遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国のA2/ADを無力化する新兵器出現

2016-06-13 23:58:58 | 中国 全般
 中国の多種・大量のミサイルは、A2/AD戦略として対米艦隊への大きな脅威となっています。米軍は、ASB(Air Sea Battle、現在ではJAM-GCに名称が変更された)戦略での対抗を進めてきました。また、日本各地の重要拠点に照準を合わせて配備されている多量の各種ミサイルへの防御も、同時に多量のミサイルの飛来への対応には限界があります。
 米軍はこれに対処する方策としてレールガンや指向性エネルギー兵器を開発してきているのだそうです。
 シンクタンクCSBA(戦略・予算評価センター)によれば、有望な兵器で、今後5~10年以内に実戦配備される可能性のある兵器は、レールガンと指向性エネルギー兵器である固体レーザー(SSL:Solid State Laser)と高出力マイクロ波(HPM:High Power Microwave)兵器なのだそうで、実戦配備の時期はSSLとHPMが5年以内、レールガンが5年から10年と見積もっているのだそうです。
 

中国を震え上がらせる秘密兵器、レールガンの実力 飽和ミサイル攻撃に対処でき、南西諸島防衛にも最適 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.6.13(月) 渡部 悦和

 
WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、5月31日、米海軍が開発中の電磁レールガン(以下、レールガンと表現する)について、「米国のスーパーガン」という表現でその能力と安全保障に及ぼす影響についてかなりセンセーショナルに報道した。
 私は、以前からレールガンや指向性エネルギー兵器(DEW: Directed Energy Weapon、 後述のレーザー兵器や高出力マイクロ波兵器のこと)に注目してきた。
 なぜならば、これらの兵器が完成し実戦配備されれば、
中国やロシアのA2/AD(Anti-Access/Area Denial:接近阻止/領域拒否)の脅威、特に対艦弾道ミサイルや対地弾道ミサイルの脅威を大幅に削減することができる
からである。
米軍にとっては、レールガンを装備することにより、アジアの作戦地域への接近が再び可能となる。


 A2/ADに対抗する米軍の作戦構想であるASB(Air Sea Battle、現在ではJAM-GCに名称が変更された)で想定していた「空母などの大型艦艇の損害を避けるために、紛争直後に一時期、中国の対艦弾道ミサイルの射程外に後退させる」などの作戦が不必要になり、日米同盟の信頼性の向上にも寄与することが期待できる。
 また、
我が国の重要施設(空港や港湾など)の防衛や南西諸島の防衛において、諸外国による各種ミサイルの攻撃や航空攻撃に対して有効に対処できる可能性が増大する。
<中略>


■3 レールガンやDEWが米軍に及ぼす影響
●中国やロシアのA2/AD能力を制約できる
レールガンが実際に配備されれば、中国、ロシアなどの各種ミサイルによる攻撃や航空攻撃を制約することが可能になる
 そもそもA2/ADのA2(Anti-Access)は接近阻止という意味であるが、相手の各種ミサイルによって作戦地域に接近できないことを意味していた。
 中国の人民解放軍(PLA)は、空母キラーと言われている対艦弾道ミサイルDF-21Dを筆頭としていくつかの対艦ミサイルを幾重にも配備して、米海軍の接近を拒否している。
 しかし、
レールガンなどを導入することによって対艦ミサイルの攻撃を排除し、作戦地域への接近が可能となる

 また、A2/ADのADはArea Denial(領域拒否)で作戦地域における作戦を拒否するという意味であるが、
レールガンなどの導入により、作戦地域におけるミサイルや航空攻撃の脅威が軽減され、日本周辺での作戦が継続できる
ことになる。
 これを別の表現で説明すると、「
中国のミサイルによる飽和攻撃(同時に多数のミサイルを使用する攻撃)に対処が可能になる
」ということである。

 現在、米軍特に海軍の空母をはじめとする大型艦艇にとって中国のA2/AD能力は大きな脅威である。特に、DF-21Dなどの対艦弾道ミサイルによる飽和攻撃に対して、現在の防衛システムでは対処困難であるが、1分間に10発の射撃が可能であるレールガンを主体としたミサイル防衛システムを構築すると、飽和攻撃への対応が可能になることが期待される。

●在日米軍基地の脆弱性が改善される
 レールガンを地上に配置すると、地上部隊のみならず、重要な空港、港湾などの重要施設の防護が可能になる。このことは、中国のミサイル攻撃や航空攻撃の脅威に対する在日米軍基地の脆弱性問題の解決が可能になることを意味する。

●米軍の前方展開戦略が可能になる
 ASB(Air Sea Battle)作戦構想の弱点であった、「紛争初期において中国のミサイル攻撃を避けてその射程外に一度下がってから、将来の攻撃を準備する」という行動が不必要になることを意味する。
 この米軍が一時下がるという行動は、日米同盟の信頼性に大きなマイナスであったが、それが改善されるということである。

●ASBで考えられていた長距離作戦が必ずしも必須でなくなる
 前方展開が可能になるということは、米本土の周辺から、遠距離の作戦を強いられるという状況が緩和されるということである。第3次相殺戦略で考えていた長距離爆撃機や無人機システムの活用などに対する再検討が必要になってくる。

■4 レールガンやDEWが日本の防衛に及ぼす影響
●自衛隊の南西防衛にとって大きなプラス
 各種報道によると、奄美大島、宮古島、石垣島などの島々に陸上自衛隊が配備される可能性があるが、これらの島々の中でいくつかの島には、対艦ミサイル部隊と対空ミサイル部隊が配備されることになるであろう。
 しかし、
これらの部隊の最大の問題は、相手の各種ミサイルによる飽和攻撃と航空攻撃に脆弱
だという点である。
 まず制空権の確保は当然であるが、その他に掩体を構築して部隊を防護するという対処策はあるが、これはあくまでも防御オンリーの手段である。
相手のミサイルによる飽和攻撃と航空攻撃に対し、より積極的に対応しようと思えば、攻撃と防御の能力を兼ね備えたレールガンは理想的な兵器
となり得る。
 また、レールガンの地上配備が可能になれば、
理論的にはレールガンの部隊のみで対艦任務と対空任務の2つの任務を遂行可能
である点も指摘したい。
 さらに、レールガンを南西諸島周辺のチョークポイントを支配する場所に配置すれば、陸上部隊でチョークポイントの支配が理論的には可能になる。

●MD(ミサイル防衛)能力が改善され首都圏等の防衛にプラスである
 レールガンを中心にしたMD(ミサイル防衛)システムを構築し、我が国のSM-3やPAC3を中心としたBMD(弾道ミサイル防衛)システムと組み合わせると、より効果的なMDシステムになる可能性がある。

■結言
 米国をはじめとする主要国の兵器の技術開発競争は激しく、技術の進歩は日進月歩であり、
技術の進歩に遅れた国が将来の戦いにおいて敗者となる

 中国の人民解放軍のA2/AD能力の進歩には目覚ましいものがあり、
米軍はこれに対処する方策としてレールガンや指向性エネルギー兵器を開発してきた

 本稿では、特にレールガンに焦点を当てて記述してきたが、レールガンよりも早く高出力レーザーや高出力マイクロ波兵器が実用化されるであろう。複数の手段を開発できる米軍の底力を改めて認識する。

 我が国の防衛を考えれば、
自衛隊の南西諸島の防衛や首都防衛などにおいて、各種ミサイルの飽和攻撃に対する脆弱性は克服すべき喫緊の課題である。レールガンは、わが国の防衛におけるゲームチェンジャーになる可能性
がある。
 防衛省でも、レールガンなどの開発を行っているが、是非とも早期に優秀な装備品を開発し装備化してもらいたいものである。


 朗報ですね。同時に、軍事バランスで対等な力を持つことをめざし、太平洋の二分割を持ちかけている中国にとっては、封じ込めになる大逆転の脅威出現となります。
 日本にも配備されれば、日中の軍事バランスも大きく改善されます。
 南シナ海の制海・空権の確保を進める中国は、どう対応するのでしょう。軍事力拡大での覇権拡大路線をあきらめて、おとなしく共存・平和路線へ転換するのか、更に軍備増強路線の強化を推進するのか。
 
 急速な経済成長によってもたらされた国富で、軍事費と治安費も急拡大させ、札束外交で途上国はもとより、欧州の先進諸国まで傅かせている中国。その経済成長に陰りが見え始めている今後も、これまで通りの裕福な財政支出が継続は出来なくなります。
 失速する経済対策への財政出動、環境破壊対策への投資、格差社会是正への投資が山積するなかで、軍事費のこれまでの様な投資拡大継続は出来るのでしょうか。
 米国が軍事予算削減に転換している(なので、中国の軍事力が米国に接近しつつある)様に、中国の軍事費の拡大も、限界に達する時はきます。その時、お金で抑えてきた軍を、政府がどうやって制御できるかの課題がありますが、ここでは触れません。

 北朝鮮のミサイル発射の予告や予知で、時間をかけて防衛配備をしている現状を観て、本番ではそんな悠長なことで間に合うのか、多量に飛来するミサイルをどれだけ撃ち落とせるのか、不安をいだかないひとはいないはずです。
 相手が中国となれば、ミサイルの威力(原水爆を含む)や物量は、北朝鮮の比ではありません。
 
 それが、安価に水陸両面に配備出来て、敵の攻撃を無力化出来る大きな抑止力が備わる。
 中国も、秘かに、対抗兵器の開発は進めるとしても、力での覇権拡大はあきらめて、平和共存の道を選択せざるを得なくなりますね。



 # 冒頭の画像は、レールガンを搭載可能な、ズムウォルト級(Zumwalt-class )駆逐艦




  ヒノデキリシマ


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写真素材のピクスタ


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中国、核ミサイルの標的 (角川oneテーマ21)
日本が中国の「自治区」になる




 

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