遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ソマリア沖海賊へ海自派遣

2008-11-23 17:30:26 | my notice

 ソマリア沖の海賊事件の記事が増えています。地域もケニア沖にまで広がってきました。
 EUや韓国が艦船の派遣を決定する中、日本でも麻生総理が派遣のための法整備を検討すると言っています(動きが遅い)が、自民党の中谷元防衛長官、民主党の前原副代表、公明党の上田政調副会長らが主導する超党派の「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」で特別措置法の制定を目指すことにしたのだそうです。
 自民、民社、公明の超党派での推進となれば、若手議員の会とはいえ、早期実現が期待できますし、安全保障という国家の重要課題に党利・党略を超えて集まる議員さんにエールを送ります。
 

ソマリア海賊猛威 身代金運搬業者まで登場 (11/22 産経)

 アフリカ東部ケニア沖で、サウジアラビアの超大型石油タンカー「シリウス・スター」が海賊に乗っ取られた事件は22日で1週間となる。身代金をめぐる交渉も詳細は不明だ。各国は警備体制を強化したが、すべての海賊を取り締まるのは難しい。事件をめぐる現状と見通しをまとめた。

 ◆タンカーはどこに?
 乗っ取られた当初、タンカーはソマリア北部のエイルに向かったとされたが、海賊の仲間の1人は20日、ロイター通信に「シリウス・スター号」はソマリア中部のハラデレの東28キロにあるガーンという場所に係留され、仲間30人が乗り込んでいると語った。
 ただ、タンカーを保有するサウジ国営石油会社アラムコの子会社ヴェラ社はいまだに船の場所を発表していない。解放後に別の海賊に襲われるのを恐れ、情報を開示しないよう関係当局に要請しているという。

 ◆交渉手数料も高騰
 海賊側はシリウス・スターの解放の条件として、身代金2500万ドル(約24億円)を10日以内に支払うよう要求しているとされる。
 海賊保険を扱う英国の保険会社幹部が、米ABC放送に語ったところでは、交渉は船主と海賊が直接行うのではなく、それぞれの代理人の間で行われるが、ソマリアの海賊との交渉が急増したため、代理人の手数料も高騰しているという。

 身代金交渉の専門家によると、交渉がまとまれば、身代金は現金で海賊に支払われるという。ただ、指定された海域に、梱包(こんぽう)した現金を落とすという一般的な支払い方法では別の海賊に奪われる可能性が高い。このため、ケニアには、身代金並みの高い手数料を取って、海賊の手元まで身代金を運ぶ専門業者も現れたという。

 ◆各国海軍の行動制限
 インド海軍は18日、アデン湾で海賊の母船を交戦の末に撃沈した。インドは海賊の攻撃に対する正当防衛だと説明している。

 ただ、海賊の襲撃から各国艦船を守るため、ソマリア沖に展開している各国海軍は、その行動を厳しく制限されている。拘束された乗員の安全確保を最優先とし、乗っ取られた船を強制的に停戦させて乗り込むことは、多くの国が認めていない。また、武器使用基準もバラバラで、統一行動を取るのは難しい。
 米軍はソマリア沖を航行する船舶に、武装警備員を同乗させることや、各国の軍艦艇が警備する航路を利用することなどを促しているが、船会社側は武装警備員の同乗には消極的だ。

 ◆地上作戦には及び腰
 ロシアのロゴージン北大西洋条約機構(NATO)大使は19日、海賊掃討のためにはソマリアでの地上作戦が必要と強調した。しかし、地上作戦を認める新たな国連決議ができても、実際に軍隊を派遣することには各国とも消極的だ。

 いまのところ、海賊が国際テロ組織アルカーイダとつながっている証拠はないが、米欧各国が介入すれば、一気に海賊をアルカーイダの側へ押しやることになりかねない、との懸念もある。(シンガポール 宮野弘之)

 上記の記事のほかに、14日午前にケニア沖で乗っ取られた、日本人船長が乗船している中国のマグロ漁船「天裕8号」もまだ拘束されたままです。
 ロシア製戦車などを積んだまま乗っ取られたウクライナの貨物船もあり、ソマリア沖では今年、60隻以上が海賊に乗っ取られていて、今なお12隻以上が海賊の手にあるのだそうです。
 
海賊景気に沸く港町 ソマリア 英雄視される風潮 (11/21 産経)

 ソマリア沖を航行する船舶を乗っ取ってもうけた身代金により、“海賊の町”が繁栄している。高騰する身代金目当てに海賊を志す住民たちが増えている-と英国の専門家も警鐘を鳴らす。無政府状態に苦しんでいたソマリアの貧村はどのように変貌(へんぼう)したのか。欧米メディアは、海賊を英雄視する風潮が広がる海賊の拠点の実態を伝えている。

 AP通信によると、ソマリア沿岸部のハラデレは今、レストランやインターネットカフェが次々とできてにぎやかだ。補給のために上陸する海賊をあてにした売店も設けられている。“海賊景気”の恩恵を受け、非常に高価な自家用発電機を購入できる住民も出てきた。
 沖合には、海賊によって乗っ取られたサウジアラビアの大型石油タンカーが係留されている。タンカーがやってきた際、住民たちは集まって祝った。
 「海賊は私たちを頼り、私たちは海賊からもうける」と、商店を営む女性はAP通信に語った。海賊に対する女性の信頼は厚く、店では海賊がツケで買い物ができる。身代金入手後に支払うという。
 5人の子供を持つ別の女性は、「合法だろうが非合法だろうが、こうしたお金によって、私たちの町の生活が始まったのだ」と述べた。

 約20年間、無政府状態が続くソマリアでは、イスラム原理主義勢力と暫定政府軍の戦闘などのため、治安が極度に悪化している。
 AP通信によると、住民の平均寿命は46歳、4人に1人が5歳未満で死亡する。海賊が身代金を町で浪費することによって、仕事が生まれ、住民は収入を得ることができるのだ。
 ロシア製戦車などを積んで乗っ取られたウクライナの貨物船が、沖合に係留されているソマリア北東部のエイルでも同様の状況だ。英紙ガーディアン(電子版)によると、町には海賊向けのホテルや、食事を用意するレストランが急ごしらえされた。海賊船に燃料を売って稼ぐ業者もいる。ほかの町では15ドルの麻薬がエイルでは65ドルで売れるといい、景気のよさがうかがえる。
 「(身代金が入ると)われわれは最初にすてきな家や車を買う。それから銃やほかの武器を買い、残りの金は息抜きに使う」と語るのは、北部ガロウェの海賊の1人だ。豪邸に住み、高級車に乗る。海賊が妻を増やすのも、習慣のようになってきた。
 海賊の豪華な結婚式に出席したガロウェの21歳の女性は、「女性が海賊との結婚に興味を持っているのは本当。普通の男性にこんな結婚式はできない」と同紙に語っている。(宮下日出男)

 長文の引用が続き恐縮ですが、海賊側の裾野の広い地盤を取材している記事なので、全文掲載させていただきました。
 各国の艦船が、海賊を逮捕してソマリア政府に引き渡しても、政府が処罰できる能力がないのだそうです。そこで、英国はソマリア沖で、オランダ船を襲おうとした海賊8人を拘束した(11日)のですが、ケニアに引き渡し、ケニア当局が起訴したそうです。
 マラッカ海峡の海賊は、2004年に比べると1/8に減った(今年 1~9月で、4件)のだそうですが、インドネシア、マレーシア、シンガポールの沿岸3カ国が合同海上パトロールを実施、その他の国々の国際協力、また、海賊の拠点とされたインドネシア・アチェ州の紛争が終結し、治安が改善したことも大きいとされています。
 日本人の海峡の「守り人」・佐々木生治さんの貢献もあります。

 ロシアが唱える、ソマリアの地上の治安回復には一理ありますが...。
 紅海沿岸国(エジプトとイエメンが主催。スーダン、ジブチ、ヨルダン、サウジアラビア、ソマリア暫定政府)の外務省高官や海軍幹部らが出席した会議が開催され、合同沿岸警備隊の創設など対策の検討が開始されたとのことですので、こちらを期待したいものです。
 国際協力で派遣された艦船が逮捕した海賊が野に戻されるのではなく、きちんと裁かれ拘束される国際的な取り決めと実施機関も必要です。

 政府は、「海賊行為防止活動特別措置法案」(仮称)の素案をまとめた(11/21 産経)とのことですが、冒頭の超党派若手議員の会(11/21 読売)の案と内容は似ているようですので、早期に海自の派遣が実現し、国際協力に参加することと同時に、国益の確保を図っていただくようお願いします。


 

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