遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国の覇権拡大戦略は、金融にも!

2009-03-29 19:11:35 | 中国 全般
 今回も、中国の覇権拡大戦略についてです。
 軍事力によるのでも、人の移動でもなく、基軸通貨ドルに代わる国際準備通貨の創設構想を提唱し、オバマ政権に揺さぶりをかけるとともに、金融戦略での世界制覇の動きを始めているのです。
 中国の世界制覇の戦略は、ブチ上げたときは、何を途方もなく寝ぼけたことをとおもわせ、ポツリポツリで忘れかける言い方なのですが、実は裏で周到に準備を重ねていて次第に頻度を上げ、現実味のあるものにしてしまうのです。東シナ海のガス田、最近では尖閣諸島の領有権など枚挙にいとまはありません。
 基軸通貨については、ロシア・プーチン首相が言い始めたもので、4月のG20でもロシアが提唱の動きを見せていますが、ドル保有世界一の中国が同調してきたのです。
 
 
中国、新基軸通貨を提唱 「ドル不信」米に揺さぶり ガイトナー長官「容認」発言で一時急落 (3/27 産経)

 【ワシントン=渡辺浩生】来月ロンドンで開かれる20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会合)を控え、大量のドル資産を保有する中国が、基軸通貨ドルに代わる国際準備通貨の創設構想を提唱し、オバマ政権に揺さぶりをかけている。金融危機下で膨らむドル不信が背景にあり、ガイトナー財務長官が提案に理解を示す発言をしたため、ドルが円やユーロに対し一時急落する事態となった。

 ≪特別引き出し権活用≫
 中国人民銀行の周小川総裁が24日、ドルに代わる国際準備通貨として、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の活用を提唱。ロシアもG20で議論するよう提案した。
 SDRは国際準備資産として1969年に導入。変動相場制移行後は役割が縮小、現在は主に国際機関の計算単位として使われ、価値は主要通貨のバスケットで決められている。オバマ大統領はドル基軸体制堅持の姿勢を示しているが、25日にはガイトナー財務長官が「提案にわれわれはオープンだ」と発言した。
 市場は「通貨体制見直しを容認」と受け止め、1ドル=98円前後で推移していたドル相場は一気に96円93銭まで急落。長官が「ドルは圧倒的な準備通貨」と言い直して、97円台まで買い戻されたが、米国が同構想に神経をとがらせていることを露呈した。

 ≪人民元切り上げ好機≫
 ドルは世界の外貨準備の3分の2を占めているが、米国は金融危機への対処で財政赤字が急増。将来のインフレとドル暴落の危険をはらむ。一方、約2兆ドルの外貨準備を擁する中国は1月の米国債残高が7390億ドルと世界最大のドル資産保有国となった。「米国の財政責任にいかに依存しているかを実感し、恐れ始めている」(米有力シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート)ことが、新準備通貨を模索する動きにつながっている。欧米の同時不況の間に「国際通貨秩序の再構築に積極的な役割を果たしたい」(英紙フィナンシャル・タイムズ)思惑も背景にはある。

 ただ、中国のドル資産増大の最大の理由は、輸出拡大のため人民元相場を抑制する為替介入にある。「自らが問題に貢献している事実を無視している」(ボルガー元FRB議長)わけで、米国は中国に内需拡大と人民元切り上げを迫る好機としたいようだ。


  基軸通貨がドルであることで、米国は赤字でもドルを発行することで、破綻は逃れられます。また、基軸通貨であることで、世界の主役の地位を維持できています。
 金融危機で不安が芽生えてきたこの機を利用して、ドルの基軸通貨の独占している地位を崩そうというのが、ロシア・プーチン首相の狙いで、目的が一致する中国も加わってきたものです。
 昨年、一昨年のユーロが元気だった時は、フランスなどEU各国も言い出していて、産油国がドルからユーロに一部移行する動きがみられたりしました。
 その昔、日本もアジアでの通過を円にと言っていました。最近では、中国がアジア諸国との貿易決済を元にとの流れをつくろうとしていて、アジアでの通貨の地位を高めています。中国観光客用に、銀聯カードが日本の多くの店で使用可能になっている話は、メディアでも頻繁に取り上げられている通りです。

 オバマ政権は、未曾有の荒波にこぎ出していますが、国民の支持を得て数々の政策を打ち出し、実行に移そうとしています。
 しかし、財政では思い切った投資を計画していますが、経済破綻のきっかけとなった金融制度の改革や治療が遅れているとの声が高まり始め、ガートナー長官の言動が批判をあびるケースが目立ち始めました。(AIGのボーナス問題につづく今回)
 オバマ大統領も、日本を引き合いに出し、その失敗を反面教師とするとして、大幅財政出動を素早く行うとしていますが、増大確実の財政赤字も対策をうつとしています。そのための具体的な政策は、遊爺には見聞き出来ていませんが、さしあたりはまだ国債を中国や日本に買って貰うことが優先のように見えます。財政出動をしながら、赤字対策もという2兎を追う政策は、失われた10年の失敗原因の柱の一つです。

 中国は、その世界一の保有量と、購買力を外交カードにも活かして相対的地位を高めていますが、ついに基軸通貨からのドル外しまでいいはじめたのです。
 米国は、保有される国債・ドルや更に引き受けてもらいたい国債のせいなのか、大きな反発の姿勢が見られません。それどころか、上記引用の記事のありさまです。

 同じ国債引受先の日本には、一番にホワイトハウスで会った外国首脳という無理は聞き入れましたが(なにもないよりはましですが)、食事はマスコミ主要キャスターとするなど、およそ首脳会談らしくない接遇で、命の短い首相で仕方ないとはいえ、中身も薄い首脳会談であったり、尖閣諸島の安保適用に態度が不鮮明であったり、北朝鮮のミサイル発射に対する国連の制裁決議への態度も、中国寄りに変化しています。
 全て、中国の顔色優先の民主党政権という、クリントン政権時代の頭越え外交を彷彿させるものです。

 その米国よりも、何処よりも、主要国の中で一番経済状況が悪い日本は、政治家だけでなく、マスコミや国民(じつは政策を望んでいるが、政局の報道の視聴率があがるので、マスコミもその報道を増やす)も政局に明け暮れ、内需拡大の政策も議論されず、ひたすらデフレスパイラルの奈落に向け、失われた10年と同じ道を進んでいます。
  # 表立っては長期好景気と言われていたが、実は輸出が良い陰に隠れ、政局に明け暮れ改革の止まった国内では不況が進行していた。
 これでは、米国か中国か、はたまたインド、ブラジルなどの新興勢力かへ向けた輸出の伸びを、神頼みで座して待つしかない状況です。そして、そのときがきても、無為無策の日本(自民もさることながら、政局のために怪しい党首を存続させるなど、基盤となる政策がない民主党などは亡国推進の主役)来るべき時代に備えている中国などに、資源や金融システムを制覇されていて、復活も出来なくなっていそうです。

 日本を、失われた10年から脱出させたのは何か。誰が推進したのか。日本も、米国も想い出して欲しいし、中国の長期戦略に基づく覇権拡大のあらゆる施策と行動に注目し、対処していかねばと思うのです。






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