プーチン大統領が来日しての、長門、東京での首脳会談。直前の読売新聞・日本テレビの合同インタビューで予測された通りの厳しい内容で、想定以上のロシアペースのものでした。
遊爺は「日露首脳会談 プーチン大統領の圧勝」と直後の評価を書かせていただいていました。米国でも報道されていますが、「ロシアが日本の希望を粉砕」といった診かたが大勢の様ですね。
日露首脳会談 プーチン大統領の圧勝 - 遊爺雑記帳
米国メディアの評価は「ロシアが日本の希望を粉砕」 領土問題で少しも妥協を見せなかったプーチン大統領 | JBpress(日本ビジネスプレス)
WSJは、「プーチン大統領は日本側の領土返還の希望を粉砕した」という見出しでその結果を総括しているのだそうです。
「プーチン大統領は日本との領土紛争に関する協議でほとんど何も譲歩せず、従来通りの妥協しない交渉スタイルを再度みせつけた」とも。更に、米テンプル大学教授のジェームズ・ブラウン氏の「プーチン氏は安倍氏をうまくあしらった。プーチン氏の方が外交駆け引きでは安倍氏よりすっと経験が多く、巧妙であることを示した」というコメントも報じていたのだそうですね。
ワシントンポストも、「この会談はプーチン大統領の明らかな勝利だった」と報じ、記事では、プーチン大統領が北方領土の共同経済開発の名の下に日本側から投資や融資などの経済利益を得ることに成功し、その一方で、領土問題に関しては少しも譲歩しなかった点を指摘しているのだそうです。
ニューヨークタイムズは、「日本とロシアの首脳会談は領土紛争に関して行き詰まりとなった」という見出しを掲げ、「会談前には、日本の安倍首相やその他の人物たちは領土問題に関して画期的な前進があるという見通しを示唆していた。だが、実際には何の進展もなかった」「会談は、北方領土での共同経済活動についての討議以外には何も生み出さなかった」といった厳しい評価を下したのだそうです。
日本国内では、日露関係に造詣の深い、北海道大学の木村教授が、安倍首相の平和条約締結への熱意は評価しながらも、日本は、「G7の「結束」を乱した」(それは、プーチン大統領の狙い所でもあります)、「過去の決着なしに友好はない」と、厳しい指摘をされています。
力で現状変更を進めるロシアと中国。中国との東シナ海、南シナ海での侵略に直面している日本は、更に不法占拠をつづけるロシアと韓国にも対峙しています。特に、中国の侵略行動は、エスカレートを続け、脅威の度を高めてきていることは諸兄がご承知の通りで、日米同盟の他にも、ロシアを味方につけ、中国包囲網を形成し。牽制力を高める必要性があります。
安倍首相は、「過去のいざこざ、すなわち北方領土問題を横において、四島での日露共存共栄を図ることが肝要である」と、会談の意義を主張し、来年早々の訪露を表明しています。
【日露首脳会談】安倍晋三首相、来年早期の訪露に意欲 「日露平和条約交渉を一歩一歩進める」と強調 - 産経ニュース
四島の帰属の解決に合意した、「東京宣言(1993年)」の確認をした、「イルクーツク声明(2001年)」「日露行動計画(2003年)」に署名していたプーチン大統領ですが、「ひきわけ」と言い「日ソ共同宣言(1956年)」の二島返還を基点に後退していましたが、今回は共同宣言でも、主権はロシアのものだと更に後退しています。
逃げるプーチン大統領を、未来志向でと、「新しいアプローチ」として「共同開発」を掲げ追いかける安倍首相。
日米安保、ロシアの基地の存在、といった抜きがたい棘、欧州の対露制裁延長と言った俯瞰が必要で、立ち止まって、経済協力の実施保留をカード化してはどうでしょう。四島返還の可否を餌に日本の経済支援を引き出しつづけたいロシア。日本は、経済支援をカードに平和条約と四島の返還を求め続けていくべきです。焦って、拙速な結果を求めたほうが敗けとなる、ロシアンルーレットなのですから。
# 冒頭の画像は、講道館の道場に入るプーチン大統領
この花の名前は、タムラソウ
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遊爺は「日露首脳会談 プーチン大統領の圧勝」と直後の評価を書かせていただいていました。米国でも報道されていますが、「ロシアが日本の希望を粉砕」といった診かたが大勢の様ですね。
日露首脳会談 プーチン大統領の圧勝 - 遊爺雑記帳
米国メディアの評価は「ロシアが日本の希望を粉砕」 領土問題で少しも妥協を見せなかったプーチン大統領 | JBpress(日本ビジネスプレス)
WSJは、「プーチン大統領は日本側の領土返還の希望を粉砕した」という見出しでその結果を総括しているのだそうです。
「プーチン大統領は日本との領土紛争に関する協議でほとんど何も譲歩せず、従来通りの妥協しない交渉スタイルを再度みせつけた」とも。更に、米テンプル大学教授のジェームズ・ブラウン氏の「プーチン氏は安倍氏をうまくあしらった。プーチン氏の方が外交駆け引きでは安倍氏よりすっと経験が多く、巧妙であることを示した」というコメントも報じていたのだそうですね。
ワシントンポストも、「この会談はプーチン大統領の明らかな勝利だった」と報じ、記事では、プーチン大統領が北方領土の共同経済開発の名の下に日本側から投資や融資などの経済利益を得ることに成功し、その一方で、領土問題に関しては少しも譲歩しなかった点を指摘しているのだそうです。
ニューヨークタイムズは、「日本とロシアの首脳会談は領土紛争に関して行き詰まりとなった」という見出しを掲げ、「会談前には、日本の安倍首相やその他の人物たちは領土問題に関して画期的な前進があるという見通しを示唆していた。だが、実際には何の進展もなかった」「会談は、北方領土での共同経済活動についての討議以外には何も生み出さなかった」といった厳しい評価を下したのだそうです。
日本国内では、日露関係に造詣の深い、北海道大学の木村教授が、安倍首相の平和条約締結への熱意は評価しながらも、日本は、「G7の「結束」を乱した」(それは、プーチン大統領の狙い所でもあります)、「過去の決着なしに友好はない」と、厳しい指摘をされています。
関心は領土より露との「共栄」か 北海道大学名誉教授・木村汎 (12/21 産経 【正論】)
≪G7の「結束」を乱した日本≫
安倍晋三首相の対露交渉に賭ける情熱は、半端ではない。ロシアのプーチン大統領との間で16回もの首脳会談を行った。2014年以来、先進7カ国(G7)は、ロシアに制裁を科している。北方四島を軍事占拠されている日本は、最も厳しい制裁をロシアに加えるべき筋合いだろう。ところが日本は、事実上“制裁破り”さえしている。
G7による制裁は、ロシア高官たちの海外資産を凍結するばかりか、彼らのG7諸国への渡航を禁じている筈(はず)だ。にもかかわらず、ロシア安全保障会議書記、上下両院議長、第1副首相、「ロスネフチ」社長らが大手を振って来日、時には首相に面会さえしている。
G7諸国の首脳たちはロシア訪問を手控えている。ところが、安倍首相は、ソチ五輪開会式やウラジオストクでの東方経済フォーラムへ気軽に足を運ぶ。このような態度を見兼ねて、オバマ米大統領は首相にプーチン大統領を日本へ招くことだけは慎むようにとの苦言を呈した。
やむなく首相が思いついたのは、米国の大統領選が終了し、任期満了前のオバマ氏が「レームダック化」した今年12月に、ロシア大統領を招待するというスケジュールだった。このような苦肉の策の結果、ロシア大統領のG7メンバー国への訪問が実現した。しかもそれはG7議長国の重責をになうはずの日本だった。
≪首相が情熱注ぐ平和条約締結≫
首相は一体なぜそこまでして、ロシアとの平和条約締結に情熱を注ぐのか。
1つには安倍政権は「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」という素晴らしいキャッチフレーズを掲げているにもかかわらず、近隣アジア諸国との関係は疎遠状態のままにとどまっている事情がある。習近平国家主席下の中国、朴槿恵大統領下の韓国との間で首脳間交流は停滞したままで、北朝鮮の拉致問題解決の目途も立っていない。
2つは岸-安倍家の遺訓だ。祖父・岸信介氏は、憲法改正とソ連との平和条約締結の2つを悲願として掲げつつも、自らは実現しえなかった。父・晋太郎氏は、がんの病をおしてモスクワを訪問。ゴルバチョフ大統領に対ソ交渉を打開するための「8項目提案」を手渡した。そのとき、車椅子に乗りながら日ソ関係打開に賭ける父の執念を見ていたのが、晋三氏に他ならなかった。
3つ目には安倍首相には北方領土から強制的に引き揚げさせられた日本人元島民に対する共感がある。彼ら約1万7千人の過半数が既に他界し、残っている者も平均年齢81歳と高齢化している。ペルーでプーチン大統領から冷水を浴びせかけられて以来、安倍首相は元島民と頻繁に会い、彼らの訴えをロシア大統領に伝達することにとりわけ熱心になった。
以上、3つの事情は、すべて安倍首相が平和条約締結に傾ける熱意の原動力になっている。このことを認めた上で、私個人の重大な観察を記そう。あえて大胆に述べると、安倍首相にとって北方領土返還にたいする関心は、二の次のように見受けられる。同首相の主要関心は、島の返還よりも平和条約の締結なのである。
さらにいうならば、隣り合う日本とロシアの共存共栄なのである。このような大胆な仮説を立てさせたのは12月16日、プーチン大統領との共同記者会見中の安倍首相の態度や言辞だった。
≪過去の決着なしに友好はない≫
首相は一気に流れるような名調子で述べた。日本の政治家はあらかじめ官僚が準備したペーパーを読む。ところが安倍首相の様子は違った。
このとき首相が口にしたことこそ首相の本音であり、おそらく彼が何度もプーチン大統領との2人だけの会合でこれまで繰り返し語った中身そのものではなかったか。
私にとりもっと大事なのは、その驚くべき発想だった。首相は述べた。「過去にばかりとらわれるのではなく、北方四島の未来像を描き、未来志向の発想が必要だ。この新たなアプローチに基づき、云々(うんぬん)」(傍点、木村)。さらに言葉を継いで、講道館柔道の創始者・嘉納治五郎の「自他共栄」の言葉も引いた。
要約すれば〈過去よりも未来が大事〉。つまり過去のいざこざ、すなわち北方領土問題を横において、四島での日露共存共栄を図ることが肝要である。これこそが、安倍首相の「新しいアプローチ」の骨子なのではないか。
首相の右の発言は一見、大衆受けするように聞こえるものの、危険な発想である。なぜならば、一般的にいって人間であれ、国家の関係であれ、好むと好まざるとにかかわらず、過去の上に立って現在や未来がはじめて築かれるからである。
日露関係に関していえば、ソ連が固有の領土を武力で奪った過去を納得ゆく形で決着させないでいくら未来を構築しようと欲しても、両国は決して真の友好関係へと発展しえないのだ。(きむら ひろし)
≪G7の「結束」を乱した日本≫
安倍晋三首相の対露交渉に賭ける情熱は、半端ではない。ロシアのプーチン大統領との間で16回もの首脳会談を行った。2014年以来、先進7カ国(G7)は、ロシアに制裁を科している。北方四島を軍事占拠されている日本は、最も厳しい制裁をロシアに加えるべき筋合いだろう。ところが日本は、事実上“制裁破り”さえしている。
G7による制裁は、ロシア高官たちの海外資産を凍結するばかりか、彼らのG7諸国への渡航を禁じている筈(はず)だ。にもかかわらず、ロシア安全保障会議書記、上下両院議長、第1副首相、「ロスネフチ」社長らが大手を振って来日、時には首相に面会さえしている。
G7諸国の首脳たちはロシア訪問を手控えている。ところが、安倍首相は、ソチ五輪開会式やウラジオストクでの東方経済フォーラムへ気軽に足を運ぶ。このような態度を見兼ねて、オバマ米大統領は首相にプーチン大統領を日本へ招くことだけは慎むようにとの苦言を呈した。
やむなく首相が思いついたのは、米国の大統領選が終了し、任期満了前のオバマ氏が「レームダック化」した今年12月に、ロシア大統領を招待するというスケジュールだった。このような苦肉の策の結果、ロシア大統領のG7メンバー国への訪問が実現した。しかもそれはG7議長国の重責をになうはずの日本だった。
≪首相が情熱注ぐ平和条約締結≫
首相は一体なぜそこまでして、ロシアとの平和条約締結に情熱を注ぐのか。
1つには安倍政権は「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」という素晴らしいキャッチフレーズを掲げているにもかかわらず、近隣アジア諸国との関係は疎遠状態のままにとどまっている事情がある。習近平国家主席下の中国、朴槿恵大統領下の韓国との間で首脳間交流は停滞したままで、北朝鮮の拉致問題解決の目途も立っていない。
2つは岸-安倍家の遺訓だ。祖父・岸信介氏は、憲法改正とソ連との平和条約締結の2つを悲願として掲げつつも、自らは実現しえなかった。父・晋太郎氏は、がんの病をおしてモスクワを訪問。ゴルバチョフ大統領に対ソ交渉を打開するための「8項目提案」を手渡した。そのとき、車椅子に乗りながら日ソ関係打開に賭ける父の執念を見ていたのが、晋三氏に他ならなかった。
3つ目には安倍首相には北方領土から強制的に引き揚げさせられた日本人元島民に対する共感がある。彼ら約1万7千人の過半数が既に他界し、残っている者も平均年齢81歳と高齢化している。ペルーでプーチン大統領から冷水を浴びせかけられて以来、安倍首相は元島民と頻繁に会い、彼らの訴えをロシア大統領に伝達することにとりわけ熱心になった。
以上、3つの事情は、すべて安倍首相が平和条約締結に傾ける熱意の原動力になっている。このことを認めた上で、私個人の重大な観察を記そう。あえて大胆に述べると、安倍首相にとって北方領土返還にたいする関心は、二の次のように見受けられる。同首相の主要関心は、島の返還よりも平和条約の締結なのである。
さらにいうならば、隣り合う日本とロシアの共存共栄なのである。このような大胆な仮説を立てさせたのは12月16日、プーチン大統領との共同記者会見中の安倍首相の態度や言辞だった。
≪過去の決着なしに友好はない≫
首相は一気に流れるような名調子で述べた。日本の政治家はあらかじめ官僚が準備したペーパーを読む。ところが安倍首相の様子は違った。
このとき首相が口にしたことこそ首相の本音であり、おそらく彼が何度もプーチン大統領との2人だけの会合でこれまで繰り返し語った中身そのものではなかったか。
私にとりもっと大事なのは、その驚くべき発想だった。首相は述べた。「過去にばかりとらわれるのではなく、北方四島の未来像を描き、未来志向の発想が必要だ。この新たなアプローチに基づき、云々(うんぬん)」(傍点、木村)。さらに言葉を継いで、講道館柔道の創始者・嘉納治五郎の「自他共栄」の言葉も引いた。
要約すれば〈過去よりも未来が大事〉。つまり過去のいざこざ、すなわち北方領土問題を横において、四島での日露共存共栄を図ることが肝要である。これこそが、安倍首相の「新しいアプローチ」の骨子なのではないか。
首相の右の発言は一見、大衆受けするように聞こえるものの、危険な発想である。なぜならば、一般的にいって人間であれ、国家の関係であれ、好むと好まざるとにかかわらず、過去の上に立って現在や未来がはじめて築かれるからである。
日露関係に関していえば、ソ連が固有の領土を武力で奪った過去を納得ゆく形で決着させないでいくら未来を構築しようと欲しても、両国は決して真の友好関係へと発展しえないのだ。(きむら ひろし)
力で現状変更を進めるロシアと中国。中国との東シナ海、南シナ海での侵略に直面している日本は、更に不法占拠をつづけるロシアと韓国にも対峙しています。特に、中国の侵略行動は、エスカレートを続け、脅威の度を高めてきていることは諸兄がご承知の通りで、日米同盟の他にも、ロシアを味方につけ、中国包囲網を形成し。牽制力を高める必要性があります。
安倍首相は、「過去のいざこざ、すなわち北方領土問題を横において、四島での日露共存共栄を図ることが肝要である」と、会談の意義を主張し、来年早々の訪露を表明しています。
【日露首脳会談】安倍晋三首相、来年早期の訪露に意欲 「日露平和条約交渉を一歩一歩進める」と強調 - 産経ニュース
四島の帰属の解決に合意した、「東京宣言(1993年)」の確認をした、「イルクーツク声明(2001年)」「日露行動計画(2003年)」に署名していたプーチン大統領ですが、「ひきわけ」と言い「日ソ共同宣言(1956年)」の二島返還を基点に後退していましたが、今回は共同宣言でも、主権はロシアのものだと更に後退しています。
逃げるプーチン大統領を、未来志向でと、「新しいアプローチ」として「共同開発」を掲げ追いかける安倍首相。
日米安保、ロシアの基地の存在、といった抜きがたい棘、欧州の対露制裁延長と言った俯瞰が必要で、立ち止まって、経済協力の実施保留をカード化してはどうでしょう。四島返還の可否を餌に日本の経済支援を引き出しつづけたいロシア。日本は、経済支援をカードに平和条約と四島の返還を求め続けていくべきです。焦って、拙速な結果を求めたほうが敗けとなる、ロシアンルーレットなのですから。
# 冒頭の画像は、講道館の道場に入るプーチン大統領
この花の名前は、タムラソウ
↓よろしかったら、お願いします。