2021年1月20日に第46代大統領に就任したバイデン大統領。
1年を経過した外交を、米国の外交専門誌フォーリンポリシー(FP)が評価しているのだそうで、宮家氏がご自身の評価もまじえて紹介していただいています。
外国の元首相を含む米内外の識者・専門家30人が、11科目につきA~Fで採点した。結果はAが僅か1人、C以下が7人、落第点も4人いるなど手厳しかったが、なぜか採点者には日本人が一人もいないのだと。
(A=1 + C以下=7 + 落第点=4 =12人 30人が評価なら18人の評価は? )
アフガンを撤退して、勢力を傾けたと言われる、中国・東アジア。
平均評価はB。豪元首相は、米国のアジア重視を歓迎だと。
宮家氏の評価はA、先週の日米首脳テレビ会談も成功だったと。問題は欧州や中東でロシアやイランがバイデン政権をテストし続け、一時的にせよ、米外交の優先順位が再びインド太平洋から「先祖返り」する恐れがあるとも。
欧州についての識者の評価はB-(マイナス)。
東欧の元首相は、米の関心が中東からアジアに移ったが、21世紀の対欧州政策は不明と。宮家氏の評価はさらに低く、米国の欧州政策が安定しないとロシアが再び暴れ出し米国が欧州に戻ってしまうからだと。
ロシアへの識者の評価は、何故かB+(プラス)だと宮家氏。欧米識者の高評価が理解できない。ロシアに対するバイデン政権の姿勢は「泥縄式」ではないのかと。
バイデン氏とプーチン氏との会談がありましたが、宮家氏は、真の評価は数週間以内にも定まるだろうと。
アフガニスタンの識者の評価はDとF。バイデン氏はトランプ氏がまとめた合意を再交渉せず、米軍完全撤退に固執し、撤退作業に失敗、アフガン人の信頼を失ったと手厳しい。
バイデン大統領の支持率低下が始まったのは、この撤退戦術の失政でした。
ただ、宮家氏は、撤退に混乱はあったが、米軍のアフガン撤退自体は戦略的に正しく、筆者ならBを与えると。
全体として、バイデン外交1年目は内外の期待を裏切る結果となったと宮家氏。
大統領の「老い」に一抹の不安はあるものの、就任1年でバイデン外交を評価するのは時期尚早で、宮家氏はあまり心配していないと。
中国、東アジアの項で、日本について触れ割れていないこと。識者に日本人が呼ばれていない事が、たまたまなのか、恣意的なものなのかが気がかりです。
周知のことですが、日本はアジアの同盟国です。中露と対峙する時、日本の役割は大きい。欧州各国は、対中包囲の為、空母や軍艦を派遣し、日米と合同演習し、日本にも寄港していて日本も応じています。
但し、冬季北京五輪には、米国が「外交的ボイコット」を呼びかけているのに対し、新規誕生した、岸田政権では、その逡巡する姿勢を、バイデン政権から、米中二股外交と見通され、岸田氏の就任に伴う面談による首脳会談申し入れに対し、期日回答を保留・延期し、やっと決まったら直接面談ではなくオンライン面談。しかも、宿題を背負わされています。
宮家氏は、日米首脳テレビ会談も成功とされていますが、二股外交姿勢と判断された岸田内閣は、支持率低落で苦悩するバイデン政権の怒りを買い、日米関係にヒビを生じさせました。
安倍氏が、過去にない、強固な日米関係を気づきましたが、親中議連や県連の代表を務めてきた、林外相や岸田首相のコンビを、警戒されています。
不審を抱かれた、岸田、バイデンの日中関係の今後。要注意ですね。
# 冒頭の画像は、日米首脳、オンライン会議の様子
この花の名前は、カリガネソウ
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA
1年を経過した外交を、米国の外交専門誌フォーリンポリシー(FP)が評価しているのだそうで、宮家氏がご自身の評価もまじえて紹介していただいています。
外国の元首相を含む米内外の識者・専門家30人が、11科目につきA~Fで採点した。結果はAが僅か1人、C以下が7人、落第点も4人いるなど手厳しかったが、なぜか採点者には日本人が一人もいないのだと。
(A=1 + C以下=7 + 落第点=4 =12人 30人が評価なら18人の評価は? )
【宮家邦彦のWorld Watch】バイデン外交1年の成績表 - 産経ニュース 2022/1/27
米国の外交専門誌フォーリンポリシー(FP)が過去1年のバイデン外交を総括する記事を掲載した。外国の元首相を含む米内外の識者・専門家30人が中国・東アジア、欧州、ロシアなど11科目につきA~Fで採点した。結果はAが僅か1人、C以下が7人、落第点も4人いるなど手厳しかったが、なぜか採点者には日本人が一人もいない。されば今回は勝手ながら、筆者も採点に加わることにした。
■中国・東アジア
FPに掲載された識者の平均評価はB。豪元首相は、米国のアジア重視を歓迎、トランプ氏よりはましとしつつも、バイデン氏の対中政策は確立していないとみる。これに対し筆者の評価はA、先週の日米首脳テレビ会談も成功だった。問題は欧州や中東でロシアやイランがバイデン政権をテストし続け、一時的にせよ、米外交の優先順位が再びインド太平洋から「先祖返り」する恐れである。
■欧州
識者の評価はB(マイナス)-、東欧の元首相は、米の関心が中東からアジアに移ったが、21世紀の対欧州政策は不明とする。筆者の評価はさらに低い。米国の欧州政策が安定しないとロシアが再び暴れ出し米国が欧州に戻ってしまうからだ。
■ロシア
なぜか識者の評価はB+(プラス)、バイデン氏の対露外交は正しいが、それをプーチン氏が評価しているとはかぎらないとする。筆者には欧米識者の高評価が理解できない。ロシアに対するバイデン政権の姿勢は「泥縄式」ではないのか。米対露外交の真の評価は数週間以内にも定まるだろう。
■中東
識者の評価はC+、バイデン対中東外交は受動的、自己矛盾、近視眼的、不明確のいずれかであり、中東諸国の信頼は薄いとする。パレスチナやイラン問題をバイデン政権が本気で動かそうとする意欲は筆者にも見えない。今後も中東で米国の強い指導力を期待するのは難しそうだ。
■アフガニスタン
識者の評価はDとF。バイデン氏はトランプ氏がまとめた合意を再交渉せず、米軍完全撤退に固執し、撤退作業に失敗、アフガン人の信頼を失ったと手厳しい。だが、筆者の評価は違う。撤退に混乱はあったが、米軍のアフガン撤退自体は戦略的に正しく、筆者ならBを与える。以下、紙面の都合で評価の概要のみ記そう。
■アフリカ
識者の評価は落第点に近い。バイデン政権にはアフリカに関するビジョンがないという。
■中南米
識者の評価はC。危機がない限り中南米の優先度は低いのか。
■気候変動
識者の評価はB、C、落第点と割れた。バイデン氏の政策は正しいが、内政的に気候変動の優先順位は低いようだ。
■パンデミック
識者の評価は割れた。米国内議論はいまだ収斂(しゅうれん)していない。
■国連・人道
識者の評価はB。バイデン政権の国連重視は歓迎するが、ここでもアフガン撤退失敗が評価を下げている。
■民主主義・人権
識者の評価はB-。民主主義重視は評価するが、具体性がなく戦略も欠いたとみる。
もうこのくらいにしよう。以上の通り、バイデン外交1年目は内外の期待を裏切る結果となった。バイデン外交安保チームの若さを指摘する向きもある。しかし、筆者はあまり心配していない。大統領の「老い」に一抹の不安はあるものの、就任1年でバイデン外交を評価するのは時期尚早だ。とりあえずは、ウクライナ危機へのバイデン政権の対応ぶりを注視したい。
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【プロフィル】宮家邦彦
みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、内閣官房参与、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
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米国の外交専門誌フォーリンポリシー(FP)が過去1年のバイデン外交を総括する記事を掲載した。外国の元首相を含む米内外の識者・専門家30人が中国・東アジア、欧州、ロシアなど11科目につきA~Fで採点した。結果はAが僅か1人、C以下が7人、落第点も4人いるなど手厳しかったが、なぜか採点者には日本人が一人もいない。されば今回は勝手ながら、筆者も採点に加わることにした。
■中国・東アジア
FPに掲載された識者の平均評価はB。豪元首相は、米国のアジア重視を歓迎、トランプ氏よりはましとしつつも、バイデン氏の対中政策は確立していないとみる。これに対し筆者の評価はA、先週の日米首脳テレビ会談も成功だった。問題は欧州や中東でロシアやイランがバイデン政権をテストし続け、一時的にせよ、米外交の優先順位が再びインド太平洋から「先祖返り」する恐れである。
■欧州
識者の評価はB(マイナス)-、東欧の元首相は、米の関心が中東からアジアに移ったが、21世紀の対欧州政策は不明とする。筆者の評価はさらに低い。米国の欧州政策が安定しないとロシアが再び暴れ出し米国が欧州に戻ってしまうからだ。
■ロシア
なぜか識者の評価はB+(プラス)、バイデン氏の対露外交は正しいが、それをプーチン氏が評価しているとはかぎらないとする。筆者には欧米識者の高評価が理解できない。ロシアに対するバイデン政権の姿勢は「泥縄式」ではないのか。米対露外交の真の評価は数週間以内にも定まるだろう。
■中東
識者の評価はC+、バイデン対中東外交は受動的、自己矛盾、近視眼的、不明確のいずれかであり、中東諸国の信頼は薄いとする。パレスチナやイラン問題をバイデン政権が本気で動かそうとする意欲は筆者にも見えない。今後も中東で米国の強い指導力を期待するのは難しそうだ。
■アフガニスタン
識者の評価はDとF。バイデン氏はトランプ氏がまとめた合意を再交渉せず、米軍完全撤退に固執し、撤退作業に失敗、アフガン人の信頼を失ったと手厳しい。だが、筆者の評価は違う。撤退に混乱はあったが、米軍のアフガン撤退自体は戦略的に正しく、筆者ならBを与える。以下、紙面の都合で評価の概要のみ記そう。
■アフリカ
識者の評価は落第点に近い。バイデン政権にはアフリカに関するビジョンがないという。
■中南米
識者の評価はC。危機がない限り中南米の優先度は低いのか。
■気候変動
識者の評価はB、C、落第点と割れた。バイデン氏の政策は正しいが、内政的に気候変動の優先順位は低いようだ。
■パンデミック
識者の評価は割れた。米国内議論はいまだ収斂(しゅうれん)していない。
■国連・人道
識者の評価はB。バイデン政権の国連重視は歓迎するが、ここでもアフガン撤退失敗が評価を下げている。
■民主主義・人権
識者の評価はB-。民主主義重視は評価するが、具体性がなく戦略も欠いたとみる。
もうこのくらいにしよう。以上の通り、バイデン外交1年目は内外の期待を裏切る結果となった。バイデン外交安保チームの若さを指摘する向きもある。しかし、筆者はあまり心配していない。大統領の「老い」に一抹の不安はあるものの、就任1年でバイデン外交を評価するのは時期尚早だ。とりあえずは、ウクライナ危機へのバイデン政権の対応ぶりを注視したい。
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【プロフィル】宮家邦彦
みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、内閣官房参与、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
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アフガンを撤退して、勢力を傾けたと言われる、中国・東アジア。
平均評価はB。豪元首相は、米国のアジア重視を歓迎だと。
宮家氏の評価はA、先週の日米首脳テレビ会談も成功だったと。問題は欧州や中東でロシアやイランがバイデン政権をテストし続け、一時的にせよ、米外交の優先順位が再びインド太平洋から「先祖返り」する恐れがあるとも。
欧州についての識者の評価はB-(マイナス)。
東欧の元首相は、米の関心が中東からアジアに移ったが、21世紀の対欧州政策は不明と。宮家氏の評価はさらに低く、米国の欧州政策が安定しないとロシアが再び暴れ出し米国が欧州に戻ってしまうからだと。
ロシアへの識者の評価は、何故かB+(プラス)だと宮家氏。欧米識者の高評価が理解できない。ロシアに対するバイデン政権の姿勢は「泥縄式」ではないのかと。
バイデン氏とプーチン氏との会談がありましたが、宮家氏は、真の評価は数週間以内にも定まるだろうと。
アフガニスタンの識者の評価はDとF。バイデン氏はトランプ氏がまとめた合意を再交渉せず、米軍完全撤退に固執し、撤退作業に失敗、アフガン人の信頼を失ったと手厳しい。
バイデン大統領の支持率低下が始まったのは、この撤退戦術の失政でした。
ただ、宮家氏は、撤退に混乱はあったが、米軍のアフガン撤退自体は戦略的に正しく、筆者ならBを与えると。
全体として、バイデン外交1年目は内外の期待を裏切る結果となったと宮家氏。
大統領の「老い」に一抹の不安はあるものの、就任1年でバイデン外交を評価するのは時期尚早で、宮家氏はあまり心配していないと。
中国、東アジアの項で、日本について触れ割れていないこと。識者に日本人が呼ばれていない事が、たまたまなのか、恣意的なものなのかが気がかりです。
周知のことですが、日本はアジアの同盟国です。中露と対峙する時、日本の役割は大きい。欧州各国は、対中包囲の為、空母や軍艦を派遣し、日米と合同演習し、日本にも寄港していて日本も応じています。
但し、冬季北京五輪には、米国が「外交的ボイコット」を呼びかけているのに対し、新規誕生した、岸田政権では、その逡巡する姿勢を、バイデン政権から、米中二股外交と見通され、岸田氏の就任に伴う面談による首脳会談申し入れに対し、期日回答を保留・延期し、やっと決まったら直接面談ではなくオンライン面談。しかも、宿題を背負わされています。
宮家氏は、日米首脳テレビ会談も成功とされていますが、二股外交姿勢と判断された岸田内閣は、支持率低落で苦悩するバイデン政権の怒りを買い、日米関係にヒビを生じさせました。
安倍氏が、過去にない、強固な日米関係を気づきましたが、親中議連や県連の代表を務めてきた、林外相や岸田首相のコンビを、警戒されています。
不審を抱かれた、岸田、バイデンの日中関係の今後。要注意ですね。
# 冒頭の画像は、日米首脳、オンライン会議の様子
この花の名前は、カリガネソウ
↓よろしかったら、お願いします。
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