遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

トランプ氏 「なぜ『一つの中国』政策に縛られないといけないのか」

2016-12-12 23:58:58 | 米国 全般
 トランプ次期大統領が、台湾の蔡英文総統と電話で会談したことに中国からの抗議があり、これに対し、トランプ氏が「一つの中国」政策に拘らない旨の発言をし、更に中国が態度を硬化する事態が起きました。
 国務長官人事が定まらず、外交姿勢が未明のトランプ氏ですが、オバマ政権に比べ、親露、反中的発言が目立つようになってきている様に感じますが、いかがでしょう。

 
中国、トランプ氏と台湾総統の電話会談に抗議 - BBCニュース
 
トランプ氏「一つの中国に縛られず」 中国の反発必至  :日本経済新聞

 【ワシントン=吉野直也】トランプ次期米大統領は11日放送のFOXテレビの番組で、米国が台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」という従来の政策を維持していくかは、中国の対応次第だとの考えを表明した。相手を揺さぶりながら交渉を優位に運ぼうとするトランプ流の発言とみられるが、中国の反発は必至だ。

 トランプ氏は同番組で「私は完全に『一つの中国』政策を理解している」と力説。一方で
「貿易関係などで(中国と)合意を得られなければ、なぜ『一つの中国』政策に縛られないといけないのか」と言明した。「一つの中国」政策を維持するかどうかを見極める具体的な政策として中国の通貨政策や、南シナ海での海洋進出、北朝鮮の問題での対処を挙げた

 「一つの中国」政策を維持する中で断交を続けていた米台だが、トランプ氏は2日に台湾の蔡英文総統と電話で協議。米次期大統領と台湾の総統とのやり取りは1979年の断交以来、初めて明らかになった。ペンス次期米副大統領はこれに関して「米国の中台政策に変更はない」と述べ、「一つの中国」政策を維持する方針を示していた。
 
トランプ氏は次期駐中国米大使に、親中派とされる中西部アイオワ州のテリー・ブランスタド知事を指名した。85年に農業視察団員として同州を訪れた習近平国家主席の「旧友」といわれ、トランプ氏は声明で「中国指導部と相互に有益な関係を築ける」と表明。中国に対しては硬軟両面の姿勢
をみせていた。

 
中国は台湾問題を譲歩できない「核心的利益」と位置づけている。2日の蔡総統との電話協議についてトランプ陣営に抗議
したばかり。中国外務省は「台湾問題は米中関係のなかで常に最も重要で、最も敏感な問題だ」と強調し、台湾問題を適切に扱うよう求めていただけに衝撃は大きい。
 中国外務省はトランプ氏の出方を見極めるため、正式就任前の言動には抑制的に反応する方針を示している。ただ、外交関係者の中にはトランプ氏の外交政策への不信感が徐々に高まっている。共産党機関紙の人民日報系の「環球時報」(電子版)は「トランプ氏は外交経験がないため強硬派の影響を受けやすい」と警戒感を示した。

 トランプ氏は11日放送のテレビ番組で蔡氏との電話協議を「聞かされたのは1、2時間前だ。会話は短時間で、お祝いを受けた。電話を取らないのは失礼」と説明。米中央情報局
(CIA)が大統領選でロシアの介入があったと結論づけたとの米メディアの報道には、「ばかげている」と一蹴した。

 余談ですが、記事文末の、CIAがロシアの米大統領選での、ヒラリー候補のメールへのサイバー介入断定については、FBIの選挙戦終盤での疑惑表明のマッチ・ポンプで形勢に影響を及ぼした動機の謎と照合する話で興味深いのですが、ここでは触れません。
 中国は、態度を硬化しています。
 
中国が強い懸念表明、「一つの中国」めぐるトランプ氏発言で | ロイター

 トランプ次期大統領誕生で揺れ始めた様に見える、米露、米中関係。日本は、どう対応すれば良いのか。産経の田村編集委員は、対中戦略でトランプ次期政権と足並みをそろえるチャンス到来だと指摘しておられます。
 

日米緊密・米中緊張の時代 通貨と安全保障政策は一体で 編集委員・田村秀男 (12/11 産経 【日曜経済講座】)

 
トランプ次期米政権では、かつてない日米緊密、米中緊張の構図になりそうだ。米金融市場の中国マネー依存が薄れたために、日本の金融協力を支えにしたトランプ・チームは選挙公約通り、対中強硬策に打って出られるからだ。

 
米国は圧倒的な軍事力を誇る覇権国家だが、弱点がある世界最大の債務国であり、外部からの資本流入に依存せざるをえないのだ。今年6月末の米国の対外純負債は8兆ドルであるのに対し、世界最大の債権国、日本は3・1兆ドル、中国はドイツとほぼ同水準の1・7兆ドルの対外純資産を持つ。ドイツは足元のユーロ金融市場を下支えするのに手いっぱいだから、米金融市場は日本と中国からの資金によって支えられている


 
  
 グラフは、日中の対米貿易収支と米国債保有の推移だ。中国の貿易黒字が2001年以降、急膨張しているのに比べて、日本の方は縮小傾向をたどっている。中国は貿易収支黒字分の一部を米国債購入に充当し、08年には日本を抜いて最大の米国債保有国になった。
 同年9月15日の
リーマン・ショック
でパニックになったポールソン財務長官(当時、以下同)は中国の王岐山副首相に電話をかけ、経営危機の金融大手モルガン・スタンレーへの出資を打診した。脈があるとみれば、ブッシュ大統領と胡錦濤国家主席との電話会談をセットするつもりだったという(ポールソン氏の回想録から)。
 救済交渉は不発に終わったが、
ワシントンは北京に米国債購入を求め続けた
。09年1月に発足したオバマ政権のヒラリー・クリントン国務長官は翌月に訪中、中国政府首脳と米国債購入条件を詰めた。クリントン氏は中国の人権侵害を一切口にせず、ひたすら下手に出たが、側近には「米国債のお客さんにへりくだるなんて」とぼやいた。北京は米国債を買い増しし続け、金融不安におののくオバマ政権とウォール街を安堵(あんど)させた。
 
以来、オバマ政権は北京に頭が上がらないままで、中国の南シナ海への進出や北朝鮮への国連制裁無視などに対して弱腰対応で終始してきた。さらに15年11月には習近平国家主席が執念を燃やしてきた人民元の国際通貨基金(IMF)・特別引き出し権(SDR)入りにも応じた。「国際通貨人民元」をテコにアジア全域を中国の勢力圏に取り込もうとする北京に対し、オバマ政権は無抵抗
だった。

 グラフに戻ろう。
米国の対中貿易赤字は膨張の一途で、最近でも米貿易赤字総額の5割近くを占めているのだが、米国債保有額は減少に転じ、日本の保有額と並んだ

 国債を含む米国の証券投資収支(購入と売却の差額)は、
中国は最近、年間で1200億~1300億ドルの純売却になっており、その5割近い分を日本の純購入で埋めている中国は対米貿易黒字で年間約3500億ドルを稼いでいるが、それを米市場に還流させるどころか、さらに米市場から投資を引き揚げている
。不動産バブル崩壊不安が漂う中国からの巨額の資本流出に伴い、北京当局が外貨準備のドル資産を売って、人民元を買い支えざるをえなくなっている。
 
ワシントンは中国の金融パワーに頭を下げる情勢ではなくなった
。大統領選でオバマ路線を継続し、中国に接近するクリントン氏が敗れ、路線をひっくり返すトランプ氏が勝つだけの大変化が米金融市場に起きたのだ。

 
トランプ氏は、北京が人民元相場を低めに操作して対米輸出を増やし、米国の中間層から雇用機会を奪っていると非難、「中国製品に45%の制裁関税をかける」と息巻く。最近のツイッターでは、米企業の競争力が損なわれる人民元の切り下げと、南シナ海での巨大な軍事施設の建設を並べ立てて引き合いに出し、「中国が米国に対し、そうしてもよいかと尋ねたのか。俺はそうは思わない!」と書き込んだ。トランプ氏は経済、軍事の区別なく、中国の脅威に立ち向かおうとしている
。正論だ。

 一方、
日本の対中経済政策はこれまで、官僚の縦割りの弊害でまとまりを欠いていた。通貨を縄張りにする財務省は親中派が多数を占め、人民元のSDR化に賛同した。外交・安全保障を仕切る外務省は経済音痴で、ワシントンの意向次第
だ。通貨、貿易を原動力として軍事的脅威をアジアにまき散らす中国共産党の仕掛けに関し、日本の官僚は気に留めなかった。

 安倍晋三政権はこの機を逃してはならない。
通貨と安全保障を一体にした対中戦略でトランプ次期政権と足並みをそろえるチャンスである。

 トランプ次期大統領誕生後の、日米中の関係にどのような変化が生じるのか。日本は、どう対応すべきか。
 安倍政権の長期化が可能になり、欧州も含めた変動期を、安定した政権で対応できる日本は恵まれたと言えますね。安倍政権の、日本復活の国益確保と世界平和(中露の力による現状変更への牽制)への貢献対応に期待します。



 # 冒頭の画像は、FOXテレビのインタビューを受け、「一つの中国」について語るトランプ次期大統領




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