遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ASEANを巡り米中の対立が進んでいる

2012-11-21 23:47:37 | EEZ 全般
 連日のEASの中国包囲網の話です。オバマ大統領がタイ、ミヤンマーといった親中の国を訪問して中国剥がしをし、昨年のEASで形成した対中包囲網の強化を図ると、中国も更なる札束攻勢を強め、ASEAN諸国の分断化を促進しています。
 経済成長の活力があるASEANの市場を巡って、米中の対立はますます強まり、それに伴いASEANの国々の分裂も進むのか、したたかなASEANの国々は、実利を求めて両雄の間でさらなる成長を加速するのか。日本の官民もしつかり食い込んでいっていただきたいものです。
 

オバマ大統領アジア歴訪 米「中国包囲網」狙う (11/21 読売朝刊)

 【プノンペン=白川義和】オバマ米大統領は20日、アジア歴訪を終えた。再選後初の外遊で、ミャンマーの民主化をたたえ、海洋安全保障や環太平洋経済連携協定(TPP)の重要性を強調したのは、台頭する中国に民主主義、領土問題の平和的解決、貿易ルール順守を迫るメッセージでもあった。政権2期目も日韓など同盟国との協力を強化して、強権的姿勢を強める中国をけん制する姿勢が鮮明に打ち出されたと言える。

「多国間枠組みに積極関与」

 「この地域の多国間の枠組みに米国が全面的、積極的に関与していくことは、平和と安定、繁栄に必要な法や規範の強化に役立つ」。オバマ氏は20日、プノンペンでの東アジア首脳会議の演説で米国の役割をこう強調し、中国の海洋進出を念頭に「航行の自由」の重要性を訴えた。
 米国は昨年、東アジア首脳会議に初参加して以降、日韓、タイ、オーストラリア、フィリピンの同盟国が参加するこの枠組みを重視している。
中国への対処には、多国間の協力による「包囲網」が必要と判断しているためだ。米国の経済力、軍事力の相対的低下に伴い、多国間の枠組みに頼らざるをえなくなった
ともいえる。
 オバマ政権は2009年の発足当初、中国への融和政策をとったが、中国は国際ルール順守に応じず、強硬姿勢を続けた。それが「良い対中政策とは、ただ北京に行くことではない。近隣国と共にアジア戦略の一環として取り組むことだ」(カート・キャンベル国務次官補)という戦略転換につながった。
 アジア諸国にはベトナム戦争以降、米国による地域への過度の関与への警戒感があった。だが、21世紀に入り、米国がイラク、アフガニスタンでの戦争に精力を費やしている間に中国が台頭し、今では
中国を警戒するアジア各国が米国の関与を求めるようになった

 米国も、経済成長の続くアジア重視の姿勢を強めている。
 オバマ大統領は今回の訪問ではまず、タイとの同盟強化を確認。軍政時代に厳しい制裁を科していたミャンマーにも、経済援助を再開して、緊密だった中国から引き離して米欧への引き込みを図った。
 
米国は今後も、軍事面で同盟国やパートナー国との協力を活発化
させる一方、経済面では自国主導のTPPを推進して、軍事と経済両面からアジア関与戦略を進めていく方針だ。

米中首脳さや当て

 【プノンペン=五十嵐文】オバマ政権がアジア関与を一層深める方針を鮮明にした一方で、
中国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国に対する影響力を保持しようと米国に対抗する動きを強めている

 20日に行われたオバマ大統領と温家宝首相との会談は、米国がオバマ政権2期目に入り、中国で習近平新体制が発足して初の米中首脳の顔合わせとなった。温首相自身は来年3月に首相を辞任することが決まっているが、会談では「習新総書記が『大統領によろしく』とのことです」と伝え、新しい米中関係の始まりを演出した。
 だが、オバマ大統領が今回、再選後最初の訪問先としてアジアを選び、中でも中国が強い影響力を行使してきたミャンマー訪問に踏み切ったことで、
米中がASEANで勢力を争う構図が顕在化した。中国国営新華社通信(英文)は20日、今後の米中関係について「競争と対立は不可避
」との分析記事を配信した。
 ここ数日の米中首脳らの動きを見ても、米中のさや当ての一端が垣間見える。
 温首相はプノンペンでの一連の日程を終えた20日夕、タイに向かった。タイには2日前の18日、オバマ大統領が訪問。インラック首相が、米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する意向を表明したばかり。温首相は
習指導部移行後もタイとの経済協力を強化する方針
を伝えるとみられる。
 また、
軍事面でも警戒を強めている。米国とタイが軍事演習「コブラゴールド」へのミャンマーのオブザーバー参加
を決めた直後には、梁光烈国防相が北京でミャンマーの国防軍副司令官と会談、軍事交流強化を確認した。
 中国共産党は14日に閉幕した党大会で、「海洋強国」をめざすなどとした今後5年の政治報告を採択した。天然資源が豊富で、
南シナ海やインド洋に通じるASEAN地域での影響力を維持、強化することは、今後10年間のかじ取りを担うことになる習氏にとって、最重要課題だ。

 米国がアジアに注力するようになったのは、一方的に米国が進攻してきたのではなく、中国の海洋覇権拡大の脅威が増すに伴い、自国単独では対抗が難しいASEAN諸国が、米国を呼び込んで多国間の連携で対抗しようとしていることが大きく、ASEAN諸国の経済活力と連携したい米国との利害が一致しているからなのですね。

 中国は、昨年のEASでのあざやかな米国の中国包囲網形成以来、札束外交でASEAN諸国の分断作戦を展開してきたのですが、更に、米国の弱体化により米国の進攻も長続きはしないと読んで、持久戦を進めようとしているのだそうです。
 
東アジアサミット 中国は“持久戦戦略” 米アジア重視「持続性限界」(産経新聞) - goo ニュース

 米中が対立するからASEAN諸国が対立するのか、中国と対立するASEANの国があるから、米中が対立するのか。
 ASEAN諸国は経済実利が見込める分野は結束し、南シナ海問題は分裂状態という「ゆがんだ共同体」の色を強めている様です。
 
領有権と通商 ASEANゆがみ (11/21 読売朝刊)

 【プノンペン=深沢淳一】東南アジア諸国連合(ASEAN)は、2002年にプノンペンで開かれた中国との首脳会議で南シナ海の領有権問題の平和的解決を目指すことで一致し、通商面では自由貿易協定(FTA)の枠組みを定め、東アジアの地域統合に踏み出した。
 二つの流れは、10年を経て、同じプノンペンで開かれた一連の首脳会議で、実に対照的な展開を見せた。
 
南シナ海問題は、7月のASEAN外相会議で親中国の議長国カンボジアと、領有権を中国と争うフィリピン、ベトナムが対立し、今回も亀裂は残った。カンボジアのフン・セン首相は「ASEAN各国は中国との枠組みで問題解決を図ることで合意した」と述べたが、フィリピンのアキノ大統領は「そうした合意はない」と激しく反論した。
 来年のASEAN議長国は南シナ海問題の当事国であるブルネイで、中国の議長采配への影響力は薄まる。ただ、ASEANの意思決定は全会一致が原則の一ため再びカンボジアなどが議論の分断を図る可能性がある。
 
フィリピンなどは、オバマ大統領が今回の外遊でも色濃く打ち出したアジア重視戦略を歓迎し、対中けん制のため、米国の一層の関与を求めている
 一方、通商分野では、20日にASEANを軸に日中韓など16か国が包括的経済連携(RCEP)の交渉開始を宣言し、東アジアの広域統合計画が始動した。
 ASEANは
経済実利が見込める分野は結束し、南シナ海問題は分裂状態という「ゆがんだ共同体」の色を強めている。



 重ねて言いますが、中国包囲網への日本の関与を深めるとともに、ASEANの経済活力との連結が求められます。
 それを実現させてくれる新政権を誕生させる選択が、今度の選挙でなされることを願っています。



 # 冒頭の画像は、カンボジアで会談したオバマ大統領と温家宝首相




 アーモンドの実


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