山の畑で仕事をしていると、「トーちゃん!カモシカが来た!」と突然スベルべママが言う。
視線を隣の「タラの木畑」に向けると一頭のカモシカの姿。
ポケットからそっとカメラを取り出し近付く。
口笛を吹くと「ぼく、マックスじゃないんだけれど」なんて感じで視線を向けた。
ハルジオンの白い花の影に見え隠れして移動する。
「なー、どこから来たの?」と聞くと「あっち」なんて首を向ける。
「あれっ!あっちだったかな?」なんて後ろを見る。
まだ角もはっきりとはしない、若いカモシカで雌雄は分からない。
「それじゃまたな」なんて声を掛けると山の端、崖の始まる方に消えた。
消えたあたりでは昨年スベルべ夫婦は大きな成獣のカモシカに遭遇している。
一説によるとカモシカは子供が出来、成長すると子供に縄張りを譲って他の場所に移動すると言う。
この若いカモシカも、親カモシカから縄張りを譲ってもらい独立したばかりなのかも知れない。