友との突然の別れ(その3終わり)
お葬式の案内とともに、弔辞の依頼も入っていた。
20歳の若造に弔辞、しかも親友の弔辞は辛かったし、何を述べて良いかもわからない。
通夜にも招かれ、葬式の前日にその家に、重い気持ちでたどり着いた。
玄関を開けると賑やかな笑い声さえ聞こえ、少し気が楽になり声をかけた。
家に招き入れられると母上は「〇〇ちゃん」と一声上げられ、私にしがみついて泣かれた。
皆がつられて泣き出してしまった。私を見たならば当人を思い出さないわけは有りません。
その夜は母上と二人で、彼のお骨の前で寝ることになり眠れない夜を過ごした。
葬式当日の事はあまり覚えていない。そして、弔辞の内容も。
早いものでもう50年もの歳月が流れてしまい、当時の彼のご両親の当時の年齢も大きく越えてしまった。
(終わり)