伝えたんく

日々の何気ないできごとに感じた幸せ

ものさし3(無知)

2008-07-19 22:55:49 | Weblog

 仕事が一段落して、連休を迎えたので、頭や体の力を抜いてリセット状態にした。こうした時に普段考えている途中でやめてしまったことが蘇ってくるものなのだ。

 今回の題名を「無知」としたのは、知らないことというのは恐ろしいことだということを思い出したからだ。

 2002年の春、4日間の休みを利用して香港に行った。澳門(マカオ)やシンセンにも足を伸ばしたが、香港での出来事が忘れられない。香港についた時はもう夜の10時であった。香港島のホテルに着いたが食べ物がない。近くにセブンイレブンがあった。英語が通じるというので、片言の英語でカップヌードルを買い、ホテルで食べた。翌朝は空腹で目が覚めた。せっかくの香港なので朝は外食をすることにした。お粥の美味しい店があると聞いていたので、街中を物色した。それらしい店は地元の人で賑わっていた。現地語(広東語)の早口でコミュニケーションをとりながら楽しそうに食事をしている。

 勇気がなくて、その中には入っていけなかった。すぐ隣にファミレスのようなところがあったので入った。最初の写真にあるように、メニューは漢字で書いてある。中国のような簡体字ではなかったので読むには読んだが、なにか怪しい気がして・・・

 オレンジ色の紙に書いてあった品目は、全部最後に「粥」がつくものだった。しかし、分ったのはピータンだけだった。

 そして注文したものは粥ではなく、


ミルクティー



目玉焼きつきトースト


ポテトとソーセージ

である。

 こんなものしか注文できなかった自分にがっかりした。もっとできるものだと思っていた鼻の高い自分がいたことにも気づかされた。食事をしながら店員の方をふと見ると、アジア系の人ばかりではなく、バタくさい顔つきの人もいる。そして会話は流暢な英語だった。片言ではない。スピーディーな会話である。相手が変われば広東語で話している。そう、ジェッキー・チェンの映画の中のようである。

 旅行後に香港のことについて調べた。これがゆきたんくが旅行をする時に予習をするようになったきっかけと言って間違いない。

 まず、あの朝のメニューである。香港まできて、「こんなもの」という表現を使ったが、まずはお詫びしたい。「こんなもの」ではなく、1996年まではイギリスの植民地だった歴史がある。それが分っていれば、あのイギリス式のメニューだったことに気がついたはずだ。

 パン、ミルクティー、ソーセージ類・・・


ウェールズ「パンディ・イン」のミルクティー


ソーセージと卵とハッシュポテト

 2003年の夏に渡英した時、ウェールズのB&Bで食べた朝食と同じ構成である。イギリスでは「こんなもの」と思わず、感激し、香港では「こんなもの」と思ったのは無知であるがゆえ、香港のことを蔑視していた自分がいたのではないかと思う。

 香港の人たちが英語も堪能な訳も、レストランでは考えてもみなかった香港の歴史があるからだ。

 2日目の夜は、上環(ションワン)のホテル近くにある閉店間際の麺家(ミンガー)でワンタンと粥を食べた。ワンタンは、プリプリのまん丸で日本のワンタンの3~4倍のボリュームはあった。言いたいことは、ここの店主とのやりとりは英語だったことだ。何のことはない地元の人が英語を操っている。私と英語で話、同僚とは広東語でやりとりをする。その時に、「香港って・・・」とイギリスの植民地だったことに気づき始めた私だった。「英語が話せてすごいですねぇ」なんて話したらとんでもないことになることだった。最も学校教育の中では1997年までは英語の授業があったという。今では一部を除いて中国語の授業が強制的に入ってきているようだ。

 かつて日本は、朝鮮(この話の時の、南北の線引きが分らない)の方々に様々なことをしてきた。その1つに日本語を使うことの強制があった。戦時中とはいえ、思い上がったことをしたものだ。だから、朝鮮のお年寄りの中には日本語を話せる方がいる。それを日本人が「すごいですねぇ」なんて言った日には・・・

 考えただけでも恐ろしい気がする。

 そして何よりも忘れてはならないのは、香港がイギリスの植民地になる前は日本の植民地だったこと。そして1945年8月15日に日本軍が降伏し、すかさずイギリス軍がやってきたが、香港の方々はこれを記念して「香港解放記念日」として祝っているという。かつて日本軍に肉親を殺された方々が今でも多く住んでいるということを忘れてならない。

 他国にいく時には、その国の歴史を勉強する必要があるということだ。
無知と言うのは怖い。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブログ村Ping

http://ping.blogmura.com/xmlrpc/okr7t7fen957