10キロほどまで大きくなった。
冬瓜(その2終わり)
自家栽培野菜が盛期に入る7月に店をオープンするのが通例だったが、そのころになると蔓が盛大に伸びだし、畑全面を覆うほどになった。
そのころから黄色の花も盛大に見え、そして小さな実から大きな実まで葉の下に隠れて育って来る。数えきれないほどの数が出来、うれしい誤算に喜んだのだったが、一つだけ誤算があって悩まされた。種の説明では中玉種とあったのに、なんとぐんぐんと大きく育ち、10キロを超えるような中玉とは言い難い巨大な冬瓜に成長したのです。
昨今の家庭は小人数の世帯が多くて、10キロを超えるような冬瓜は食べきれるものではない。テーブルの上にいくつもゴロゴロと並べてみたが売れない。値段を下げても売れない。レシピをつけても売れないと散々な始末。ついには「目方を当てたら無料進呈」という企画までしたけれど、なかなか挑戦者は現れなかった。
さて、たくさん作ったのに売れ残り、始末に困ったのだった。でも、美味しい食べ方は色々ある。夏のスタミナ源の一つ「クジラ汁」の具としても最高。そして、大きな切り身に切り分けて柔らかくなるまで煮てから鍋から取り出して十分に冷やす。そして、アンを作って「冷たい冬瓜のアンかけ」に仕上げる。盆暮れに頂いたカニ缶などが眠っていたら、アンの具としても贅沢な一品になる。
冬瓜もいろいろな種類があり、手ごろな大きさの「姫冬瓜」などという種類もあるから、ぜひ栽培してみていただきたいものです。
(終わり)