遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

北朝鮮のミサイルと、日米同盟

2009-04-12 16:17:41 | EEZ 全般
 北朝鮮のミサイルで、日本は大騒ぎしすぎで北の戦略にはまっているとの評論家の声が多いですね。防衛省が、MD配備のPRをしているとの声もあります。
 村役場まで翻弄されて走り回ったと言いますが、遊爺はそれでよかったのだと考えます。国民の危機意識が、少しは実感体験できたことと、防衛体制が誤報だけでなく随所に不備があることが表面化したことは、麻生総理が「いい予行演習ができたと思えばいいじゃねえか」と言ったそうですが、平和ボケして臨戦感覚が欠如している国民、政治家、防衛省には貴重な経験となり、我が国の安全保障に更なる投資や、増強が必要であることを知らしめてくれました。
 そして、最も重要なことは、先の尖閣諸島への中国船の領海侵犯事件でも顔を覗かせた、民主党新政権の米国の、日米安保条約の考えが、今回も従来とは異なっている気配が見え隠れすることです。

 
米、一転中国と協力 (4/12 読売朝刊)

 北朝鮮発射を受けた国連安全保障理事会の対応で、米中がまとめた議長声明が早ければければ13日にも採択される方向だ。米中が協力し、決議を前に立てる日本に妥協を迫る異例の構図となり、米オバマ政権の中国重視と対日関係の変容が浮かび上がった。

 9日夜(日本時間10日)、中曽根外相がクリントン米国務長官に電話で決議採択に向けた結束を呼びかけていたとき、国連では安保理常任理事国と日本の非公式会合で、米中の議長声明案が示されていた。
 決議は、安保理決定として最も重く法的拘束力を持つ。議長声明は議長による公式見解の表明で、法的拘束力はない。
 会合後、「実り多かった」と、ライス米国連大使。憤然たる面持ちの高須幸雄国連大使と対照的だった。
 米国の立場はくるくる変わった。3月末には中国との合意を念頭に議長声明での対応を準備。4月5日の発射直後の安保理協議では、日韓の説得もありラスイ国連大使が「米国は決議を目指す」と明言。日本と制裁強化決議案を作成した。
 しかし、決議を拒む中国の姿勢を見て、議長声明に逆戻り。「早期決着」で中国と一致し、議長声明の原案を作成、日中に受け入れを打診した。中国は当初、議長声明より弱い報道機関同け「プレス声明」を主張したが、米国案を基本的に了承し、修正して9日夜の会合に提示した。
 2006年の北朝鮮のミサイル発射と核実験のときは、日米の強硬姿勢で中国が譲歩を重ね、厳しい決議ができあがった。その図式は今はない。
 それでも米中の議長声明案には、日本が目指す基本要素が入り、北朝鮮のさらなる挑発に対して、安保理が追加制裁決議など強い措置を取る土台になりうる。
 議長声明案は、「発射」が北朝鮮に弾道ミサイル関連活動の全面停止を義務づけた安保理決議1718に「従っていない」として、人工衛星であろうとなかろうと発射自体が問題との認識を示し、「非難」を明記。北朝鮮に「さらなる発射を行わない」ことを要求しており、北朝鮮が再発射に踏み切れば、日米は「議長声明を北朝鮮が踏みにじった」と主張できる。一方、中国が北朝鮮を擁護できる余地は狭まる。
 議長声明案は11日の安保理非公式協議で各理事国に示され、13日にも採択される見込み。全会一致が原則のため、調整に一定の時間を要する可能性もある。


 オバマ大統領は、「違反は処罰されなければならない。強力な国際社会の対応が必要だ」と明言(4/5)していたのですが、中国(ロシアもですが)の北朝鮮保護の姿勢に、あっさりと方向転換しました。
 ミサイル発射実験で、自国の上空を通過されるという日本にとっては、拉致事件解決に向けた交渉も中断したままで、言いたい放題、やりたい放題の北朝鮮の行動を、黙って見過ごすわけにはいかず、前国連決議違反であることは、上記のオバマ発言の通りで、なんらかの制裁なしでは済まされ無いことを世界に主張してきました。

 IMFへの投資を、一時は国内優先で避けていた中国ですが、今回のG20では大幅増資を申し出て、国際金融の場での覇権獲得も狙い始めた、今、世界で最も投資余力のある国になっています。ドル最大の保有国で、更に国債を引き受けてもらわねばならない米国は、中国に逆らえなくなってきているのです。
 政治まで中国の属国となったとは言いませんが、お金の面では、今回の国債引き受けが進んだ暁には、更に頭が上がらなくなるはずです。
 サウジのアブドラ国王に、腰をまげてお辞儀をしたと、国内で批判されているオバマ大統領ですが、ならすもの国家・北朝鮮の扱いでも、中国の軍門に下っています。

 ゲーツ米国防長官は、3/29に、北朝鮮の発射ロケットはミサイルであるとしながらも、米領域を標的としたものでない限り、「われわれが何らかの対応をする用意はない」と述べ、撃ち落とさない方針を公表していました。日本も、上空を通過するミサイルが、米国に向かうものであった場合迎撃出来ないとしていましたから、おあいこではあるのですが、日米安保として、現実の問題にはめいめいが自国保護に専念することになることが図らずも判明しました。
 日米安全保障条約は、中国・北朝鮮、ロシアに対する抑止機能を果たすもので、日本の安全保障の柱でしたが、一皮むいた中身の現実は、怪しい臭いがするのです。
 日米の分断を、最大の戦略と考えている中国・北朝鮮にすれば、狙いがかなう方向が見えてきたのです。

 今回判明した、MDの未熟さは、すでに諸兄がご承知のとおり、次のものがあります。
 各レーダー情報を瞬時にやり取りでき、弾道ミサイルへの対処能力を持つ新自動警戒管制システム「ジャッジ」の未稼働。9ユニットしかないPAC3では、一部の地域しか護れない。迎撃を判断する指揮所側には弾道ミサイルへの対処能力がない。肝心の衛星での情報収集は米軍に依存。等々の防衛体制の不備。
 この状況で、米国は自国に飛来するミサイルに優先対応するというのですから、米国衛星などに頼っている日本のMDの稼働は、期待出来ません。米国防衛の出先情報収集の役割に終わってしまうのです。

 諸兄の多くのかたがたが、民主党政権に代わる米国は、自国中心で、日本への負担を求めてくると予測されていた事と存じます。
 イラク関連での地位の失墜が、世界同時不況で更に中国・ロシアの台頭を許すことになりつつあり、米国一辺倒の日米安保頼りでは、日本は米中両大国の間で利用されるだけで、国家の存続が危ぶまれる状勢といってもよい状況です。
 自分の国は、自分で護る。そのための、政策の改革が必要な、新たな時代が到来しつつあると感じるのは、遊爺だけでしょうか?

 今回の議長声明の結果は、日本が強硬姿勢を貫き、結果として中国も歩み寄ったとも言え、日本外務省が描いた戦略通りになった(内容が、報道されているような強く非難する内容で、前決議を再確認するものであれば)のだとしたら、麻生さんや外務省に拍手を送らねばなりませんが...?




↓ よろしかったら、お願いします。


中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日―一極主義 vs 多極主義

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国の覇権拡大戦略は、金融... | トップ | ロシアの電子偵察機が、日米... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

EEZ 全般」カテゴリの最新記事