減速する中国経済の中、国有企業の無計画な設備拡大(それが高度成長の数値を産んだ一因でもありますが)によって産まれた、過剰在庫と過剰生産能力が課題となっていて、全人代で、李克強首相が、「改革」というキーワードを70回近く使ったことが話題にのぼったことは、諸兄がご承知の通りです。
石炭産業、鉄鋼業が顕著とされ、アルミやガラスの産業も加えれば計300万~500万人の失業者が発生するとの推計もあるのだそうで、その対策は、共産党独裁政治の存続にもかかわりかねない喫緊の重要課題となっていますね。
中国東北部最大の石炭会社で双鴨山最大の国有企業でもある竜煤グループでは、賃金の未払いにより、国有企業の従業員によるものとしては、これまで何年もなかった大規模な抗議行動が展開されたのだそうです。そして労働争議は、ここに限らず、各地で発生していて、昨年は、2014年の倍の 2,700件、今年に入ってからは、2ヶ月で 1,000件発生しているのだと。
【中国全人代2016】李克強首相が「改革」を70回連呼 標的は「ゾンビ企業」だが600万人失業、社会不安の恐れも - 産経ニュース
そして、中国の債務の総額は対国内総生産(GDP)比240%に上るのだそうです。日本の政府の財政赤字は惨憺たる数値ですが、中国も思い負担を背負い始めてきた様ですね。
2030年代、財政赤字のGDP比は430%超に (3ページ目):日経ビジネスオンライン
減速する中国経済。そこで生まれる失業者への対策。右肩上がりの一本調子の中で、覆い隠されてきた、格差社会の問題は、格差どころか失業者対策という新たな局面に立ち向かうこととなりました。それは、先進諸国が抱えている問題でもあり、ここでは早くも中国も追いついて仲間入りということになります。
いや、環境問題や、人権問題なども抱える中国は、先進諸国以上の課題を抱えているのですから、先進諸国以上の課題を抱えた国となります。
それをどう乗り越えるのか、お手並み拝見といったところです。外に新たな市場を求める「一帯一路」戦略は、早くも綻びが見られる様ですが、またかつての江沢民が採った「反日扇動政策」で、人民の眼を逸らす戦術にでるのか、そのごまかしがネット社会で通用するのか、少し長い目で注視する必要がありますね。
中国がくしゃみをしたら、日本が風邪をひく(今、株価がそうなりつつある)様にならないよう、チャイナプラスワン、脱中国の継続が、日本企業に求められます。
# 冒頭の画像は、中国の労働争議のひとコマ
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版さんはTwitterを使っています: "深刻化する中国の賃金未払い、労働争議を警戒 https://t.co/luUePQt8av 経済成長の鈍化を受け、建設や製造業セクターを中心に労働争議が劇的に増加。中国政府は今年、特に警戒感を強めている https://t.co/XiYDKE0ziM"
この花の名前は、アワコガネギク
↓よろしかったら、お願いします。
石炭産業、鉄鋼業が顕著とされ、アルミやガラスの産業も加えれば計300万~500万人の失業者が発生するとの推計もあるのだそうで、その対策は、共産党独裁政治の存続にもかかわりかねない喫緊の重要課題となっていますね。
中国東北部最大の石炭会社で双鴨山最大の国有企業でもある竜煤グループでは、賃金の未払いにより、国有企業の従業員によるものとしては、これまで何年もなかった大規模な抗議行動が展開されたのだそうです。そして労働争議は、ここに限らず、各地で発生していて、昨年は、2014年の倍の 2,700件、今年に入ってからは、2ヶ月で 1,000件発生しているのだと。
【中国全人代2016】李克強首相が「改革」を70回連呼 標的は「ゾンビ企業」だが600万人失業、社会不安の恐れも - 産経ニュース
中国の労働争議:希望の見えない深いあな | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.3.23(水) The Economist
鉱山労働者の大規模な抗議行動が政府の改革計画にとって悪い前兆だ。
「共産党は俺たちのカネを返せ!」「生きていたい、食べさせろ!」──。
3月12日、ロシアとの国境に近い中国・黒竜江省の双鴨山(そうおうさん、シュワンヤーシヤン)市のうらぶれた通りで数千人の炭鉱労働者が掲げた横断幕には、そんなスローガンがなぐり書きされていた。
彼らはこの日、中国東北部最大の石炭会社で双鴨山最大の国有企業でもある竜煤グループの本社前に集まり、少なくとも2カ月支給されていない賃金を払えと声を上げた。
中には鉄道の運行を邪魔したり、機動隊員ともみ合ったりする者もいた。インターネットでは、抗議行動の写真がソーシャルメディアで拡散されていった。その一方で、検閲当局がそれを削除していった。
今回の抗議行動は、国有企業の従業員によるものとしては、これまで何年もなかった大規模なものだ。中国政府は、竜煤グループのような国有企業の過剰生産能力を縮小してその莫大な赤字を圧縮しようとしている。政府は今後、おそらく同様の出来事に直面することになるだろう。
人事社会保障相(労働大臣に相当)の尹蔚民氏は2月、今後5年間で炭鉱労働者130万人と鉄鋼労働者50万人が職を失う可能性があると述べていた。
これらにアルミやガラスの産業も加えれば計300万~500万人が失業するかもしれないとの推計もある。1990年代の後半に国有企業が行ったリストラでは数千万人分の雇用が失われた。それに比べればまだはるかに少ない。
だが、双鴨山のように少数の国有企業のおかげで経済が成り立っている都市もある。そういう場所での事業縮小は大きな衝撃をもたらすだろうし、下手をすれば騒乱が起こるかもしれない。
景気が減速するにつれ、労働争議は至る所で発生している。竜煤グループのように、財務が悪化すると従業員への賃金支給を遅らせたり止めたりして対応する企業は多い。
香港のNGO(非政府組織)「チャイナ・レイバー・ブレティン(中国労工通訊)」によれば、昨年には2014年の2倍にあたる2700件のストライキが発生した。
また、2月初めの旧正月までの2カ月間で1000件を超えるストライキや抗議行動が行われた。その90%が賃金の未払いに関係するものだったという。
双鴨山の抗議行動の3日後には、隣の吉林省にある通化鋼鉄という鉄鋼メーカーでもほとんど同じ規模のデモが発生した。これも賃金の未払いに対する抗議だった。
<中略>
双鴨山の問題は極端な事例かもしれないが、多くの政治指導者、特に東北部の指導者の間ではありふれた話だ。この地域には、需要不振のおかげで過剰生産能力を大量に抱えてしまった大型の国有企業が数多く本社を構えている。
そして、石炭産業と鉄鋼業は最もダメージの大きな産業の一角を占めている。今年1~2月の生産量はいずれも6%減少しており、需要はそれを上回るペースで縮小している。
また、中国の債務の総額は対国内総生産(GDP)比240%で不安を覚えるほど多く、その中で最も大きな割合を占めているのが国有企業だ。既存の債務を返済できるだけの利益を稼げていない企業も多く、借金を返すために新たな借金をしている。
■深い坑から抜け出せるのか?
この債務の連鎖を断ち切るには、赤字の企業を縮小するか閉鎖するしか道はないと政府は認めているように見える。
全人代の最後に李克強首相は「構造改革」に取り組む自らの決意を繰り返し、政府は失業者に新しい仕事を見つけられるよう努めると述べた。人事社会保障省によれば、余剰人員とされた人が新しい職を見つけるのを支援するために1000億人民元(150億ドル)の基金を設立するという。
中国のエコノミストの中には、それだけでは足りず、政府は断固たる改革に必要なスタミナを失ってしまうと危惧する声もある。
東北部は1990年代の国有企業淘汰を、中央政府からのわずかな支援でしのいだ。今度はもっと大量の支援が必要になりそうだ。
双鴨山近郊の作業場の出口には、「第三鉱の明日はもっと麗しい!」という標語を掲げた看板が掛かっている。給料を受け取ることができた炭鉱労働者にとっては、3月第3週は前の週よりも少し良いものだったかもしれない。しかし、多くの住民にとっては、未来は到底魅力的なものではない。
鉱山労働者の大規模な抗議行動が政府の改革計画にとって悪い前兆だ。
「共産党は俺たちのカネを返せ!」「生きていたい、食べさせろ!」──。
3月12日、ロシアとの国境に近い中国・黒竜江省の双鴨山(そうおうさん、シュワンヤーシヤン)市のうらぶれた通りで数千人の炭鉱労働者が掲げた横断幕には、そんなスローガンがなぐり書きされていた。
彼らはこの日、中国東北部最大の石炭会社で双鴨山最大の国有企業でもある竜煤グループの本社前に集まり、少なくとも2カ月支給されていない賃金を払えと声を上げた。
中には鉄道の運行を邪魔したり、機動隊員ともみ合ったりする者もいた。インターネットでは、抗議行動の写真がソーシャルメディアで拡散されていった。その一方で、検閲当局がそれを削除していった。
今回の抗議行動は、国有企業の従業員によるものとしては、これまで何年もなかった大規模なものだ。中国政府は、竜煤グループのような国有企業の過剰生産能力を縮小してその莫大な赤字を圧縮しようとしている。政府は今後、おそらく同様の出来事に直面することになるだろう。
人事社会保障相(労働大臣に相当)の尹蔚民氏は2月、今後5年間で炭鉱労働者130万人と鉄鋼労働者50万人が職を失う可能性があると述べていた。
これらにアルミやガラスの産業も加えれば計300万~500万人が失業するかもしれないとの推計もある。1990年代の後半に国有企業が行ったリストラでは数千万人分の雇用が失われた。それに比べればまだはるかに少ない。
だが、双鴨山のように少数の国有企業のおかげで経済が成り立っている都市もある。そういう場所での事業縮小は大きな衝撃をもたらすだろうし、下手をすれば騒乱が起こるかもしれない。
景気が減速するにつれ、労働争議は至る所で発生している。竜煤グループのように、財務が悪化すると従業員への賃金支給を遅らせたり止めたりして対応する企業は多い。
香港のNGO(非政府組織)「チャイナ・レイバー・ブレティン(中国労工通訊)」によれば、昨年には2014年の2倍にあたる2700件のストライキが発生した。
また、2月初めの旧正月までの2カ月間で1000件を超えるストライキや抗議行動が行われた。その90%が賃金の未払いに関係するものだったという。
双鴨山の抗議行動の3日後には、隣の吉林省にある通化鋼鉄という鉄鋼メーカーでもほとんど同じ規模のデモが発生した。これも賃金の未払いに対する抗議だった。
<中略>
双鴨山の問題は極端な事例かもしれないが、多くの政治指導者、特に東北部の指導者の間ではありふれた話だ。この地域には、需要不振のおかげで過剰生産能力を大量に抱えてしまった大型の国有企業が数多く本社を構えている。
そして、石炭産業と鉄鋼業は最もダメージの大きな産業の一角を占めている。今年1~2月の生産量はいずれも6%減少しており、需要はそれを上回るペースで縮小している。
また、中国の債務の総額は対国内総生産(GDP)比240%で不安を覚えるほど多く、その中で最も大きな割合を占めているのが国有企業だ。既存の債務を返済できるだけの利益を稼げていない企業も多く、借金を返すために新たな借金をしている。
■深い坑から抜け出せるのか?
この債務の連鎖を断ち切るには、赤字の企業を縮小するか閉鎖するしか道はないと政府は認めているように見える。
全人代の最後に李克強首相は「構造改革」に取り組む自らの決意を繰り返し、政府は失業者に新しい仕事を見つけられるよう努めると述べた。人事社会保障省によれば、余剰人員とされた人が新しい職を見つけるのを支援するために1000億人民元(150億ドル)の基金を設立するという。
中国のエコノミストの中には、それだけでは足りず、政府は断固たる改革に必要なスタミナを失ってしまうと危惧する声もある。
東北部は1990年代の国有企業淘汰を、中央政府からのわずかな支援でしのいだ。今度はもっと大量の支援が必要になりそうだ。
双鴨山近郊の作業場の出口には、「第三鉱の明日はもっと麗しい!」という標語を掲げた看板が掛かっている。給料を受け取ることができた炭鉱労働者にとっては、3月第3週は前の週よりも少し良いものだったかもしれない。しかし、多くの住民にとっては、未来は到底魅力的なものではない。
そして、中国の債務の総額は対国内総生産(GDP)比240%に上るのだそうです。日本の政府の財政赤字は惨憺たる数値ですが、中国も思い負担を背負い始めてきた様ですね。
2030年代、財政赤字のGDP比は430%超に (3ページ目):日経ビジネスオンライン
減速する中国経済。そこで生まれる失業者への対策。右肩上がりの一本調子の中で、覆い隠されてきた、格差社会の問題は、格差どころか失業者対策という新たな局面に立ち向かうこととなりました。それは、先進諸国が抱えている問題でもあり、ここでは早くも中国も追いついて仲間入りということになります。
いや、環境問題や、人権問題なども抱える中国は、先進諸国以上の課題を抱えているのですから、先進諸国以上の課題を抱えた国となります。
それをどう乗り越えるのか、お手並み拝見といったところです。外に新たな市場を求める「一帯一路」戦略は、早くも綻びが見られる様ですが、またかつての江沢民が採った「反日扇動政策」で、人民の眼を逸らす戦術にでるのか、そのごまかしがネット社会で通用するのか、少し長い目で注視する必要がありますね。
中国がくしゃみをしたら、日本が風邪をひく(今、株価がそうなりつつある)様にならないよう、チャイナプラスワン、脱中国の継続が、日本企業に求められます。
# 冒頭の画像は、中国の労働争議のひとコマ
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版さんはTwitterを使っています: "深刻化する中国の賃金未払い、労働争議を警戒 https://t.co/luUePQt8av 経済成長の鈍化を受け、建設や製造業セクターを中心に労働争議が劇的に増加。中国政府は今年、特に警戒感を強めている https://t.co/XiYDKE0ziM"
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