恒例の年頭の主要 5紙の社説読み比べの独断評価です。
昨年プーチンが北京冬季五輪の合間に始めたウクライナへの侵攻が起こした、自由主義諸国と、専制主義諸国との分断と、今後の展望を各社とも論じている点は同じ。
今年は産経を評価します。
バランスよく諸々の論点を網羅しているのは、読売。G7の議長国となる日本がリーダーシップを発揮しろとの檄は、大賛成ですが、安倍ロスで、安倍政権下、安倍氏の傘の下で内弁慶の失敗外交の連続だった岸田氏(途中で、臆さず行動力のある河野氏に交代)に、その期待は無理。
社説:平和な世界構築へ先頭に立て 防衛、外交、道義の力を高めよう : 読売新聞オンライン
22年は混迷の1年として歴史に刻まれることになるだろうと振り返るのは、日経。
「ツキディデスの罠」と、「キンドルバーガーの罠」のふたつの罠に陥りつつあるのではないかの論は、注目させられました。
G7の議長国となっている今年。また、今年から2年間、国連安保理の非常任理事国も務める。政権発足時に「分断から協調へ」を掲げた岸田首相の真価が問われる年になる日本と、日本の国際貢献が期待されるとのことですが、ご本人が勝手に自信を持っている外交は、世界を俯瞰した稀有の実績を残した安倍氏の使い走り(実績は不合格)。
聞く耳で、「けんとうし」止まり。稀に決断することがあると、独断専行で失政に近い不評。
[社説]分断を越える一歩を踏み出そう: 日本経済新聞
毎日、朝日は相変わらずの机上の空論。
社説:探る’23 危機下の民主主義 再生へ市民の力集めたい | 毎日新聞
(社説)空爆と警報の街から 戦争を止める英知いまこそ:朝日新聞デジタル
安倍、菅政権では、目指す姿と、その為の具体的政策があった。
「聞く耳」が売りの岸田政権。
聞いた後は、「けんとうし」で、行動や政策への具現化が乏しい。稀に、行動が在れば、独断専行で、失政。
「3文書」の高評下で、防衛抑止力向上に方向転換を示したのは大きな功績だが、国民に増税負担を強いる発言をし、反発があると、政府と国民が一体となってと修正するという、ドタバタ。
プーチンのウクライナ侵攻で、世界は第三次大戦の可能性と身近に接することとなり、その予防に苦慮している。
日本は、中国(台湾侵攻と尖閣実効支配支配争い)、ロシア(北方領土問題)、北朝鮮(拉致家族奪還とミサイル防衛)、韓国(竹島の不法占拠と太平洋戦争戦後処理の蒸し返し)といった、紛争火種を継承中。
現実に紛争を抱えている国だということが、忘れられ議論(平和ボケ)からの脱却が、先ず求められます。
#冒頭の画像は、NATO会議に出席し、防衛費増額を約束した岸田首相
ボダイジュの黄葉
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA
昨年プーチンが北京冬季五輪の合間に始めたウクライナへの侵攻が起こした、自由主義諸国と、専制主義諸国との分断と、今後の展望を各社とも論じている点は同じ。
今年は産経を評価します。
バランスよく諸々の論点を網羅しているのは、読売。G7の議長国となる日本がリーダーシップを発揮しろとの檄は、大賛成ですが、安倍ロスで、安倍政権下、安倍氏の傘の下で内弁慶の失敗外交の連続だった岸田氏(途中で、臆さず行動力のある河野氏に交代)に、その期待は無理。
社説:平和な世界構築へ先頭に立て 防衛、外交、道義の力を高めよう : 読売新聞オンライン
22年は混迷の1年として歴史に刻まれることになるだろうと振り返るのは、日経。
「ツキディデスの罠」と、「キンドルバーガーの罠」のふたつの罠に陥りつつあるのではないかの論は、注目させられました。
G7の議長国となっている今年。また、今年から2年間、国連安保理の非常任理事国も務める。政権発足時に「分断から協調へ」を掲げた岸田首相の真価が問われる年になる日本と、日本の国際貢献が期待されるとのことですが、ご本人が勝手に自信を持っている外交は、世界を俯瞰した稀有の実績を残した安倍氏の使い走り(実績は不合格)。
聞く耳で、「けんとうし」止まり。稀に決断することがあると、独断専行で失政に近い不評。
[社説]分断を越える一歩を踏み出そう: 日本経済新聞
毎日、朝日は相変わらずの机上の空論。
社説:探る’23 危機下の民主主義 再生へ市民の力集めたい | 毎日新聞
(社説)空爆と警報の街から 戦争を止める英知いまこそ:朝日新聞デジタル
【年のはじめに】「国民を守る日本」へ進もう 論説委員長・榊原智 - 産経ニュース 2023/1/1 榊原 智
机上論ではなく、踏み込んだ具体論を展開しているのが産経。
「日本が努力しなかったら、戦後初めて戦争を仕掛けられるかもしれない。戦争したくないから抑止力を高めようとしているんですよ」
このように語ると、たいていの人が首肯してくれた。
昨年は仕事柄、なぜ岸田文雄首相が防衛力の抜本的強化へ動いているのか―と問われる機会がしばしばあった。それへの説明である。
ロシアがウクライナを侵略し、岸田首相は「東アジアは明日のウクライナかもしれない」と語った。日本の首相が戦争の危機を公然と憂えたのは、少なくともこの数十年間なかったことだ。安全保障環境はそれほど深刻である。
■世論は防衛強化を支持
岸田政権が決めた国家安全保障戦略など安保3文書は、反撃能力の保有や5年間の防衛費総額43兆円などを盛り込んだ。安保政策の大きな転換で岸田首相の業績といえる。
安倍晋三政権は集団的自衛権の限定行使を容認する安保関連法を制定した。軍拡を進める中国や北朝鮮に比べ防衛力が十分でないという課題が残ったため、岸田政権は防衛体制の質と量を整える実践面の改革に着手した。それは平和を追求する日本外交の発言力も高める。ウクライナ人が祖国を守る姿を見た国民の多数は防衛力強化を支持している。
もちろん、政策文書だけでは安全は手に入らない。今年は3文書の抑止力強化措置を講じる最初の年だ。令和5年度予算成立なしには防衛費増額も始まらない。関係者の努力や同盟国米国との協力が重要だ。
台湾への中国軍の侵攻があれば、地理的に極めて近い南西諸島が戦火に見舞われる恐れはある。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)を台湾の付属島嶼(とうしょ)とみなしている。「台湾統一」が中国の夢なら尖閣も含めようとするだろう。台湾有事と日本有事が否応(いやおう)なく連関する点から目を背けて、備えを怠れば本当に戦争がやってくるかもしれない。抑止力と対処力の向上が急がれるゆえんだ。
北朝鮮の核・ミサイルも問題だ。ところが、反撃能力保有をめぐり一部野党や多くのメディアは「相手国が発射する前の反撃能力行使は先制攻撃になる恐れ」や「歯止め」を専ら論じている。核ミサイルも抑止しなければならないのに、バカも休み休み言ってもらいたい。
日本が参考にすべきは同じ民主主義の欧米各国の防衛政策だが、ミサイル対処で日本のような見当違いの議論が横行する国はない。理由なく相手を叩(たた)く先制攻撃が国際法上不可なのは自衛隊も先刻承知だ。反撃能力の円滑な導入を論じてほしい。
それでも反撃能力の運用は何年も先になる。既存の部隊や装備を十分活用するため弾薬、整備部品の確保を急ぎたい。特に弾薬庫増設は重要で地元自治体は理解すべきだ。
■「シェルター」担当相を
ロシアは国際法を無視してウクライナの民間人・施設をミサイル攻撃している。このような非人道的な戦術を中朝両国が有事に真似(まね)ない保証はない。台湾のように、日本でも地下シェルター整備は急務だが、内閣に整備促進の担当相がいないのは疑問だ。政府はウクライナや台湾、欧米、イスラエルへ調査団を派遣し、国民保護の手立てを学ぶべきだ。
残された問題はまだある。
中朝露が核戦力増強に走っているのに、安保3文書に国民を守る核抑止態勢強化の具体策がない。岸田首相には取り組む責務がある。
何より、北朝鮮に拉致されたり、それに似た状況に置かれた国民を、自衛隊は海外で救出することが許されていない。憲法9条の解釈で海外での武力行使が禁じられているせいだ。現地政府の了解を得た警察権の代行なら余地があるというが、敵対的な国で日本国民が非道な目にあっている場所が分かっても、救出作戦の選択を端(はな)から放棄しているのが戦後日本だ。国民を守らない9条の呪縛である。
1976年にイスラエル軍は、ウガンダのエンテベ空港で、テロリストがハイジャックした民航機を急襲し、人質だった自国民のほとんどを解放した。このとき、ウガンダ政府は反イスラエルの姿勢だった。
日本が国民を守れる国になるには乗り越えるべき壁がまだある。
机上論ではなく、踏み込んだ具体論を展開しているのが産経。
「日本が努力しなかったら、戦後初めて戦争を仕掛けられるかもしれない。戦争したくないから抑止力を高めようとしているんですよ」
このように語ると、たいていの人が首肯してくれた。
昨年は仕事柄、なぜ岸田文雄首相が防衛力の抜本的強化へ動いているのか―と問われる機会がしばしばあった。それへの説明である。
ロシアがウクライナを侵略し、岸田首相は「東アジアは明日のウクライナかもしれない」と語った。日本の首相が戦争の危機を公然と憂えたのは、少なくともこの数十年間なかったことだ。安全保障環境はそれほど深刻である。
■世論は防衛強化を支持
岸田政権が決めた国家安全保障戦略など安保3文書は、反撃能力の保有や5年間の防衛費総額43兆円などを盛り込んだ。安保政策の大きな転換で岸田首相の業績といえる。
安倍晋三政権は集団的自衛権の限定行使を容認する安保関連法を制定した。軍拡を進める中国や北朝鮮に比べ防衛力が十分でないという課題が残ったため、岸田政権は防衛体制の質と量を整える実践面の改革に着手した。それは平和を追求する日本外交の発言力も高める。ウクライナ人が祖国を守る姿を見た国民の多数は防衛力強化を支持している。
もちろん、政策文書だけでは安全は手に入らない。今年は3文書の抑止力強化措置を講じる最初の年だ。令和5年度予算成立なしには防衛費増額も始まらない。関係者の努力や同盟国米国との協力が重要だ。
台湾への中国軍の侵攻があれば、地理的に極めて近い南西諸島が戦火に見舞われる恐れはある。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)を台湾の付属島嶼(とうしょ)とみなしている。「台湾統一」が中国の夢なら尖閣も含めようとするだろう。台湾有事と日本有事が否応(いやおう)なく連関する点から目を背けて、備えを怠れば本当に戦争がやってくるかもしれない。抑止力と対処力の向上が急がれるゆえんだ。
北朝鮮の核・ミサイルも問題だ。ところが、反撃能力保有をめぐり一部野党や多くのメディアは「相手国が発射する前の反撃能力行使は先制攻撃になる恐れ」や「歯止め」を専ら論じている。核ミサイルも抑止しなければならないのに、バカも休み休み言ってもらいたい。
日本が参考にすべきは同じ民主主義の欧米各国の防衛政策だが、ミサイル対処で日本のような見当違いの議論が横行する国はない。理由なく相手を叩(たた)く先制攻撃が国際法上不可なのは自衛隊も先刻承知だ。反撃能力の円滑な導入を論じてほしい。
それでも反撃能力の運用は何年も先になる。既存の部隊や装備を十分活用するため弾薬、整備部品の確保を急ぎたい。特に弾薬庫増設は重要で地元自治体は理解すべきだ。
■「シェルター」担当相を
ロシアは国際法を無視してウクライナの民間人・施設をミサイル攻撃している。このような非人道的な戦術を中朝両国が有事に真似(まね)ない保証はない。台湾のように、日本でも地下シェルター整備は急務だが、内閣に整備促進の担当相がいないのは疑問だ。政府はウクライナや台湾、欧米、イスラエルへ調査団を派遣し、国民保護の手立てを学ぶべきだ。
残された問題はまだある。
中朝露が核戦力増強に走っているのに、安保3文書に国民を守る核抑止態勢強化の具体策がない。岸田首相には取り組む責務がある。
何より、北朝鮮に拉致されたり、それに似た状況に置かれた国民を、自衛隊は海外で救出することが許されていない。憲法9条の解釈で海外での武力行使が禁じられているせいだ。現地政府の了解を得た警察権の代行なら余地があるというが、敵対的な国で日本国民が非道な目にあっている場所が分かっても、救出作戦の選択を端(はな)から放棄しているのが戦後日本だ。国民を守らない9条の呪縛である。
1976年にイスラエル軍は、ウガンダのエンテベ空港で、テロリストがハイジャックした民航機を急襲し、人質だった自国民のほとんどを解放した。このとき、ウガンダ政府は反イスラエルの姿勢だった。
日本が国民を守れる国になるには乗り越えるべき壁がまだある。
安倍、菅政権では、目指す姿と、その為の具体的政策があった。
「聞く耳」が売りの岸田政権。
聞いた後は、「けんとうし」で、行動や政策への具現化が乏しい。稀に、行動が在れば、独断専行で、失政。
「3文書」の高評下で、防衛抑止力向上に方向転換を示したのは大きな功績だが、国民に増税負担を強いる発言をし、反発があると、政府と国民が一体となってと修正するという、ドタバタ。
プーチンのウクライナ侵攻で、世界は第三次大戦の可能性と身近に接することとなり、その予防に苦慮している。
日本は、中国(台湾侵攻と尖閣実効支配支配争い)、ロシア(北方領土問題)、北朝鮮(拉致家族奪還とミサイル防衛)、韓国(竹島の不法占拠と太平洋戦争戦後処理の蒸し返し)といった、紛争火種を継承中。
現実に紛争を抱えている国だということが、忘れられ議論(平和ボケ)からの脱却が、先ず求められます。
#冒頭の画像は、NATO会議に出席し、防衛費増額を約束した岸田首相
ボダイジュの黄葉
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA