遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国経済の成熟は「日本化」といわれるが、政策立案の失敗でより深刻化

2023-08-29 01:23:56 | 中国 全般
 中国は1978年に世界経済に復帰した後、史上最も目覚ましい経済成長を成し遂げた。
 1980年には米国の 1/10しかなかった経済規模も、今ではおよそ 3/4に拡大。
 しかし、政府が2022年末の「ゼロコロナ」政策を解除した後に経済が一気に盛り返すかと思いきや、足取りがふらついてよろよろしていると、英エコノミスト誌。
 一体全体、何が狂ったのか。
 ますます独裁色を強める政府がお粗末な判断を下していると!
 
習近平の壊れたモデル、中国経済が修復されないワケ
「日本化」より深刻な問題、元凶は政策立案の失敗 | JBpress (ジェイビープレス)
  2023.8.28(月) 英エコノミスト誌 2023年8月26日号

 ますます独裁色を強める政府がお粗末な判断を下している。

 一体全体、何が狂ったのか。

 
中国は1978年に世界経済に復帰した後、史上最も目覚ましい経済成長を成し遂げた。農地改革、工業化、そして所得の向上により8億人近い人々が極貧状態を脱した。

 
1980年には米国の10分の1しかなかった経済規模も、今ではおよそ4分の3に拡大している。

 
しかし、政府が2022年末の「ゼロコロナ」政策を解除した後に経済が一気に盛り返すかと思いきや、足取りがふらついてよろよろしている

中国経済に忍び寄るデフレ

 
第2四半期の経済成長率は年率換算でわずか3.2%だった。

 ある有力な推計では米国の成長率がほぼ6%に達しているかもしれないことを考えると、この数字はなおひどく映る。

 
住宅価格が下落し、物件が完成する前に売買契約を済ませることが多い不動産デベロッパーが壁に突き当たり、客離れを招いている

 
個人消費、企業の投資、輸出もそろって落ち込んだ

 そして、
世界の大半が高すぎるインフレと戦っている一方で、中国はその正反対の問題に苦しんでいる

 
7月の消費者物価指数が前年同月に比べて下落したのだ。

 
一部のアナリストは、1990年代の日本のようなデフレの罠に陥るかもしれないと警鐘を鳴らしている。

 
しかし、中国の症状は大変深刻であり、いくつかの面で「日本化」という診断は甘すぎる

 
慢性的な成長不足は、中国では日本の場合よりも深刻になる。なぜなら、中国の国民はまだ貧しいからだ。

 
1990年には日本の生活水準は米国のそれの60%ほどになっていたが、今日の中国の生活水準は米国のそれの20%にも満たない

 また、
日本とは異なり、中国は弱々しい需要や重い債務よりもさらに深刻な事態に苦しんでいる

 この国が直面する
苦難の多くは、経済政策の立案におけるもっとスケールの大きな失敗から生じている。しかもそうした失敗は、習近平国家主席への権力集中に伴って悪化し続けている。

才覚を称えられてきた中国官僚だが・・・

 
10年ほど前、中国の官僚は並外れた異才かのように見られていた。まず、経済における偉業を先頭に立って成し遂げた

 2007~09年の世界金融危機では、その対策として十分な規模の景気刺激策を講じた経済大国は中国だけだった。

 一部の評論家は中国が世界経済を救ったとまで言い切った。

 
2010年代には、中国経済がぐらつくたびに、政府当局は金利の引き下げやインフラ整備、不動産市場刺激策などを講じることで、惨事の予想を覆した

 
しかし、そのたびに官民の債務が積み上がった

 住宅ブームの持続可能性や新しいインフラの必要性に対する疑念も膨らんだ。そして
現在、政策立案者は苦境に陥っている

 賢明なことに、当局は「白い象(無用の長物)」はもう要らないと思っており、不動産バブルを膨らませることも望んでいない。

 一方で、
年金支給や消費を喚起するための貧困世帯への給付金など、もっと望ましいタイプの景気刺激策を十分に行うこともできない

 
習氏が「福祉国家の理念」を受け入れず、政府が財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えようとしているからだ

市場の落胆を招く半端な対応

 
その結果、景気減速への対応は生ぬるいものになっている

 
政策立案者は金利の大幅引き下げにさえ乗り気でない。8月21日には最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の1年物を引き下げたが、その幅はわずか0.1%で投資家を落胆させた。

 
経済成長の鈍化とインフレ低下に対するこの貧弱な対応により、中国は政策における失策をまた一つ重ねたことになる。

 
外交政策での驕り(おごり)と重商主義的な産業政策は米国との経済的な摩擦を悪化させた

 国内では、巨額の債務を抱えたせいで不動産デベロッパーがシステミックな重要性を帯びるほどになったシステムや、住宅投機が促される状況に対して、適切に対応できていない。

 
2020年からは、消費者向けテクノロジーで成功している企業を御しがたく独占的な存在と見なして厳しく取り締まり、市場の急落を招いた

 新型コロナのパンデミックの際にはロックダウン(都市封鎖)で時間を稼いだものの、計画的な出口に向けて十分な数の国民にワクチンを接種させるためにその時間を使わず、そうこうするうちに感染力の強いオミクロン株を蔓延させる羽目になった。

失策が続いているワケ

 
なぜ中国政府は失策続きなのだろうか

 
理由の一つは、短期的な経済成長がもう中国共産党の最優先事項ではなくなったことだ

 
習近平氏には、中国は米国との長期的な経済紛争に、場合によっては軍事的な紛争にも備えなければならないと考えているフシがある

 このため、今では
中国が国家的な偉大さや安全保障、頑健さを目指していることを強調する。

 これらの目標を達成するために物質的な犠牲を払うことを厭わず、習氏が経済成長を望む限りにおいては、それは「質の高い」成長でなければならない。

 しかし、その習氏の基準に照らしても、
中国共産党の決断には欠陥がある。ゼロコロナ政策の破綻は習氏の威信を傷つけたハイテク企業への攻撃を目の当たりにした起業家は、怖じ気づいた

 当局が消費喚起を拒んだために中国がしつこいデフレに陥るようなことがあれば、債務の実質的な価値が増大し、経済にその負担がさらに重くのしかかることになる。

 そして何より、
中国共産党が国民の生活水準を引き上げ続けなければ、党の権力掌握が弱まり、米国と張り合う能力が限られてしまう

習近平への権力集中とお粗末な意思決定

 従って、
山積している政策の失敗は、新たに我が身を削って国家安全保障に注力してきたしるしというよりは、単なるお粗末な意思決定のように見える

 
こうした意思決定は、習氏が権力を自分に集中させ、政府の要職から官僚出身者を外して自分に忠実な人物を充てた時期と重なる

 中国はかつて自国経済についての議論を容認したが、今ではアナリストを丸め込んで偽物の楽観論を抱かせるようになった。

 
最近、政府は若年層の失業や消費者信頼感についての見栄えの悪い統計の発表を停止した。

 政府幹部には優秀な人材がまだ数多く残っているものの、
何よりも重要なのは忠誠心だというメッセージがトップから発せられている以上、官僚機構に合理的な分析や斬新なアイデアを期待するのは考えが甘い

 むしろ
政府の決断はますます、裕福な起業家に対する左派の疑念と、怠け者の貧者に現金を手渡したがらない右派の姿勢とが融合したイデオロギーに基づくものになっている

独裁は経済にダメージを与えるか?

 
中国の問題の源泉が政権トップにあるということは、この問題が長引くことを意味している

 
山積する難問に不器用な政策立案者が立ち向かっている間に、問題自体がさらに悪化する恐れもある。

 
人口の高齢化は急速に進んでいる

 
米国はますます敵対的になっており、半導体製造など戦略的に重要だと見なした中国経済の分野の発展を阻もうとしている

 
中国が米国に追いつけば追いつくほど、その差をさらに埋めることはますます難しくなっていく

 
なぜなら、中央計画経済はイノベーションよりもエミュレーション(模倣)の方が得意だからだ。

 リベラル派による中国関連の予想は、希望的観測に終わることが多かった。
2000年代に西側の指導者たちは誤って、貿易、市場、経済成長の3つがそろえば民主主義と個人の自由が促進されると考えた

 だが、
中国は今、これと正反対の関係を試している

 すなわち、
独裁制の強化が経済に打撃を与えるかどうかを試す展開になっている

 確かに打撃を与えること、
そして高度成長を40年間続けた中国が失望の時代に突入しつつあることを示す証拠がどんどん積み上がっている


 中国の第2四半期の経済成長率は年率換算でわずか3.2%だった。

 住宅価格が下落し、物件が完成する前に売買契約を済ませることが多い不動産デベロッパーが壁に突き当たり、客離れを招いている。

 個人消費、企業の投資、輸出もそろって落ち込んだ。
 そして、世界の大半が高すぎるインフレと戦っている一方で、中国はその正反対の問題に苦しんでいる。

 7月の消費者物価指数が前年同月に比べて下落した。

 一部のアナリストは、1990年代の日本のようなデフレの罠に陥るかもしれないと警鐘を鳴らしている。
 しかし、中国の症状は大変深刻であり、いくつかの面で「日本化」という診断は甘すぎる。と、英エコノミスト誌。
 慢性的な成長不足は、中国では日本の場合よりも深刻になる。なぜなら、中国の国民はまだ貧しいからだ。
 1990年には日本の生活水準は米国のそれの60%ほどになっていたが、今日の中国の生活水準は米国のそれの20%にも満たない。
 また、日本とは異なり、中国は弱々しい需要や重い債務よりもさらに深刻な事態に苦しんでいる。

 この国が直面する苦難の多くは、経済政策の立案におけるもっとスケールの大きな失敗から生じている。しかもそうした失敗は、習近平国家主席への権力集中に伴って悪化し続けていると、英エコノミスト誌。

 10年ほど前、中国の官僚は並外れた異才かのように見られていた。まず、経済における偉業を先頭に立って成し遂げた。
 2007~09年の世界金融危機では、その対策として十分な規模の景気刺激策を講じた経済大国は中国だけだった。

 2010年代には、中国経済がぐらつくたびに、政府当局は金利の引き下げやインフラ整備、不動産市場刺激策などを講じることで、惨事の予想を覆した。
 しかし、そのたびに官民の債務が積み上がった。
 住宅ブームの持続可能性や新しいインフラの必要性に対する疑念も膨らんだ。そして現在、政策立案者は苦境に陥っていると、英エコノミスト誌。

 当局は「白い象(無用の長物)」はもう要らないと思っており、不動産バブルを膨らませることも望んでいない。
 一方で、年金支給や消費を喚起するための貧困世帯への給付金など、もっと望ましいタイプの景気刺激策を十分に行うこともできない。
 習氏が「福祉国家の理念」を受け入れず、政府が財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えようとしているからだと。

 その結果、景気減速への対応は生ぬるいものになっている。
 政策立案者は金利の大幅引き下げにさえ乗り気でない。
 経済成長の鈍化とインフレ低下に対するこの貧弱な対応により、中国は政策における失策をまた一つ重ねたことになると、英エコノミスト誌。

 2020年からは、消費者向けテクノロジーで成功している企業を御しがたく独占的な存在と見なして厳しく取り締まり、市場の急落を招いた。

 なぜ中国政府は失策続きなのだろうか。
 理由の一つは、短期的な経済成長がもう中国共産党の最優先事項ではなくなったことだ。
 習近平氏には、中国は米国との長期的な経済紛争に、場合によっては軍事的な紛争にも備えなければならないと考えているフシがある。
 
 中国共産党の決断には欠陥がある。ゼロコロナ政策の破綻は習氏の威信を傷つけた。ハイテク企業への攻撃を目の当たりにした起業家は、怖じ気づいた。

 中国共産党が国民の生活水準を引き上げ続けなければ、党の権力掌握が弱まり、米国と張り合う能力が限られてしまう。

 山積している政策の失敗は、単なるお粗末な意思決定のように見える。
 こうした意思決定は、習氏が権力を自分に集中させ、政府の要職から官僚出身者を外して自分に忠実な人物を充てた時期と重なると、英エコノミスト誌。
 政府幹部には優秀な人材がまだ数多く残っているものの、何よりも重要なのは忠誠心だというメッセージがトップから発せられている以上、官僚機構に合理的な分析や斬新なアイデアを期待するのは考えが甘いと!

 中国経済を改革開放の集団指導体制導入で、日本を抜き米国迫るまで成長させたのは、鄧小平の流れを継ぐ共青団派。
 しかし、さきの共産党大会で、共青団派は一掃され、習近平へのゴマスリ輩で固められたことは、諸兄がご承知の通り。

 政府の決断はますます、裕福な起業家に対する左派の疑念と、怠け者の貧者に現金を手渡したがらない右派の姿勢とが融合したイデオロギーに基づくものになっていると、英エコノミスト誌。
 中国の問題の源泉が政権トップにあるということは、この問題が長引くことを意味している。
 山積する難問に不器用な政策立案者が立ち向かっている間に、問題自体がさらに悪化する恐れもあるとも。

 米国はますます敵対的になっており、半導体製造など戦略的に重要だと見なした中国経済の分野の発展を阻もうとしている。
 中国が米国に追いつけば追いつくほど、その差をさらに埋めることはますます難しくなっていく。
 なぜなら、中央計画経済はイノベーションよりもエミュレーション(模倣)の方が得意だからだと、英エコノミスト誌。
 
 2000年代に西側の指導者たちは誤って、貿易、市場、経済成長の3つがそろえば民主主義と個人の自由が促進されると考えた。
 だが、中国は今、これと正反対の関係を試している。
 独裁制の強化が経済に打撃を与えるかどうかを試す展開になっている。
 そして高度成長を40年間続けた中国が失望の時代に突入しつつあることを示す証拠がどんどん積み上がっていると、英エコノミスト誌。

 「日本化」よりも大きな破綻の、「リーマンショック」の再来が懸念される中国経済。
 コロナで停滞したサプライチェーンの破綻と、米中「新冷戦」の進展とで進みつつある脱中国の動き。
 本格化させ備える必要がありそうですね。

 折しも「トリチウム入り水」の海洋放出にたいする中国の科学を無視した、政治意図(経済不振での政府批判への発散転嫁策で、江沢民も使った反日誘導策)の対日批判。
 岸田政権には、効果のない口頭反論ではなく、対抗制裁策も視野にいれた対抗策で、日本国を護る必要が求められますね。
 IAEAが科学的正当性を唱え、現実には、日本より多いトリチウム排出をしている中国や韓国野党が反論しているだけなのでいすから!
 環境省_トリチウムの年間処分量 ~海外との比較~


 
 # 冒頭の画像は、福島第一原発
  福島沿岸、トリチウム検出されず=処理水放出後、海水を調査―環境省と県 | 時事通信ニュース



  この花の名前は、アマギアマチャ


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