遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ビルマとの投資協定交渉開始を合意

2011-12-27 16:20:06 | EEZ 全般
 ミヤンマー訪問中の玄葉外相は、ワナ・マウン・ルウィン外相と会談し、両国は投資協定の交渉を始めることで合意しました。
 ミャンマーのテイン・セイン大統領は今年9月末、中国がミャンマー北部カチン州に建設中の水力発電用大型ダム「ミッソンダム」の開発を中止すると表明したことは、諸兄がご承知の通りです。その時にも、テイン・セイン大統領は日本や欧米からの投資を呼びかけていましたし、ワナ・マウン・ルウィン外相は米国を訪問するなどし、来日もしていました。
 さきの、ASEAN~EAS会議で、米国がアジアへの重点指向移転を表明し、中国包囲網を築くとともに、クリントン長官のミヤンマー訪問を実現させ、制裁から支援への転換をみせつけました。
 各国のアジア外交の転換注目ポイントであり、各紙が一斉に報じていますが、ここでは産経の記事に注目してみます。
 

玄葉氏、スー・チーさん訪日要請 ミャンマー取り込み、日米一致 (12/27 産経)

外相会談、投資協定交渉入り合意

 【ヤンゴン=坂井広志、シンガポール=青木伸行】ミャンマー訪問中の玄葉光一郎外相は26日夕(日本時間同日夜)、民主化運動指導者のアウン・サン・スー・チーさんとヤンゴン市内で会談し、民主化を支援する考えを伝え、早期の訪日を促した。これに先立ち、ワナ・マウン・ルウィン外相と首都ネピドーで会談し、投資協定締結に向け交渉に入ることで合意、テイン・セイン大統領とも会談した。経済協力を通じてミャンマーの民主化を促すとともに日米の中国包囲網に組み込む狙いがある。

 玄葉氏「私は法の支配や民主主義、人間の尊厳、平和という価値を大切にする。民主化を前進させることが大切だ。震災復興した日本の姿をぜひ近い将来見てほしい」
 スー・チー氏「民主主義の土台が堅固なことが経済発展の土台になる。日本に行きたい希望はあります。玄葉さんもまたここに来て民主化し発展した姿を見てほしい」
 玄葉氏はスー・チーさんが京大在籍中に大好きだったマロングラッセを贈り、場を和ませた。ただ、ミャンマー訪問の真の目的はテイン・セイン政権との対話にあった。
 玄葉氏はワナ・マウン・ルウィン外相との会談で、政権の民主化の取り組みを評価した上で政治犯の一層の釈放を求め、北朝鮮との関係にも「国際社会に疑念を持たれぬようにしてほしい」とくぎを刺した。「さらなる政治犯釈放に努めたい。国連安保理決議を順守する」との言質を引き出した意義は大きい。
 玄葉氏がミャンマー入りしたのは、米国が「アジア太平洋シフト」を宣言し、中国包囲網に動き出したからだ。
 欧米がミャンマーに経済制裁を科す中、中国はミャンマーをインド洋進出への足がかりと位置づけ急接近した。中国海軍艦艇を寄港させるため港湾などを整備。マラッカ海峡を通らずにインド洋から中東の原油を運び入れるためベンガル湾に至るパイプラインも計画している。
 中国の「我田引水」に嫌気が差したテイン・セイン大統領は9月、中国と共同で進めてきた水力発電用ダムの建設中断を表明した。これを米側は見逃さず、クリントン国務長官をミャンマーに派遣、全政治犯釈放や北朝鮮との関係断絶と引き換えに制裁緩和を約束した。とはいえ、米議会には制裁緩和に慎重意見も根強く本格的な支援に踏み切るのは難しい。そこで注目したのが日本だった。
 ミャンマーはビルマ時代から親日国で、
日本は軍政時代も技術協力や無償資金協力を細々ながら続けてきた。米国は日本を媒介させ、ミャンマーを包囲網に組み込もうと考えたのだ。それだけに日本との投資協定は民主化への重要な一歩だといえ、テイン・セイン大統領も玄葉氏に「民主化には経済発展が重要だ。日本の投資を期待したい」と強い期待感
を表明した。
 ただ、中国も黙ってはいない。戴秉国国務委員(副首相級)は19日、ミャンマーを訪れ、親密さをアピール、
米中の綱引きはますます過熱する公算が大きい。テイン・セイン大統領もそれを承知の上で米中から利益を引き出そうと考えている
ようにみえる。外交敗北が続く民主党政権にとってミャンマー外交は汚名返上の好機となり得る。

 「日米の中国包囲網に組み込む狙いがある。」というのは、外務省の見解なのか、産経の見解なのか不明ですが、期待のし過ぎでしょう。
 軍政のこれまでの中国一辺倒から脱しようという政策転換がなされていることは間違いない様ですが、記事の終わりの方で触れられている通りで、欧米や日本と中国とを天秤にかけて、両方から国益を引き出そうというものです。ASEAN会議でも、中国の提案に賛成を示した数少ない国のひとつで、軸足がまだ中国に残っていることは念頭におかねばなりません。
 中国、韓国を引き合いに、日本への投資を煽っている例は以下。

 
日本企業の進出求める ミャンマー大統領、日本財団会長と会談-北海道新聞[経済]
 
 ミヤンマーが熱望しているのに対し、外交音痴で腰の重い民主党政権にプレッシャーをかけたととるほうがいいのでしょうか。

 ASEAN ~ EASでの米国のリーダーシップは見事でしたが、ASEAN諸国には、まだ日本へのリーダーシップの期待も残っていました。
 ミヤンマーの中国一辺倒からの転換は、インド洋、南シナ海の中国の覇権拡大に大きな影響を及ぼしますね。
 この注目されるスポットで、親しい交流の歴史を持つ日本がどのように舞台に立つか、ミヤンマーの民主化とアジアの平和に貢献できるか、各国の期待に応えていただきたいものです。

 テイン・セイン大統領がダム建設中止表明した時の様子は以下を参照ください。
 
ミャンマー新政権は、軍政が中国政府と契約したダム建設を中止 - 遊爺雑記帳




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