現在、日本有識者会議において「安定的な皇位継承」についての議論が進められ、3つの提案がなされているようです。
1 女性皇族が婚姻後も皇族として残る(但し配偶者と子は皇族にならない)
2 旧宮家の男子を現在ある宮家の養子になる
3 旧宮家をそのまま復帰させる
1と2は実現、3は1と2がうまくいかなかった場合に実現するという事です。
これら3つの案が提出された背景には
・ 将来、悠仁殿下一人になってしまう皇室において、何とか公務の担い手を作りたい
・ 皇族の人数を一定数確保したい
という理由があります。
そしてその根本には「日本には皇室が必要だ」という思想です。
大和朝廷が開かれて以来2000年の間、日本という国に「天皇」がいなかった事がありません。
天皇が政治の中枢にいた時代を経て、現代にいたるまで一度として天皇不在の時はなく、しかも「男系」でなかった事はありません。
女帝は8人10代いましたが、全てが男系女子であり未亡人もしくは未婚の女性で、再婚、結婚した事はありません。
では天皇とは日本にとって何なのか。
私は有識者会議がこの点をあまり重視していないのではないかと思います。
勿論、「天皇は日本の象徴である」と憲法に書かれており、通り一遍の歴史を見ればその存在は歴史的に貴重で必要だと考えるのは当然です。
つまり、天皇は「人間国宝」「無形文化財」のようなもの・・ととらえているのではないでしょうか。
なぜなら憲法における「象徴」の意味を国民も総理大臣も、当の天皇ですらわからないからです。
日本が太平洋戦争に負けると決めた時「国体」の維持を最優先に考えました。
つまり天皇と皇族を日本という国の根本、柱と考えていたのでしょう。
たとえ国民が助かっても天皇がいなくては国の柱が折れて、復興はならない。
勿論、戦後の国民の努力や意欲の行く先が見えないと考えたろうと思います。
GHQは皇室の存在意義がよくわかりませんでした。
けれど、とにかく「ヒロヒト天皇は国民から深く慕われている」と思ったのでしょう。
昭和天皇一家とその兄弟を残し、11もあった宮家を臣籍降下させました。
その場合の一時金についても、宮家当主が軍人だった場合には支払われない事になり、宮家は突如世間に放り出されたのです。
そしてGHQは天皇を「日本の象徴」つまり、旗のようなものと位置づけました。
主権はあくまで国民にある。じゃあ、天皇は?日の丸のようなものだ・・というわけですね。
以後、戦後教育の中で「天皇は日本にとってどういう存在なのか」という事はおざなりにされ、ただ試験の問題に出される答えのように「象徴」という言葉だけが一人歩きして今に至っているのです。
現在、有識者会議や総理大臣に至るまで全て戦後の教育を受けて来た人達。
彼らにとって「天皇」「皇室」はどこか触れてはいけないもの、下手に触れたら政治生命が断たれるくらいの気持ちでいるのではないでしょうか。
ゆえに、戦後、新しい皇室典範を作ったけれどそこにある欠点や補足を見直す事もせず、残された天皇一家と宮家のなされるがままに動いて来たというのが真実です。
ほったらかしにされた天皇家は政治と距離を置きつつ、独自の路線を歩まなくてはならなくなった。
それは戦後に作られた憲法と皇室のしきたりや伝統のすり合わせです。
その件については後に詳しく書きますが、21世紀、令和の時代に来て「すりあわせ」が不可能になり、突如政府に丸投げされたのが「皇位継承」問題なのです。
ゆえに、有識者会議のメンバー及び政府の面々は、何となく
・皇族が減ると公務の担い手がいなくなる
・悠仁殿下になにかあったら皇室が滅びる
として、慌てて策を考え始めたのですが、そこを突いたのが左派政党による「女帝」「女系」の実現です。
21世紀の多様性に当てはめて天皇家を考える。女性に皇位継承権がないのはおかしいという耳に心地いい理屈です。
それに真向から反論できる保守系はあまりいないのではないかと思います。
私は、ジェンダー問題と皇位継承の問題は別と考えます。
そして、あらためて「日本にとって天皇とは何か」という事を鑑み、男系男子による皇位継承を提唱いたします。