中国の習近平国家主席が3月20日から3日の日程でロシアを国事訪問し、プーチン大統領と会談した。
会談の詳細な中身はまだよくわからない部分も多いのだが、双方は「新時代の全面的戦略協力パートナーシップ関係深化に関する共同声明」に調印。プーチンが、習近平の提案するロシア・ウクライナ間の和平協議案「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」12項目についても歓迎の意を表したのだそうです。
元中国駐在記者で、中国出入り禁止となった福島さんが、今回の習近平のロシア訪問での、ウクライナ侵略戦争の仲裁について独自深読みを披歴していただいています。
習近平がプーチンを説得して和平協議のスタートに一歩近づいた、ということなのか? いやいや、習近平の12項目提案の中には、ロシアのウクライナからの全軍撤退条件など肝心の中身がない。むしろ習近平の提案は圧倒的にロシアに配慮したものなのだと、福島さん。
多くの専門家の見方も同様に、プーチンよりの仲裁案との声がおおいですね。
この習近平の自称「平和の旅外交」の狙いは何なのか。
会談の中身としては、ウクライナ問題について双方は、国連憲章の宗旨と原則遵守、国際法の尊重は必須だという認識を共に示した。
ロシア側は中国側のウクライナ問題に関する客観公正な立場をポジティブに評価。双方は他国の安全・利益に損害を与えるあらゆる行動に反対するとした。
ロシア側は和平協議を早急に再開するために力を尽くすと繰り返し述べ、中国側はこれを賞賛。
「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」文書に記された建設的主張を歓迎する、としたのだそうです。
二人の会談については諸説の解説がありますが、福島さんは、習近平の発言からすごく不穏な言葉遣いを拾ってしまうと。
習近平とプーチンのコンセンサスの中に、統疇設計、頂層計画という言葉が入っているが、これはトップによる管理コントロール強化、つまり独裁強化を意味するキーワードだ。習近平、あるいはプーチンが決定して2人で決めていく、というニュアンスが感じられる。
その独裁国家がエネルギー、資源を中心に経済協力、物流をさらに強化するということ。さらに言えば、中ロの二国関係は単純に二国間だけの関係ではなく、世界の枠組みと人類運命共同体の構築にかかわる重要な関係と形容しているのも気になる。つまり2人の独裁者が協力して新たな国際社会の枠組みをつくっていこう、と言っているようにも見えると。
習近平はなぜ親ロ外交にそこまで固執するのか。
1つの理由は、習近平のプーチンに対する個人的感情があるだろうと、福島さん。
習近平が個人的にプーチンに憧れている、という話は、複数の党内関係者から聞いたことがある。
プーチンは、ゴルバチョフによって崩壊寸前に陥ったロシアを立て直したし、つねに厳しい決断を迷いなく行ってきたという点で、習近平にとって憧れの政治家だった。さらに、ウクライナ戦争の戦況がこれだけ厳しくなっても西側にノーと言い続けるその強さも、習近平がプーチンに好感を抱く理由であるという。
もう1つが、ロシアの惨敗を何としても避けることが、中国習近平体制にとって重要だということだと。
ロシアの惨めな敗戦はプーチン体制の崩壊を意味する。プーチン体制崩壊後に親米政権ができたりすると中国としてはこれほど危ういことはない。
ロシアを敗戦させないシナリオは2つ。
ウクライナにロシア・プーチンの面子を守る形で和平協議を調印させること。
あるいは中国による本格的軍事支援によって戦況をロシア有利に逆転させたのちに、ウクライナに和平条件を飲ませること。
いずれにしろ、習近平の本当の願いはプーチンの立場を守ることだろうと福島さん。
だが、独裁者の個人的歴史観で他国への侵略戦争を行うような国家に対し、なんらその責任を問わないような国際社会であれば、同じパターンの侵略戦争はまた繰り返される。この戦争は、ウクライナが勝利し、プーチンの退場という決着に持っていくことが、結果的に世界の長期的安定と平和につながる道だと思うと!
第三次世界大戦の回避。プーチンのウクライナ侵攻が招いた、食料や資材、エネルギーの物価高騰による世界中の国々の物価高騰での生活苦と対策に追われる各国政府!
遂には、金融不安を想起させる米国で発生し、世界に広がりかねない銀行破綻。
プーチンが生じさせたウクライナへの侵略戦争。これは、プーチンの退場でしか終わらない。
国連の常任理事国に君臨するロシアと中国。その拒否権で機能不全の国連。
G7は、後発国の台頭で影響力が減ったとはいえ、腐っても鯛。
今年は、外交落第生の岸田首相が議長。各国が国内の経済状況で苦しむ中での国際団結が求められる今、自由主義国の雄による、リーダーシップ発揮が期待されるのですが如何。。
# 冒頭の画像は、ウクライナを訪問した岸田首相
この花の名前は、トサミズキ
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
会談の詳細な中身はまだよくわからない部分も多いのだが、双方は「新時代の全面的戦略協力パートナーシップ関係深化に関する共同声明」に調印。プーチンが、習近平の提案するロシア・ウクライナ間の和平協議案「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」12項目についても歓迎の意を表したのだそうです。
元中国駐在記者で、中国出入り禁止となった福島さんが、今回の習近平のロシア訪問での、ウクライナ侵略戦争の仲裁について独自深読みを披歴していただいています。
中露で「世界の枠組み」構築?習近平のロシア「平和の旅」に見る不穏な未来 共同声明で連携強調、中国は「親ロ」外交路線の復活を表明か) | JBpress (ジェイビープレス) 2023.3.23(木) 福島 香織
中国の習近平国家主席が3月20日から3日の日程でロシアを国事訪問し、プーチン大統領と会談した。
20日夜に行われた4時間半の非公式会談、続く21日の公式会談の詳細な中身はまだよくわからない部分も多いのだが、双方は「新時代の全面的戦略協力パートナーシップ関係深化に関する共同声明」に調印。プーチンが、習近平の提案するロシア・ウクライナ間の和平協議案「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」12項目についても歓迎の意を表し、和平協議に前向きな姿勢をアピールした。
これは、習近平がプーチンを説得して和平協議のスタートに一歩近づいた、ということなのか? いやいや、習近平の12項目提案の中には、ロシアのウクライナからの全軍撤退条件など肝心の中身がない。むしろ習近平の提案は圧倒的にロシアに配慮したものなのだ。
折しも日本の岸田文雄首相が、5月のG7広島サミット議長国として、つまりG7の名代としてウクライナを電撃訪問。ゼレンスキー大統領と会談し、日本のゆるぎない連帯の意思と、殺傷能力のない装備品3000万ドル(40億円)分をNATOの基金を通じて供与すること、そして日本とウクライナの関係を「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げすることに合意した。
こういう状況で、習近平とゼレンスキーの会談(電話会談も含め)が行われ得るのか。行われたとしてウクライナが中国側の提案に乗ってくることなどあり得ない、と思うのだが、だとしたら、この習近平の自称「平和の旅外交」の狙いは何なのか。
親密さをアピールした両首脳
新華社の報道をもとに、習近平、プーチンの会談の中身を整理すると、3月20日夜、4時間半にわたる非公式会談がまず行われた。この時、プーチンは習近平に「親愛なる友人よ」と呼び掛け、2人の個人的関係の親密さをアピールした。
そして、翌日21日午前に正式会談が行われた。この会談で、中国ロシア間の「新時代の全面的戦略協力パートナーシップ関係深化に関する共同声明」に調印し、発表した。また「2030年にいたるまでの中ロ経済協力の重点的方向発展計画に関する共同声明」も発表された。
会談の中身としては、ウクライナ問題について双方は、国連憲章の宗旨と原則遵守、国際法の尊重は必須だという認識を共に示した。
ロシア側は中国側のウクライナ問題に関する客観公正な立場をポジティブに評価。双方は、国家あるいは国家集団が政治的優位性を求めて他国の安全・利益に損害を与えるあらゆる行動に反対するとした。
さらに、ロシア側は和平協議を早急に再開するために力を尽くすと繰り返し述べ、中国側はこれを賞賛した。ロシア側は中国側が政治外交ルートでウクライナ危機に積極的な影響力を発揮することを歓迎し、「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」文書に記された建設的主張を歓迎する、とした。
また双方は、ウクライナ危機解決について、陣営の対抗を形成すること、火に油を注ぐようなことを阻止しなければならないと指摘。責任ある対話が問題を解決する最前の道であると強調した。このため、国際社会は解決に向けた建設的努力を支持するべきだとした。
双方は、情勢を緊張させ、戦争をずるずる引き延ばすような行いを一切やめさせようと呼びかけ、危機が悪化してコントロール不能となるようなことを回避すべきだとした。また、国連安保理が権利を授けていない、いかなる一方的制裁にも反対する、とした。
習近平は会談後の共同記者会見で、中ロ関係について「両国関係はもはや二国間の範囲を大きく越え、世界の枠組みと人類の前途・運命にとって非常に重要なものになっている」「新たな歴史的条件のもと、双方が広い視野をもって、長期的な視点で中ロ関係を把握し、人類のために事業を進歩させ、さらなる貢献を行う」と語った。
さらに「私とプーチン大統領は、双方が統疇設計、頂層計画(一体化設計とトップレベル計画=指導部が統一的包括的に設計、計画したものを、トップダウン方式で行うやり方)を強化し、エネルギー、資源、機械電気製品の貿易を拡大し、双方が産業チェーンの強靭性を増強し、情報技術、デジタル経済、農業、サービス貿易の領域での協力を開拓し、伝統的貿易と新興領域で協力を推進し、補い合い、発展を共に歩み、国境物流運輸をさらにスムーズにするというコンセンサスを得た」と語った。
双方は共に国連安全保障理事会の常任理事国として、継続して国際社会と共に、国連憲章の主旨と原則を基礎にした国際関係の基本準則をしっかり守っていくこと、上海協力機構(SCO)と新興5カ国(BRICS)の協力の枠組み、G20などの国際的な多極的フレームワークの中での協力を強化し、ポストコロナの経済回復を促進し、多極的な世界の枠組みを構築し、グローバルガバナンス体系を整備する建設的パワーを強大化し、世界の食糧安全保障、エネルギー安全保障、産業チェーンの安定を守る面で多くの貢献をし、力を合わせて人類運命共同体の構築を推進していく、とした。
親ロ外交路線の復活表明か
この新華社の報道からこの会談の本当の狙いをどう解釈するかについては、多くの異なる見方があろう。
プーチンから和平協議に前向きの発言を引き出したとポジティブに評価する声がないわけでもない。ロシア軍撤退の言及はまったくないが、少なくとも協議中は停戦となり、一歩前進ではないか、と考える人もいるだろう。
またゼレンスキー自身も習近平との直接会談を望んでおり、今後、電話会談などで接触があろうと予測する人もいる。たとえ、その目的が、中国がロシアに武器供与しないように念を押すことだとしても、そこで何らかの妥協や譲歩を習近平が引き出せないとも限らない。
ただ、私自身は、習近平の発言からすごく不穏な言葉遣いを拾ってしまう。
習近平とプーチンのコンセンサスの中に、統疇設計、頂層計画という言葉が入っているが、これはトップによる管理コントロール強化、つまり独裁強化を意味するキーワードだ。習近平、あるいはプーチンが決定して2人で決めていく、というニュアンスが感じられる。
その独裁国家がエネルギー、資源を中心に経済協力、物流をさらに強化するということ。さらに言えば、中ロの二国関係は単純に二国間だけの関係ではなく、世界の枠組みと人類運命共同体の構築にかかわる重要な関係と形容しているのも気になる。つまり2人の独裁者が協力して新たな国際社会の枠組みをつくっていこう、と言っているようにも見える。
習近平が米国から国際社会のルールメーカー、リーダーシップを奪いたいと願っていることは今さらの話だ。そのために形成する中国朋友圏を一帯一路沿線に拡大していくのが習近平の青写真だが、それに対してロシアは、長年、中国と最も長い国境を接する隣国としてそれなりに警戒心をもっていた。だから、中ロ関係は「同盟を結ばず、対抗せず、第三者を標的にしない」という原則が維持されてきた。
だが習近平は昨年(2022年)2月、プーチンが訪中したとき、「上限のない協力関係」を打ち出した。これは事実上中ロ準同盟ということではないか、と警戒された。その後、ロシアとウクライナ戦争の泥沼化で、中国ではロシア専門の外務次官が左遷され、党内で習近平の親ロシア外交路線を阻止しようとする動きが出た。だから、中国はロシア・ウクライナ戦争については、中立維持の立場をとり続けてきたのではないか。
習近平が総書記、国家主席の3期連任に成功し、独裁化をさらに進める動きになった時、親ロ外交が復活してきたのではないだろうか。この全人代直後のロシア訪問の本当の意味は“親ロ外交路線の復活表明”と受け取っていいのではないか。
プーチンは憧れの政治家
では、習近平はなぜ親ロ外交にそこまで固執するのか。
1つの理由は、習近平のプーチンに対する個人的感情があるだろう。
CCTV(中国中央テレビ)が流した中ロ首脳会談直前の映像の中に、プーチンが習近平に「中国がうらやましい」と語った場面があった。なぜなら「中国は非常に効果的な政治体制システムを打ち建て、経済を発展させ、国家実力を増強させたからだ」という。
その時のプーチンの老いてむくんだうつむき加減の顔と、習近平のうれしそうな顔は、なかなか印象深かった。習近平が個人的にプーチンに憧れている、という話は、複数の党内関係者から聞いたことがあるが、本当だったのだな、と思った。
プーチンは、ゴルバチョフによって崩壊寸前に陥ったロシアを立て直したし、つねに厳しい決断を迷いなく行ってきたという点で、習近平にとって憧れの政治家だった。さらに、ウクライナ戦争の戦況がこれだけ厳しくなっても西側にノーと言い続けるその強さも、習近平がプーチンに好感を抱く理由であるという。
そのプーチンに「強い中国をつくった」と羨ましがられるのだから、習近平は自分のやり方に自信を持ったことだろう。
習近平の本当の願いはプーチンを守ること
もう1つが、ロシアの惨敗を何としても避けることが、中国習近平体制にとって重要だということだ。
ロシアの惨めな敗戦はプーチン体制の崩壊を意味する。プーチン体制崩壊後に親米政権ができたりすると中国としてはこれほど危ういことはない。
ロシアを敗戦させないシナリオは2つ。ウクライナにロシア・プーチンの面子を守る形で和平協議を調印させること、あるいは中国による本格的軍事支援によって戦況をロシア有利に逆転させたのちに、ウクライナに和平条件を飲ませること。
気になるのは、米国が2月、中国が殺傷力を伴う支援をロシアに提供することを検討している、と警告したことだ。中国はそれを完全否定しているが、ロシアに武器供与する選択肢は習近平3期目再選とともに再検討されていたかもしれない。
あるいは、中国としては、そういう情報を流すことで、ウクライナ側が提示する和平協議の条件のハードルを低くさせる狙いがあったかもしれない。つまり、中国がロシアに武器供与する可能性をウクライナにほのめかし、そうなれば戦況が大きくロシア有利に傾くので今のうちに和平協議に応じた方がよいのではないかと思わせよう、ということだ。あるいはEU向けに和平への努力をアピールし、EUとの関係改善を狙っているという意見もある。
いずれにしろ、習近平の本当の願いはプーチンの立場を守ることだろう、と私は見ている。
だが、独裁者の個人的歴史観で他国への侵略戦争を行うような国家に対し、なんらその責任を問わないような国際社会であれば、同じパターンの侵略戦争はまた繰り返される。この戦争は、ウクライナが勝利し、プーチンの退場という決着に持っていくことが、結果的に世界の長期的安定と平和につながる道だと思うのだが、どうだろう。
中国の習近平国家主席が3月20日から3日の日程でロシアを国事訪問し、プーチン大統領と会談した。
20日夜に行われた4時間半の非公式会談、続く21日の公式会談の詳細な中身はまだよくわからない部分も多いのだが、双方は「新時代の全面的戦略協力パートナーシップ関係深化に関する共同声明」に調印。プーチンが、習近平の提案するロシア・ウクライナ間の和平協議案「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」12項目についても歓迎の意を表し、和平協議に前向きな姿勢をアピールした。
これは、習近平がプーチンを説得して和平協議のスタートに一歩近づいた、ということなのか? いやいや、習近平の12項目提案の中には、ロシアのウクライナからの全軍撤退条件など肝心の中身がない。むしろ習近平の提案は圧倒的にロシアに配慮したものなのだ。
折しも日本の岸田文雄首相が、5月のG7広島サミット議長国として、つまりG7の名代としてウクライナを電撃訪問。ゼレンスキー大統領と会談し、日本のゆるぎない連帯の意思と、殺傷能力のない装備品3000万ドル(40億円)分をNATOの基金を通じて供与すること、そして日本とウクライナの関係を「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げすることに合意した。
こういう状況で、習近平とゼレンスキーの会談(電話会談も含め)が行われ得るのか。行われたとしてウクライナが中国側の提案に乗ってくることなどあり得ない、と思うのだが、だとしたら、この習近平の自称「平和の旅外交」の狙いは何なのか。
親密さをアピールした両首脳
新華社の報道をもとに、習近平、プーチンの会談の中身を整理すると、3月20日夜、4時間半にわたる非公式会談がまず行われた。この時、プーチンは習近平に「親愛なる友人よ」と呼び掛け、2人の個人的関係の親密さをアピールした。
そして、翌日21日午前に正式会談が行われた。この会談で、中国ロシア間の「新時代の全面的戦略協力パートナーシップ関係深化に関する共同声明」に調印し、発表した。また「2030年にいたるまでの中ロ経済協力の重点的方向発展計画に関する共同声明」も発表された。
会談の中身としては、ウクライナ問題について双方は、国連憲章の宗旨と原則遵守、国際法の尊重は必須だという認識を共に示した。
ロシア側は中国側のウクライナ問題に関する客観公正な立場をポジティブに評価。双方は、国家あるいは国家集団が政治的優位性を求めて他国の安全・利益に損害を与えるあらゆる行動に反対するとした。
さらに、ロシア側は和平協議を早急に再開するために力を尽くすと繰り返し述べ、中国側はこれを賞賛した。ロシア側は中国側が政治外交ルートでウクライナ危機に積極的な影響力を発揮することを歓迎し、「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」文書に記された建設的主張を歓迎する、とした。
また双方は、ウクライナ危機解決について、陣営の対抗を形成すること、火に油を注ぐようなことを阻止しなければならないと指摘。責任ある対話が問題を解決する最前の道であると強調した。このため、国際社会は解決に向けた建設的努力を支持するべきだとした。
双方は、情勢を緊張させ、戦争をずるずる引き延ばすような行いを一切やめさせようと呼びかけ、危機が悪化してコントロール不能となるようなことを回避すべきだとした。また、国連安保理が権利を授けていない、いかなる一方的制裁にも反対する、とした。
習近平は会談後の共同記者会見で、中ロ関係について「両国関係はもはや二国間の範囲を大きく越え、世界の枠組みと人類の前途・運命にとって非常に重要なものになっている」「新たな歴史的条件のもと、双方が広い視野をもって、長期的な視点で中ロ関係を把握し、人類のために事業を進歩させ、さらなる貢献を行う」と語った。
さらに「私とプーチン大統領は、双方が統疇設計、頂層計画(一体化設計とトップレベル計画=指導部が統一的包括的に設計、計画したものを、トップダウン方式で行うやり方)を強化し、エネルギー、資源、機械電気製品の貿易を拡大し、双方が産業チェーンの強靭性を増強し、情報技術、デジタル経済、農業、サービス貿易の領域での協力を開拓し、伝統的貿易と新興領域で協力を推進し、補い合い、発展を共に歩み、国境物流運輸をさらにスムーズにするというコンセンサスを得た」と語った。
双方は共に国連安全保障理事会の常任理事国として、継続して国際社会と共に、国連憲章の主旨と原則を基礎にした国際関係の基本準則をしっかり守っていくこと、上海協力機構(SCO)と新興5カ国(BRICS)の協力の枠組み、G20などの国際的な多極的フレームワークの中での協力を強化し、ポストコロナの経済回復を促進し、多極的な世界の枠組みを構築し、グローバルガバナンス体系を整備する建設的パワーを強大化し、世界の食糧安全保障、エネルギー安全保障、産業チェーンの安定を守る面で多くの貢献をし、力を合わせて人類運命共同体の構築を推進していく、とした。
親ロ外交路線の復活表明か
この新華社の報道からこの会談の本当の狙いをどう解釈するかについては、多くの異なる見方があろう。
プーチンから和平協議に前向きの発言を引き出したとポジティブに評価する声がないわけでもない。ロシア軍撤退の言及はまったくないが、少なくとも協議中は停戦となり、一歩前進ではないか、と考える人もいるだろう。
またゼレンスキー自身も習近平との直接会談を望んでおり、今後、電話会談などで接触があろうと予測する人もいる。たとえ、その目的が、中国がロシアに武器供与しないように念を押すことだとしても、そこで何らかの妥協や譲歩を習近平が引き出せないとも限らない。
ただ、私自身は、習近平の発言からすごく不穏な言葉遣いを拾ってしまう。
習近平とプーチンのコンセンサスの中に、統疇設計、頂層計画という言葉が入っているが、これはトップによる管理コントロール強化、つまり独裁強化を意味するキーワードだ。習近平、あるいはプーチンが決定して2人で決めていく、というニュアンスが感じられる。
その独裁国家がエネルギー、資源を中心に経済協力、物流をさらに強化するということ。さらに言えば、中ロの二国関係は単純に二国間だけの関係ではなく、世界の枠組みと人類運命共同体の構築にかかわる重要な関係と形容しているのも気になる。つまり2人の独裁者が協力して新たな国際社会の枠組みをつくっていこう、と言っているようにも見える。
習近平が米国から国際社会のルールメーカー、リーダーシップを奪いたいと願っていることは今さらの話だ。そのために形成する中国朋友圏を一帯一路沿線に拡大していくのが習近平の青写真だが、それに対してロシアは、長年、中国と最も長い国境を接する隣国としてそれなりに警戒心をもっていた。だから、中ロ関係は「同盟を結ばず、対抗せず、第三者を標的にしない」という原則が維持されてきた。
だが習近平は昨年(2022年)2月、プーチンが訪中したとき、「上限のない協力関係」を打ち出した。これは事実上中ロ準同盟ということではないか、と警戒された。その後、ロシアとウクライナ戦争の泥沼化で、中国ではロシア専門の外務次官が左遷され、党内で習近平の親ロシア外交路線を阻止しようとする動きが出た。だから、中国はロシア・ウクライナ戦争については、中立維持の立場をとり続けてきたのではないか。
習近平が総書記、国家主席の3期連任に成功し、独裁化をさらに進める動きになった時、親ロ外交が復活してきたのではないだろうか。この全人代直後のロシア訪問の本当の意味は“親ロ外交路線の復活表明”と受け取っていいのではないか。
プーチンは憧れの政治家
では、習近平はなぜ親ロ外交にそこまで固執するのか。
1つの理由は、習近平のプーチンに対する個人的感情があるだろう。
CCTV(中国中央テレビ)が流した中ロ首脳会談直前の映像の中に、プーチンが習近平に「中国がうらやましい」と語った場面があった。なぜなら「中国は非常に効果的な政治体制システムを打ち建て、経済を発展させ、国家実力を増強させたからだ」という。
その時のプーチンの老いてむくんだうつむき加減の顔と、習近平のうれしそうな顔は、なかなか印象深かった。習近平が個人的にプーチンに憧れている、という話は、複数の党内関係者から聞いたことがあるが、本当だったのだな、と思った。
プーチンは、ゴルバチョフによって崩壊寸前に陥ったロシアを立て直したし、つねに厳しい決断を迷いなく行ってきたという点で、習近平にとって憧れの政治家だった。さらに、ウクライナ戦争の戦況がこれだけ厳しくなっても西側にノーと言い続けるその強さも、習近平がプーチンに好感を抱く理由であるという。
そのプーチンに「強い中国をつくった」と羨ましがられるのだから、習近平は自分のやり方に自信を持ったことだろう。
習近平の本当の願いはプーチンを守ること
もう1つが、ロシアの惨敗を何としても避けることが、中国習近平体制にとって重要だということだ。
ロシアの惨めな敗戦はプーチン体制の崩壊を意味する。プーチン体制崩壊後に親米政権ができたりすると中国としてはこれほど危ういことはない。
ロシアを敗戦させないシナリオは2つ。ウクライナにロシア・プーチンの面子を守る形で和平協議を調印させること、あるいは中国による本格的軍事支援によって戦況をロシア有利に逆転させたのちに、ウクライナに和平条件を飲ませること。
気になるのは、米国が2月、中国が殺傷力を伴う支援をロシアに提供することを検討している、と警告したことだ。中国はそれを完全否定しているが、ロシアに武器供与する選択肢は習近平3期目再選とともに再検討されていたかもしれない。
あるいは、中国としては、そういう情報を流すことで、ウクライナ側が提示する和平協議の条件のハードルを低くさせる狙いがあったかもしれない。つまり、中国がロシアに武器供与する可能性をウクライナにほのめかし、そうなれば戦況が大きくロシア有利に傾くので今のうちに和平協議に応じた方がよいのではないかと思わせよう、ということだ。あるいはEU向けに和平への努力をアピールし、EUとの関係改善を狙っているという意見もある。
いずれにしろ、習近平の本当の願いはプーチンの立場を守ることだろう、と私は見ている。
だが、独裁者の個人的歴史観で他国への侵略戦争を行うような国家に対し、なんらその責任を問わないような国際社会であれば、同じパターンの侵略戦争はまた繰り返される。この戦争は、ウクライナが勝利し、プーチンの退場という決着に持っていくことが、結果的に世界の長期的安定と平和につながる道だと思うのだが、どうだろう。
習近平がプーチンを説得して和平協議のスタートに一歩近づいた、ということなのか? いやいや、習近平の12項目提案の中には、ロシアのウクライナからの全軍撤退条件など肝心の中身がない。むしろ習近平の提案は圧倒的にロシアに配慮したものなのだと、福島さん。
多くの専門家の見方も同様に、プーチンよりの仲裁案との声がおおいですね。
この習近平の自称「平和の旅外交」の狙いは何なのか。
会談の中身としては、ウクライナ問題について双方は、国連憲章の宗旨と原則遵守、国際法の尊重は必須だという認識を共に示した。
ロシア側は中国側のウクライナ問題に関する客観公正な立場をポジティブに評価。双方は他国の安全・利益に損害を与えるあらゆる行動に反対するとした。
ロシア側は和平協議を早急に再開するために力を尽くすと繰り返し述べ、中国側はこれを賞賛。
「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」文書に記された建設的主張を歓迎する、としたのだそうです。
二人の会談については諸説の解説がありますが、福島さんは、習近平の発言からすごく不穏な言葉遣いを拾ってしまうと。
習近平とプーチンのコンセンサスの中に、統疇設計、頂層計画という言葉が入っているが、これはトップによる管理コントロール強化、つまり独裁強化を意味するキーワードだ。習近平、あるいはプーチンが決定して2人で決めていく、というニュアンスが感じられる。
その独裁国家がエネルギー、資源を中心に経済協力、物流をさらに強化するということ。さらに言えば、中ロの二国関係は単純に二国間だけの関係ではなく、世界の枠組みと人類運命共同体の構築にかかわる重要な関係と形容しているのも気になる。つまり2人の独裁者が協力して新たな国際社会の枠組みをつくっていこう、と言っているようにも見えると。
習近平はなぜ親ロ外交にそこまで固執するのか。
1つの理由は、習近平のプーチンに対する個人的感情があるだろうと、福島さん。
習近平が個人的にプーチンに憧れている、という話は、複数の党内関係者から聞いたことがある。
プーチンは、ゴルバチョフによって崩壊寸前に陥ったロシアを立て直したし、つねに厳しい決断を迷いなく行ってきたという点で、習近平にとって憧れの政治家だった。さらに、ウクライナ戦争の戦況がこれだけ厳しくなっても西側にノーと言い続けるその強さも、習近平がプーチンに好感を抱く理由であるという。
もう1つが、ロシアの惨敗を何としても避けることが、中国習近平体制にとって重要だということだと。
ロシアの惨めな敗戦はプーチン体制の崩壊を意味する。プーチン体制崩壊後に親米政権ができたりすると中国としてはこれほど危ういことはない。
ロシアを敗戦させないシナリオは2つ。
ウクライナにロシア・プーチンの面子を守る形で和平協議を調印させること。
あるいは中国による本格的軍事支援によって戦況をロシア有利に逆転させたのちに、ウクライナに和平条件を飲ませること。
いずれにしろ、習近平の本当の願いはプーチンの立場を守ることだろうと福島さん。
だが、独裁者の個人的歴史観で他国への侵略戦争を行うような国家に対し、なんらその責任を問わないような国際社会であれば、同じパターンの侵略戦争はまた繰り返される。この戦争は、ウクライナが勝利し、プーチンの退場という決着に持っていくことが、結果的に世界の長期的安定と平和につながる道だと思うと!
第三次世界大戦の回避。プーチンのウクライナ侵攻が招いた、食料や資材、エネルギーの物価高騰による世界中の国々の物価高騰での生活苦と対策に追われる各国政府!
遂には、金融不安を想起させる米国で発生し、世界に広がりかねない銀行破綻。
プーチンが生じさせたウクライナへの侵略戦争。これは、プーチンの退場でしか終わらない。
国連の常任理事国に君臨するロシアと中国。その拒否権で機能不全の国連。
G7は、後発国の台頭で影響力が減ったとはいえ、腐っても鯛。
今年は、外交落第生の岸田首相が議長。各国が国内の経済状況で苦しむ中での国際団結が求められる今、自由主義国の雄による、リーダーシップ発揮が期待されるのですが如何。。
# 冒頭の画像は、ウクライナを訪問した岸田首相
この花の名前は、トサミズキ
↓よろしかったら、お願いします。
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