![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/ac/3cafd57e8163051833e96a923e614a24.jpg)
英情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム長官と米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は7月6日、MI5の本部があるテムズ川沿いの「テムズ・ハウス」で産業界、学術界のリーダーを前に異例の合同演説を行い、「中国共産党が米英両国の国益にもたらす脅威が増大している」と警告を発したと、元産経新聞ロンドン支局長の木村氏。
「FBIとMI5のトップが公の場で意見を交わすのは初めてのことだ。共通の大きな課題である中国に対して明確な意思表示をするためだ」と、英米両トップ。
MI5のマッカラム長官は、世界を見渡せば、“独裁者”ウラジーミル・プーチン露大統領によるウクライナ侵攻とロシアスパイの秘密工作他、リスクが増大している。しかし「今日のテーマは、その対極にある」と強調。
「私たちが直面している最も大きな変化は中国共産党によるものだ。中国共産党は密かに世界中に圧力をかけている。大規模な組織的キャンペーン。電光石火のスピードではなく、数十年にわたる戦略的な戦いである。個人の突出した行動ではなく、中国共産党の計画的で専門的な活動を私たちはいま目の当たりにしている」と。
少し前までは、貿易重視で対中国接近姿勢だった、英独仏などの姿勢が変わり始めているのですね。
(1)世界をリードする専門知識、技術、研究、産業上の優位性が中国共産党によって危険にさらされている
(2)組織やスタートアップ、大学を要塞化せず守るためにできることはたくさんある(3)法律によって企業や個人が中国共産党に協力することを強制されるような国家ぐるみのアプローチを採用している
とマッカラム氏は会合の参加者に注意を喚起したのだそうです。
中国共産党は実際さまざまな方法を使って英米の優位性を崩しつつあると木村氏。
まず「秘密の窃取」だ。昨年、中国スパイのシュー・イェンジュン被告が米裁判所で経済スパイと米航空セクターの企業秘密窃取の罪で有罪判決を受けた。同被告は欧州でも活動しており、航空宇宙産業を標的とした中国の情報機関、国家安全部の大規模なネットワークに参加していたのだそうです。
また、スパイ活動は行わずに正面から「技術移転」する方法もあると木村氏。
英国に拠点を置く精密エンジニアリング企業スミスズ・ハーローは2017年、中国企業フューチャーズ・エアロスペースと契約を結んだ。フューチャーズ・エアロスペース社は品質管理の手順とトレーニングコースのために300万ポンド(約4億9000万円)を支払った。スミスズ・ハーロー社は20年に経営破綻。
3つ目の方法は「研究を通じた窃取」。
20年、米国は中国人民解放軍の大学出身の研究者に対する特定分野の新規ビザの発給を停止。英国でも国防機密の漏洩を防ぐため学術技術承認制度を改革。この結果、人民解放軍とつながりのある学生50人以上が退学に追い込まれたと木村氏。
中国共産党は外交官を装ったスパイを活用する古典的な方法だけではなく、機密情報を複数ルートで収集する「千の砂粒」作戦も展開しているのだそうです。
人脈を開拓する専門家向けネットワーキング・サイトが悪用されるのは有名だと木村氏。
中国国家安全部が主導する3つの「持続的標的型(APT)攻撃」グループによって英政府や産業界のさまざまなターゲットが攻撃されたとも。
英国の情報機関は、昨年、このようなサイバースパイ行為を未然に防ぐため、37カ国と情報を共有。今年5月には、重要な航空宇宙企業を標的としたAPT攻撃を阻止したのだそうです。
MI5の警告文書によると、中央統戦部は中国共産党の主張を広げる一方で中国共産党の政策に敵対する勢力に対抗するため、虚偽や賄賂、脅しなど硬軟織り交ぜた方法で相手国の政治家や有力者に近づいて親密な関係を構築する。手なずけた協力者に中国共産党の主張に沿った言動をさせたり、都合の悪いことには口をつぐませたり海外の世論に「干渉」する部局なのだそうです。
毛沢東が中国共産党の「魔法の武器」と評した中央統戦部は、ネットワークを通じて中国共産党寄りの声を増幅し、中国共産党の正当性や権威に疑問を呈する声を封じ込める。
英中の「エリート関係」について研究した英エクセター大学のマーティン・ソーリー研究員は昨年1月、英下院外交委員会に「外務省の評価手続きは重大な落とし穴を避けなければならない」との書面による証拠を提出している。ソーリー研究員は、営利団体が重要な国家インフラを含む英政府の政策に影響力を行使する方法は無数に存在する、という。
中国が影響力を行使するさまざまなチャネルがある。2010年代にはビシネスが国家安全保障や主権より優先される事例が多く見られたとソーリー研究員は指摘。
多くの中国木々用は、中国共産党の影響力の範囲内にあり、中国共産党が重要と考える事項についてはその意思に従わなければならない。
英国のブラッドウェルB原発プロジェクトでは中国広核集団(CGN)が主導権を握り、独自の原子炉「華竜1号」を設置する合意が交わされた。この英政府決定は英国内の多くの安全保障専門家の意に反して行われた。
商業的関心を持つグループにとって英国の国家安全保障は関心事ではなかった。
こうして権力を強引に行使する必要のない『潜在的ネットワーク』が形成される」とソーリー研究員は解説。
国家の安全保障や理念より、企業の利益が優先される。
余談ですが、日本の岸田政権でも、米英のメジャーがサハリンから撤退するなか、商工会議所や経団連のトップの企業利益優先の要望に応じて、撤退しない宣言。
しかし、ロシア側から非友好国指定をされた挙句、サハリンの企業体形変更で、日本が締め出される方向へ。
完全な、外交大失政!
次期英首相を決める与党・保守党の党首選が行われている英国。党員による決選投票で優位に立つのはリズ・トラス外相。中国の台頭を抑えるため「自由のフロンティア」構築を呼びかける対中最強硬派。「自由のフロンティア」になるのは「ファイブアイズ」や「日米豪印(クアッド)」だと。対中包囲網は一段と強固になりそうだと木村氏。
G7等、が勇崎では歩調を合わせ、防衛費増強を明言しながら、国内では、GDP比 2%への予算拡大推進派の時間を更迭する岸田氏。
北京冬季五輪で、バイデン氏が「外交的ボイコット」を呼びかける中、中国に忖度して米中二股外交に揺れた岸田氏。バイデン氏との、自身の就任に伴い面談日程を保留され、挙句オンライン面談へ格下げという、代々培われてきた日米の首脳関係にヒビを生じさせた大失政。
G7で、トランプ氏とメルケル氏が対立する仲をとりもつまでに日本の外交力を高めた安倍氏の功績を壊すばかりの岸田氏。日本を沈没させるのではないかと危惧されます。
# 冒頭の画像は、中国共産党旗の前で敬礼する兵士
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/7b/7190a93cc0c0bc07029bbec3015642ae.jpg)
この花の名前は、マドンナリリー
↓よろしかったら、お願いします。
![](http://www.dff.jp/pix/dfflinkbanner9.24.2.gif)
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
![写真素材のピクスタ 写真素材のピクスタ](https://pixta.jp/img/affiliate/banner/photo/468x60.gif)
![Fotolia](http://static.fotolia.com/pics/jp/banners/static/468x60.gif)
![](//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=4040823737&Format=_SL160_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=yuujiizakki07-22&language=ja_JP)
![](//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=4828423990&Format=_SL160_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=yuujiizakki07-22&language=ja_JP)
![](//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=4299025458&Format=_SL160_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=yuujiizakki07-22&language=ja_JP)
![](https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=yuujiizakki07-22&language=ja_JP&l=li2&o=9&a=4299025458)
「FBIとMI5のトップが公の場で意見を交わすのは初めてのことだ。共通の大きな課題である中国に対して明確な意思表示をするためだ」と、英米両トップ。
英MI5、米FBIの両トップが警鐘「主敵はロシアではない、中国共産党だ」 政界、産業界、研究機関にも…西側社会に深く広く浸透する中国 | JBpress (ジェイビープレス) 2022.7.26(火) 木村 正人 (元産経新聞ロンドン支局長 ロンドン在住)
異例の「意見表明」と言っていいだろう。英情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム長官と米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は7月6日、MI5の本部があるテムズ川沿いの「テムズ・ハウス」で産業界、学術界のリーダーを前に異例の合同演説を行った。そこで「中国共産党が米英両国の国益にもたらす脅威が増大している」と警告を発したのだ。
「私たち2つの組織は1世紀以上前に誕生し、長い間、密接に連携してきた。FBIのロンドン支局は1942年に開設されたが、FBIとMI5のトップが公の場で意見を交わすのは初めてのことだ。共通の大きな課題である中国に対して明確な意思表示をするためだ」
ホスト役のマッカラム氏は自由経済と民主主義、法の支配の価値を守るためにこう協力を呼びかけた。
世界を見渡せば、“独裁者”ウラジーミル・プーチン露大統領によるウクライナ侵攻とロシアスパイの秘密工作、シリア、ソマリア、アフガニスタンのイスラム過激派や、極右活動家がサイバー空間でさらに過激化し、単独で予測不可能なテロを起こすリスクが増大している。しかしマッカラム氏は「今日のテーマは、その対極にある」と強調した。
「私たちが直面している最も大きな変化は中国共産党によるものだ。中国共産党は密かに世界中に圧力をかけている。大規模な組織的キャンペーン。電光石火のスピードではなく、数十年にわたる戦略的な戦いである。個人の突出した行動ではなく、中国共産党の計画的で専門的な活動を私たちはいま目の当たりにしている」(マッカラム氏)
専門知識、技術、研究、産業上の優位性が危険にさらされている
(1)世界をリードする専門知識、技術、研究、産業上の優位性が中国共産党によって危険にさらされている(2)組織やスタートアップ、大学を要塞化せず守るためにできることはたくさんある(3)法律によって企業や個人が中国共産党に協力することを強制されるような国家ぐるみのアプローチを採用している――とマッカラム氏は会合の参加者に注意を喚起した。
中国共産党は実際さまざまな方法を使って英米の優位性を崩しつつある。まず「秘密の窃取」だ。昨年、中国スパイのシュー・イェンジュン被告が米裁判所で経済スパイと米航空セクターの企業秘密窃取の罪で有罪判決を受けた。同被告は欧州でも活動しており、航空宇宙産業を標的とした中国の情報機関、国家安全部の大規模なネットワークに参加していた。
スパイ活動は行わずに正面から「技術移転」する方法もある。英国に拠点を置く精密エンジニアリング企業スミスズ・ハーローは2017年、中国企業フューチャーズ・エアロスペースと契約を結んだ。フューチャーズ・エアロスペース社は品質管理の手順とトレーニングコースのために300万ポンド(約4億9000万円)を支払った。スミスズ・ハーロー社は20年に経営破綻した。
3つ目の方法は「研究を通じた窃取」だ。20年、米国は中国人民解放軍の大学出身の研究者に対する特定分野の新規ビザの発給を停止した。英国でも国防機密の漏洩を防ぐため学術技術承認制度を改革した。この結果、人民解放軍とつながりのある学生50人以上が退学に追い込まれた。米英両国とも国家安全保障上の優位性が中国に崩させるのを防ぐため対策を取りはじめている。
「千の砂粒」作戦
中国共産党は外交官を装ったスパイを活用する古典的な方法だけではなく、機密情報を複数ルートで収集する「千の砂粒」作戦も展開している。ドイツでは引退した政治学者と妻が外交政策シンクタンクを運営し、10年近くも中国に情報を流していた。エストニアでは北大西洋条約機構(NATO)の海洋学者がシンクタンクのためと称して中国の仲介者に情報を渡していた。
人脈を開拓する専門家向けネットワーキング・サイトが悪用されるのは有名だ。英航空専門家はネット上でアプローチを受け、魅力的な雇用機会を提供された。この専門家は2度にわたって中国を訪れ、接待を受けた。軍用機の詳細な技術情報を要求され、報酬を受け取った。その企業は実は中国のスパイによって運営されていた。
中国国家安全部が主導する3つの「持続的標的型(APT)攻撃」グループによって英政府や産業界のさまざまなターゲットが攻撃された。もちろん最終目標は内部情報の窃取だ。
昨年、このようなサイバースパイ行為を未然に防ぐため、英国の情報機関は37カ国と情報を共有した。今年5月には、重要な航空宇宙企業を標的としたAPT攻撃を阻止したという。
MI5は30年前からこう助言してきた。
「中国のスパイが欧米人に接近する主な動機は『友人』を作ることだ。いったん『友人』になれば、その関係を利用して合法的または商業的に入手できない情報を入手して中国の利益につなげる。利害関係はゆっくり構築される。ターゲットは負い目を感じ、見返りを求める必然的な要求を最終的に拒否できなくなる」
「中国スパイが議会のプロセスを妨害」
その助言で示唆されているような事例が、つい最近も明らかになった。
今年1月、MI5が、英下院議長を通じ、ロンドンを拠点に活動する中国人弁護士クリスティン・リー氏が中国共産党中央統一戦線工作部(中央統戦部)の意向を受け下院議員に近づき影響力を行使していると全下院議員に異例の警告を発したのだ。リー氏は香港新界生まれで11歳の時、両親とともに英・北アイルランドに移住してきた。
リー氏は中国人ジャーナリストに「他の生徒は私のことを『チンキー』と呼び、二流市民として扱い、『中国に帰れ』と侮蔑した。同級生と同じテーブルで食事をしていた時、砂糖を回してくれるよう頼んだら、塩をミルクティーに入れられた。不味かったが、我慢して飲み干した。いじめられたらブルース・リーのカンフーのフリをして逆に怖がらせた」と打ち明けている。
MI5の警告文書によると、中央統戦部は中国共産党の主張を広げる一方で中国共産党の政策に敵対する勢力に対抗するため、虚偽や賄賂、脅しなど硬軟織り交ぜた方法で相手国の政治家や有力者に近づいて親密な関係を構築する。手なずけた協力者に中国共産党の主張に沿った言動をさせたり、都合の悪いことには口をつぐませたり海外の世論に「干渉」する部局だ。
リー氏は在ロンドンの事務弁護士で、在英中国大使館の首席法律顧問、国務院華僑事務弁公室の法律顧問、中国海外友好協会、英議会超党派中国グループの幹事を務め、英国における中国人コミュニティーの顔役になった。と当時に、中央統戦部と協力して超党派議員グループなどを通じ英政界に影響力を行使していた。
「中国人が団結して強くなれば、誰も私たちをいじめなくなる」
「中国人が団結して強くなれば、誰も私たちをいじめなくなる」というリー氏は中国共産党の意向を受け、現役議員や政治家の卵への献金を斡旋。献金は出所を隠すため秘密裏に行われていた。英紙によると、最大野党・労働党のジェレミー・コービン前党首に近いバリー・ガーディナー下院議員に50万ポンド(約8150万円)以上を献金していた。
リー氏は、労働党の他の組織にも数十万ポンド、自由民主党にも5000ポンド(約82万円)を献金していたほか、与党・保守党にもつながりを広げた。国家安全保障より経済を優先させ「英中黄金時代」を謳歌したデービッド・キャメロン首相(当時)とも良好な関係を築き、その後、テリーザ・メイ首相(同)からも表彰されている。
毛沢東が中国共産党の「魔法の武器」と評した中央統戦部は、こうしたネットワークを通じて中国共産党寄りの声を増幅し、中国共産党の正当性や権威に疑問を呈する声を封じ込める。オーストラリアのサム・ダスティアリ上院議員は18年、中国企業から資金提供を受け、南シナ海の領有権を巡り中国寄りの発言を行ったと批判され、辞職に追い込まれている。
10~19年、英中の「エリート関係」について研究した英エクセター大学のマーティン・ソーリー研究員は昨年1月、英下院外交委員会に「外務省の評価手続きは重大な落とし穴を避けなければならない」との書面による証拠を提出している。ソーリー研究員は、営利団体が重要な国家インフラを含む英政府の政策に影響力を行使する方法は無数に存在する、という。
「大きな陰謀があったわけではない」
政治献金、英議会超党派中国グループへの資金提供、政治家や公務員が公共部門と民間部門の間を移動する「回転ドア」、閣僚会議や出向、下院各委員会の質問に対する証拠提出など、中国が影響力を行使するさまざまなチャネルがある。2010年代にはビシネスが国家安全保障や主権より優先される事例が多く見られたとソーリー研究員は指摘する。
中国企業は中国共産党の「潜在的ネットワーク」の一部を形成している。多くの中国企業は日常業務で、ある程度の自律性を持っているが、中国共産党の影響力の範囲内にあり、中国共産党が重要と考える事項についてはその意思に従わなければならない。ソーリー研究員は書面で、中国共産党が英民間原子力部門に浸透した事例を取り上げている。
英国のブラッドウェルB原発プロジェクトでは中国広核集団(CGN)が主導権を握り、独自の原子炉「華竜1号」を設置する合意が交わされた。この英政府決定は英国内の多くの安全保障専門家の意に反して行われた。単に中国共産党のロビー活動だけでなく、中国とつながるビジネス団体や個人がこの決定を後押しした。
「大きな陰謀があったわけではない。商業的関心を持つグループにとって英国の国家安全保障は関心事ではなかった。中国では『法の支配』ではなく『法による統治』が行われ、中国共産党が最終的に法だということを理解しなければならない。こうして権力を強引に行使する必要のない『潜在的ネットワーク』が形成される」とソーリー研究員は解説する。
MI5のマッカラム長官によると、懸念される中国の動きに対し、以前は制限されていた活動を倍以上に強化し、18年に比べると7倍もの調査を行っている。アングロサクソン系電子スパイ同盟「ファイブアイズ」にとっても中国は最重要課題であり、欧州のパートナーとも連携している。産業界、学術界の協力者を結集させることが大事だという。
次期英首相を決める与党・保守党の党首選が行われている。党員による決選投票で優位に立つのはリズ・トラス外相。中国の台頭を抑えるため「自由のフロンティア」構築を呼びかける対中最強硬派。「自由のフロンティア」になるのは「ファイブアイズ」や「日米豪印(クアッド)」。対中包囲網は一段と強固になりそうだ。
異例の「意見表明」と言っていいだろう。英情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム長官と米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は7月6日、MI5の本部があるテムズ川沿いの「テムズ・ハウス」で産業界、学術界のリーダーを前に異例の合同演説を行った。そこで「中国共産党が米英両国の国益にもたらす脅威が増大している」と警告を発したのだ。
「私たち2つの組織は1世紀以上前に誕生し、長い間、密接に連携してきた。FBIのロンドン支局は1942年に開設されたが、FBIとMI5のトップが公の場で意見を交わすのは初めてのことだ。共通の大きな課題である中国に対して明確な意思表示をするためだ」
ホスト役のマッカラム氏は自由経済と民主主義、法の支配の価値を守るためにこう協力を呼びかけた。
世界を見渡せば、“独裁者”ウラジーミル・プーチン露大統領によるウクライナ侵攻とロシアスパイの秘密工作、シリア、ソマリア、アフガニスタンのイスラム過激派や、極右活動家がサイバー空間でさらに過激化し、単独で予測不可能なテロを起こすリスクが増大している。しかしマッカラム氏は「今日のテーマは、その対極にある」と強調した。
「私たちが直面している最も大きな変化は中国共産党によるものだ。中国共産党は密かに世界中に圧力をかけている。大規模な組織的キャンペーン。電光石火のスピードではなく、数十年にわたる戦略的な戦いである。個人の突出した行動ではなく、中国共産党の計画的で専門的な活動を私たちはいま目の当たりにしている」(マッカラム氏)
専門知識、技術、研究、産業上の優位性が危険にさらされている
(1)世界をリードする専門知識、技術、研究、産業上の優位性が中国共産党によって危険にさらされている(2)組織やスタートアップ、大学を要塞化せず守るためにできることはたくさんある(3)法律によって企業や個人が中国共産党に協力することを強制されるような国家ぐるみのアプローチを採用している――とマッカラム氏は会合の参加者に注意を喚起した。
中国共産党は実際さまざまな方法を使って英米の優位性を崩しつつある。まず「秘密の窃取」だ。昨年、中国スパイのシュー・イェンジュン被告が米裁判所で経済スパイと米航空セクターの企業秘密窃取の罪で有罪判決を受けた。同被告は欧州でも活動しており、航空宇宙産業を標的とした中国の情報機関、国家安全部の大規模なネットワークに参加していた。
スパイ活動は行わずに正面から「技術移転」する方法もある。英国に拠点を置く精密エンジニアリング企業スミスズ・ハーローは2017年、中国企業フューチャーズ・エアロスペースと契約を結んだ。フューチャーズ・エアロスペース社は品質管理の手順とトレーニングコースのために300万ポンド(約4億9000万円)を支払った。スミスズ・ハーロー社は20年に経営破綻した。
3つ目の方法は「研究を通じた窃取」だ。20年、米国は中国人民解放軍の大学出身の研究者に対する特定分野の新規ビザの発給を停止した。英国でも国防機密の漏洩を防ぐため学術技術承認制度を改革した。この結果、人民解放軍とつながりのある学生50人以上が退学に追い込まれた。米英両国とも国家安全保障上の優位性が中国に崩させるのを防ぐため対策を取りはじめている。
「千の砂粒」作戦
中国共産党は外交官を装ったスパイを活用する古典的な方法だけではなく、機密情報を複数ルートで収集する「千の砂粒」作戦も展開している。ドイツでは引退した政治学者と妻が外交政策シンクタンクを運営し、10年近くも中国に情報を流していた。エストニアでは北大西洋条約機構(NATO)の海洋学者がシンクタンクのためと称して中国の仲介者に情報を渡していた。
人脈を開拓する専門家向けネットワーキング・サイトが悪用されるのは有名だ。英航空専門家はネット上でアプローチを受け、魅力的な雇用機会を提供された。この専門家は2度にわたって中国を訪れ、接待を受けた。軍用機の詳細な技術情報を要求され、報酬を受け取った。その企業は実は中国のスパイによって運営されていた。
中国国家安全部が主導する3つの「持続的標的型(APT)攻撃」グループによって英政府や産業界のさまざまなターゲットが攻撃された。もちろん最終目標は内部情報の窃取だ。
昨年、このようなサイバースパイ行為を未然に防ぐため、英国の情報機関は37カ国と情報を共有した。今年5月には、重要な航空宇宙企業を標的としたAPT攻撃を阻止したという。
MI5は30年前からこう助言してきた。
「中国のスパイが欧米人に接近する主な動機は『友人』を作ることだ。いったん『友人』になれば、その関係を利用して合法的または商業的に入手できない情報を入手して中国の利益につなげる。利害関係はゆっくり構築される。ターゲットは負い目を感じ、見返りを求める必然的な要求を最終的に拒否できなくなる」
「中国スパイが議会のプロセスを妨害」
その助言で示唆されているような事例が、つい最近も明らかになった。
今年1月、MI5が、英下院議長を通じ、ロンドンを拠点に活動する中国人弁護士クリスティン・リー氏が中国共産党中央統一戦線工作部(中央統戦部)の意向を受け下院議員に近づき影響力を行使していると全下院議員に異例の警告を発したのだ。リー氏は香港新界生まれで11歳の時、両親とともに英・北アイルランドに移住してきた。
リー氏は中国人ジャーナリストに「他の生徒は私のことを『チンキー』と呼び、二流市民として扱い、『中国に帰れ』と侮蔑した。同級生と同じテーブルで食事をしていた時、砂糖を回してくれるよう頼んだら、塩をミルクティーに入れられた。不味かったが、我慢して飲み干した。いじめられたらブルース・リーのカンフーのフリをして逆に怖がらせた」と打ち明けている。
MI5の警告文書によると、中央統戦部は中国共産党の主張を広げる一方で中国共産党の政策に敵対する勢力に対抗するため、虚偽や賄賂、脅しなど硬軟織り交ぜた方法で相手国の政治家や有力者に近づいて親密な関係を構築する。手なずけた協力者に中国共産党の主張に沿った言動をさせたり、都合の悪いことには口をつぐませたり海外の世論に「干渉」する部局だ。
リー氏は在ロンドンの事務弁護士で、在英中国大使館の首席法律顧問、国務院華僑事務弁公室の法律顧問、中国海外友好協会、英議会超党派中国グループの幹事を務め、英国における中国人コミュニティーの顔役になった。と当時に、中央統戦部と協力して超党派議員グループなどを通じ英政界に影響力を行使していた。
「中国人が団結して強くなれば、誰も私たちをいじめなくなる」
「中国人が団結して強くなれば、誰も私たちをいじめなくなる」というリー氏は中国共産党の意向を受け、現役議員や政治家の卵への献金を斡旋。献金は出所を隠すため秘密裏に行われていた。英紙によると、最大野党・労働党のジェレミー・コービン前党首に近いバリー・ガーディナー下院議員に50万ポンド(約8150万円)以上を献金していた。
リー氏は、労働党の他の組織にも数十万ポンド、自由民主党にも5000ポンド(約82万円)を献金していたほか、与党・保守党にもつながりを広げた。国家安全保障より経済を優先させ「英中黄金時代」を謳歌したデービッド・キャメロン首相(当時)とも良好な関係を築き、その後、テリーザ・メイ首相(同)からも表彰されている。
毛沢東が中国共産党の「魔法の武器」と評した中央統戦部は、こうしたネットワークを通じて中国共産党寄りの声を増幅し、中国共産党の正当性や権威に疑問を呈する声を封じ込める。オーストラリアのサム・ダスティアリ上院議員は18年、中国企業から資金提供を受け、南シナ海の領有権を巡り中国寄りの発言を行ったと批判され、辞職に追い込まれている。
10~19年、英中の「エリート関係」について研究した英エクセター大学のマーティン・ソーリー研究員は昨年1月、英下院外交委員会に「外務省の評価手続きは重大な落とし穴を避けなければならない」との書面による証拠を提出している。ソーリー研究員は、営利団体が重要な国家インフラを含む英政府の政策に影響力を行使する方法は無数に存在する、という。
「大きな陰謀があったわけではない」
政治献金、英議会超党派中国グループへの資金提供、政治家や公務員が公共部門と民間部門の間を移動する「回転ドア」、閣僚会議や出向、下院各委員会の質問に対する証拠提出など、中国が影響力を行使するさまざまなチャネルがある。2010年代にはビシネスが国家安全保障や主権より優先される事例が多く見られたとソーリー研究員は指摘する。
中国企業は中国共産党の「潜在的ネットワーク」の一部を形成している。多くの中国企業は日常業務で、ある程度の自律性を持っているが、中国共産党の影響力の範囲内にあり、中国共産党が重要と考える事項についてはその意思に従わなければならない。ソーリー研究員は書面で、中国共産党が英民間原子力部門に浸透した事例を取り上げている。
英国のブラッドウェルB原発プロジェクトでは中国広核集団(CGN)が主導権を握り、独自の原子炉「華竜1号」を設置する合意が交わされた。この英政府決定は英国内の多くの安全保障専門家の意に反して行われた。単に中国共産党のロビー活動だけでなく、中国とつながるビジネス団体や個人がこの決定を後押しした。
「大きな陰謀があったわけではない。商業的関心を持つグループにとって英国の国家安全保障は関心事ではなかった。中国では『法の支配』ではなく『法による統治』が行われ、中国共産党が最終的に法だということを理解しなければならない。こうして権力を強引に行使する必要のない『潜在的ネットワーク』が形成される」とソーリー研究員は解説する。
MI5のマッカラム長官によると、懸念される中国の動きに対し、以前は制限されていた活動を倍以上に強化し、18年に比べると7倍もの調査を行っている。アングロサクソン系電子スパイ同盟「ファイブアイズ」にとっても中国は最重要課題であり、欧州のパートナーとも連携している。産業界、学術界の協力者を結集させることが大事だという。
次期英首相を決める与党・保守党の党首選が行われている。党員による決選投票で優位に立つのはリズ・トラス外相。中国の台頭を抑えるため「自由のフロンティア」構築を呼びかける対中最強硬派。「自由のフロンティア」になるのは「ファイブアイズ」や「日米豪印(クアッド)」。対中包囲網は一段と強固になりそうだ。
MI5のマッカラム長官は、世界を見渡せば、“独裁者”ウラジーミル・プーチン露大統領によるウクライナ侵攻とロシアスパイの秘密工作他、リスクが増大している。しかし「今日のテーマは、その対極にある」と強調。
「私たちが直面している最も大きな変化は中国共産党によるものだ。中国共産党は密かに世界中に圧力をかけている。大規模な組織的キャンペーン。電光石火のスピードではなく、数十年にわたる戦略的な戦いである。個人の突出した行動ではなく、中国共産党の計画的で専門的な活動を私たちはいま目の当たりにしている」と。
少し前までは、貿易重視で対中国接近姿勢だった、英独仏などの姿勢が変わり始めているのですね。
(1)世界をリードする専門知識、技術、研究、産業上の優位性が中国共産党によって危険にさらされている
(2)組織やスタートアップ、大学を要塞化せず守るためにできることはたくさんある(3)法律によって企業や個人が中国共産党に協力することを強制されるような国家ぐるみのアプローチを採用している
とマッカラム氏は会合の参加者に注意を喚起したのだそうです。
中国共産党は実際さまざまな方法を使って英米の優位性を崩しつつあると木村氏。
まず「秘密の窃取」だ。昨年、中国スパイのシュー・イェンジュン被告が米裁判所で経済スパイと米航空セクターの企業秘密窃取の罪で有罪判決を受けた。同被告は欧州でも活動しており、航空宇宙産業を標的とした中国の情報機関、国家安全部の大規模なネットワークに参加していたのだそうです。
また、スパイ活動は行わずに正面から「技術移転」する方法もあると木村氏。
英国に拠点を置く精密エンジニアリング企業スミスズ・ハーローは2017年、中国企業フューチャーズ・エアロスペースと契約を結んだ。フューチャーズ・エアロスペース社は品質管理の手順とトレーニングコースのために300万ポンド(約4億9000万円)を支払った。スミスズ・ハーロー社は20年に経営破綻。
3つ目の方法は「研究を通じた窃取」。
20年、米国は中国人民解放軍の大学出身の研究者に対する特定分野の新規ビザの発給を停止。英国でも国防機密の漏洩を防ぐため学術技術承認制度を改革。この結果、人民解放軍とつながりのある学生50人以上が退学に追い込まれたと木村氏。
中国共産党は外交官を装ったスパイを活用する古典的な方法だけではなく、機密情報を複数ルートで収集する「千の砂粒」作戦も展開しているのだそうです。
人脈を開拓する専門家向けネットワーキング・サイトが悪用されるのは有名だと木村氏。
中国国家安全部が主導する3つの「持続的標的型(APT)攻撃」グループによって英政府や産業界のさまざまなターゲットが攻撃されたとも。
英国の情報機関は、昨年、このようなサイバースパイ行為を未然に防ぐため、37カ国と情報を共有。今年5月には、重要な航空宇宙企業を標的としたAPT攻撃を阻止したのだそうです。
MI5の警告文書によると、中央統戦部は中国共産党の主張を広げる一方で中国共産党の政策に敵対する勢力に対抗するため、虚偽や賄賂、脅しなど硬軟織り交ぜた方法で相手国の政治家や有力者に近づいて親密な関係を構築する。手なずけた協力者に中国共産党の主張に沿った言動をさせたり、都合の悪いことには口をつぐませたり海外の世論に「干渉」する部局なのだそうです。
毛沢東が中国共産党の「魔法の武器」と評した中央統戦部は、ネットワークを通じて中国共産党寄りの声を増幅し、中国共産党の正当性や権威に疑問を呈する声を封じ込める。
英中の「エリート関係」について研究した英エクセター大学のマーティン・ソーリー研究員は昨年1月、英下院外交委員会に「外務省の評価手続きは重大な落とし穴を避けなければならない」との書面による証拠を提出している。ソーリー研究員は、営利団体が重要な国家インフラを含む英政府の政策に影響力を行使する方法は無数に存在する、という。
中国が影響力を行使するさまざまなチャネルがある。2010年代にはビシネスが国家安全保障や主権より優先される事例が多く見られたとソーリー研究員は指摘。
多くの中国木々用は、中国共産党の影響力の範囲内にあり、中国共産党が重要と考える事項についてはその意思に従わなければならない。
英国のブラッドウェルB原発プロジェクトでは中国広核集団(CGN)が主導権を握り、独自の原子炉「華竜1号」を設置する合意が交わされた。この英政府決定は英国内の多くの安全保障専門家の意に反して行われた。
商業的関心を持つグループにとって英国の国家安全保障は関心事ではなかった。
こうして権力を強引に行使する必要のない『潜在的ネットワーク』が形成される」とソーリー研究員は解説。
国家の安全保障や理念より、企業の利益が優先される。
余談ですが、日本の岸田政権でも、米英のメジャーがサハリンから撤退するなか、商工会議所や経団連のトップの企業利益優先の要望に応じて、撤退しない宣言。
しかし、ロシア側から非友好国指定をされた挙句、サハリンの企業体形変更で、日本が締め出される方向へ。
完全な、外交大失政!
次期英首相を決める与党・保守党の党首選が行われている英国。党員による決選投票で優位に立つのはリズ・トラス外相。中国の台頭を抑えるため「自由のフロンティア」構築を呼びかける対中最強硬派。「自由のフロンティア」になるのは「ファイブアイズ」や「日米豪印(クアッド)」だと。対中包囲網は一段と強固になりそうだと木村氏。
G7等、が勇崎では歩調を合わせ、防衛費増強を明言しながら、国内では、GDP比 2%への予算拡大推進派の時間を更迭する岸田氏。
北京冬季五輪で、バイデン氏が「外交的ボイコット」を呼びかける中、中国に忖度して米中二股外交に揺れた岸田氏。バイデン氏との、自身の就任に伴い面談日程を保留され、挙句オンライン面談へ格下げという、代々培われてきた日米の首脳関係にヒビを生じさせた大失政。
G7で、トランプ氏とメルケル氏が対立する仲をとりもつまでに日本の外交力を高めた安倍氏の功績を壊すばかりの岸田氏。日本を沈没させるのではないかと危惧されます。
# 冒頭の画像は、中国共産党旗の前で敬礼する兵士
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/7b/7190a93cc0c0bc07029bbec3015642ae.jpg)
この花の名前は、マドンナリリー
↓よろしかったら、お願いします。
![](http://www.dff.jp/pix/dfflinkbanner9.24.2.gif)
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
![写真素材のピクスタ 写真素材のピクスタ](https://pixta.jp/img/affiliate/banner/photo/468x60.gif)
![Fotolia](http://static.fotolia.com/pics/jp/banners/static/468x60.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/c8/f4e2c13dc34ae2c7c520626c68563f52.png)