメの曲をばんばん流して現代風に楽しませたかと

思えば、後半はこれでもかというようにクラシックを流す。

蘭寿とむのさよならだから、近未来から王子様までなんでもありの展開。

まとまりはないけど、あっという間に見終わったショーでした。

個人的には第五場の明日海がかっこいいなと思いましたが。

 

 出演者について

 

蘭寿とむ・・・モンローという役はダニー・オーシャン並に似合っていたと思います。

        結果的に蘭寿という人はどこまでも都会的でちょっと悪だけど誠実な

        役どころが似合う人だったんだなあと。

        そういう意味ではよかったなと思います。

         ラブシーンのかっこよさの中に伝統を感じたし、さすがにトップだなあと

        思わせるものがありました。

         ショー作品には恵まれないトップ生活ではありましたけど、最後はどこまでも

        かっこよく、王子様と燕尾服できめてくれたので嬉しかったです。

明日海りお・・・ひげで大きな娘がいる役なんて無理無理。無理やり感がありすぎて

        とうとう存在感が消えそうになっていました。

         しかしショーではアニメっぽいコスチュームがよく似合い、珍しくバリバリに

        踊ってストレス発散してた・・ような印象。

蘭乃はな・・・ぱっとみが全然目立たないのに驚きます。

        本当は可愛いのに。でも今一つ、どんな役が似合うのかわからない。

        得意なダンスもあまり躍らせて貰えなかったし。

        歌唱力はアップしているからそれなりにエリザベートは出来るのでしょうが。

望海風斗・・・芝居の方は全くもって意味不明の役柄で気の毒でした。出番も少なかったし。

        一方、ショーの方は歌にダンスにと大活躍。

        必ずソロがあるのが嬉しい。

        今後、明日海を支える立場になると思うのですが、彼女程「白」が似合う人も

        いないと思います。いわゆる正統派二枚目で、それなのに敵役とか悪ばかり

        させられるんだろうなと思うと、ちょっと気の毒。

華形ひかる・・・・これまた意味不明な作家さん。老け役なのか何なのか・・・

         華形も専科へ行って頑張るんだなあと思うと感慨深いものがあります。

柚香光・・・若手筆頭。とにかく目立つ。真ん中が似合う。歌はあまり得意じゃない?

      でもいかにも花組っぽい顔がいいのかも。

芽吹幸奈・・・こちらは七変化風の娘役で先が楽しみ。

仙名彩世・・・エトワールが非常に綺麗で。もうちょっとしたら本当に美しくなりそうで

        楽しみです。

 

今後の花組を占うと。

明日海を支えるのは同期の望海風斗という事になるでしょうか。

しかし、躍進目覚ましい柚香光が常に追い上げて行くかも。

頑張らないと明日海はかすんでしまう恐れもあると思います。

もう少し包容力を身につけないと、娘役が横にいてもただの飾りになってしまう。

ラブラブに見えないトップコンビは見てて辛いのですよ。

ただ・・・悪いけど、かなりレベルは落ちそうだなあと思わずにいられません。

柚香光が救世主になってくれればいいのですが。

 

 

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ラスト・タイクーン

2014-04-27 09:46:21 | 宝塚コラム

 昨日のVISA貸切に行ってまいりました。

 

 ラスト・タイクーン 

 

 生田大和作・演出

「いくたひろかず」って読むんだーーへーー などと言ってる場合ではない。

この人の作品「BUND/NEON上海」「ランスロット」「春の雪」など、色々スカイステージで見たけど

どれも途中で挫折してしまい、見応えがあるものがなかった。

「春の雪」は比較的見やすかったけど、それは原作があっての事だったし。

つまり力量としては未知数であり、どこに特色があるのか、よくわからない人ではあります。

 

 「失われた楽園」との比較

「ラスト・タイクーン」といえば、小池修一郎の「失われた楽園」と比較するっきゃない。

あちらも花組、真矢みきが主演でした。

真矢みき演じるアーサーは「映画バカ」ともいえる存在で、わがままで横柄。

こだわりが強く、そして亡き恋人への思慕が強い人。

リア・モンテスを愛するものの、やっぱり心の中には彼女がいて。

愛華みれが演じたエリオットは作家でアルコール中毒?アーサーと正反対の

穏やかさが素晴らしかった。

悪役、海峡ひろきのマックス・ジョンソン、香寿たつきのレスリーがどんどん

おかしくなっていく様、どれもこれも「キャラ」が立っていたと思います。

紆余曲折があっても「アーサーだから・・ついていくしかないよね」という回りの心情も

よくわかるし、レスリーが薬中毒になってアーサーを殺す瞬間、リアは女優デビューを

果たすというラストも見事でした。

登場人物それぞれに味があり、きちんとした役割があった。

 

対して「ラスト・タイクーン」の場合

 モンローは「映画ばか」というよりビジネスマン風

 明日海りおのブレーディは悪役なのか何なのかはっきりせず

 望海風斗の役割が全然理解できず

 キャサリンは男運が悪いだけの女

って・・・感じ?

何で労働組合が出てきて、果ては共産党まで来るのか・・・そこまで話を発展させて

何がしたかったのかさっぱりわかりません

一番現れているのは「5セント」の扱い方でしょうか。

「失われた楽園」でも、「ラスト・タイクーン」でも映画を見る事が出来る「5セント」は

非常に重要な「夢の鍵」になっています。

小池版をちょこっと引用

アーサー ; ある晩、酔っぱらった君が、バルコニーから札束を撒いた。10ドル札を

       何百枚とね。

エリオット ; 泥酔して、一晩で5千ドル使い果たした

アーサー ;僕 はその10ドル札の一枚を拾う事が出来た。それはたちまち

       貯めこんだ家賃とい夜学の学費に消えた。それでも5セント余ったんだ

       その5セントのニッケル玉を握りしめてどこへ行ったと思う?

エリオット ; 酒も、バクチも無理だな

マギー ; 映画館ね。

アーサー : あたりだ。5セント玉一つで夢をみれる所、それは映画館だけだった。

        その晩見たのはチャップリン。端役で出ていた女の子が天使に見えた。

マギー ; ニーナね。

エリオット ; それで映画界に?

アーサー ; あの晩、僕は夢を見つけた。いつまでも見飽きる事のない夢をね。

        いいかい、この世界には昔の僕と同じ貧しい奴が何万といる。

        みんなに見せてやりたいんだよ。5セントの夢を。

 

アーサーとエリオットの会話の中には

 エリオットとアーサーの関係

 ニーナと出会ったきっかけ

 5セントの理由

これらが凝縮して表現されています。

そして「5セントの夢」という曲も歌われるのですが、映画という夢の世界への

切符を買うのが「5セント」とても重要なキーですね。

 

一方、「ラスト・タイクーン」における「5セント」が出てくるシーンは

第5場ABです。

モンローのオフィスに来たボックスれー。彼は作家で脚本を書けと言われている。

モンローには「あんたの才能を買ったのであって芸術を買ったわけじゃない」と言い切る。

映画なんか見た事ない彼にモンローはあるシーンを想像させる。

ストーブは好きですか?ある女が入って来て手袋をストーブに入れようとする。

そこに電話がかかってきて・・・・」

なぜか、そこに唐突に出てきた5セント玉。

ボックスレーは「それから?」と聞くけど、モンローは「さあ・・・」

何で5セントが?映画を見る為のお金だと答えた・・・ような気が。ウロですみません。

つまり生田版では5セント玉が象徴的に生かされていないんですよね。

何の為にストーブを登場させ、女が手袋を入れようとしているのか、それがどんな

きっかけになったのか、これ以降、そのシーンがどう生かされていくのかという

関連性が一切ないのです。

「伏線」「後処理」の仕方を学ぶべきではないでしょうか。

 

 大劇場ゆえに

演出家にとって大劇場というのは、理想を形にしてくれるすごくいい舞台です。

なんせセリがいくつもあるし、盆は回るし、宙に浮かせることだって出来るし。

だから演出家は自分の頭に浮かんだ映像のような場面転換をなんのためらいも

なく行う事が出来る。

いえ、行ってしまうのです。

1時間半の舞台に場が17個。非常に多い。多すぎます。

つまり、脚本の因数分解をせずに次から次へと場で繋ぐ・・・しかもまずい事に

暗転して役者が舞台の端からはしまで走って行くシーンが見えちゃう。

テレビや映画ならそこでぶちっときれるけど、舞台はそうはいかないという事が

あまりよくわかっていないのでしょう。

盆やセリを使えばいいってもんじゃありません。

なるべく使わないようにするにはどうしたらいいか、登場人物をもっと凝縮させるには

どうしたらいいか・・・そんな風に考えないといけないのです。

ブレーディの浮気シーンは娘の反感を買う為だけに必要だったのか?

ブロンソンはリーダーなのかそうでないのか?何でキャサリンを縛りつけるような

事をしているのか?

キャサリンの登場シーンに火事を持って来たのはいいけど、その火事が誰のせいで

何で起きてどうなったか、そしてキャサリンの夫であるブロンソンはどこにいたのか。

次から次へと考えてしまいますよね。

結果的に主役が飛行機事故で死んじゃった・・・・しかも、それがラジオニュースで

流れるなんていう終わり方。

と、思ったら天国で長々語り始め銀橋に出て延々と立って笑って歌って・・・・

これじゃ流れた涙も引っ込んでしまう。

演出家としては「そうだった。モンローに最後の台詞を言わせなきゃ。その後どうなったか

も色々語らせないと・・・・」思ったんでしょうけど、キャサリンがその後どうなったか

再び一つになった仲間たちは何をどうしたのか、一切語られないで終わり。

どんなに中身がよくてもラストシーンのまずさに全てがおじゃんになってしまいました。

 

この舞台で唯一よかったなと思ったのはラブシーンのみ。

ただ、モンローが何度も「ミアはもういないのだ」というシーンはうざかったですけどね。

いないのなんのって言いつつも、そっくりだったから好きになったんでしょう?

認めなよ的な?

 

生田君、ちょっと大劇場デビューが早すぎたかもしれません。

小池先生の真似をして映像をがんがん使って、盆をぐるぐる回して場面転換して

みせて、みんなで歌って踊って場を盛り上げようとしても、中身がないんだもの。

どうしようもないよね。

今一度、脚本の書き方を勉強すべき。

 起承転結

 場割りの仕方

 登場人物の個性を出すためには?

この3つが重要ですよ。

 

 

 

 

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