遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

江沢民から胡錦濤体制へ?

2006-10-14 18:50:54 | 中国 全般
 安倍総理が訪中した日は、北京で「6中総会(中国共産党第16期中央委員会第 6回総会)」が開催された初日で、これまで敵視していた日本の首相に、人民大会堂前広場で儀仗(ぎじょう)兵を閲兵をさせて、中央委に見せつけるという演出がなされました。
 そして、「調和社会」構築を党の基本方針とする決定を採択し、閉会しました。
 
 江沢民時代の成長主義から、社会全体の調和がとれた持続的発展を目指す胡路線への転換が正式に決まった。
 同日発表された総会声明によると、総会は「調和社会」構築について、「重大な戦略的任務」「全党、全人民の共同の願い」と位置づけ、全党に対し、特別に重視するよう強く指示した。
<中略>

 党機関誌・人民日報は、この日採択された決定を「綱領的文書」と記した。
 共産党内で、理論・路線を握ることは、全党を服従させるための必須条件となる。胡氏は、17回党大会を約 1年後に控えた今総会で、その条件整備を間に合わせた。
 陳良宇・上海市党委員会書記解任など、最近の胡氏の権力強化の動きには、今総会の準備としての意味もあった。 (10/12 読売朝刊)

 胡路線への転換は決定されましたが、胡体制への転換が完了したかはまだ微妙な情勢の様です。
 
6中総会 人事見送り 胡体制なお曲折も (10/12 産経朝刊)

 中国共産党が中央委員会総会(6中総会)で決定した「和諧(わかい)(調和のとれた)社会建設」方針は、社会の調和と安定を重視する胡錦濤総書記(国家主席)の理念に基づくもので、来年の第17回党大会で基本路線になる。経済成長が生んだ諸矛盾が党の存立を脅かしているとの危機感を背景に、成長第一主義から脱却する「戦略転換」といえるが、成長にブレーキをかけることは難しく、胡錦濤路線の定着には時間がかかりそうだ。
<中略>

 もし胡錦濤氏が和諧社会建設を一気進めるなら、こうした開発による成長第一主義にブレーキをかければよい。しかし多くの地方自治体では土地売却が財政の過半を占め、その開発によって国内総生産(GDP)も増えるという現実が一方である。

 総会が和諧社会を2020年までの長期目標にしたのも、成長主義を止めることには抵抗があり、実際に成長率が落ちれば財政難や失業増を招くリスクと背中合わせにあるためだ。

 総会コミュニケは、和諧社会論のベースである胡錦濤氏の科学的発展観とあわせ、トウ小平理論、「3つの代表」思想も指導思想として高く掲げるとした。本来なら「3つの代表」を越えるべきだろうが、胡氏の力に限界があったのだろう。

 それは総会で人事が見送られたことにも表れた。陳良宇氏は書記解任時に資格停止になった政治局員から解任されず、うわさされた一部指導者の政治局入りの発表もなかった。政策では胡氏のカラーは出たものの、それを実行する指導体制の確立までにはなお曲折があり、内部抗争激化の可能性も否定できない。

 今日の中国の繁栄をもたらし、世界の工場としての活性化からはじまり、今は世界有数の巨大マーケットとして世界中の国々から米国の対抗馬と目され一目おかれる国に成長し、そこで得た富で、軍事力も増強し、覇権を拡大しようとするまでに至りました。
 これは、一重に小平から江沢民へと引き継がれてきた、経済成長主義の成果です。
 都市と農村、勝者と弱者の格差を生み政権維持にかかわる社会問題(このあたりは、日本でも同様の社会問題を抱えていて、安倍さんも胡政権の様に、重要トップ課題として取り上げて欲しい!)となり、重要政策として取り上げねばならなくなったとは言え、国力を支えているのは、経済成長力があればこそなのです。
 江沢民路線から、小平路線に戻したというほうが現実的かもしれません。
 自分を引き立ててくれた、胡耀邦の改革開放路線、自由化路線ともちがい、江沢民以上の言論・報道規制を敷いた「和諧社会建設」です。
 自政権維持に「反日」カードはなくなりませんが、江沢民が始めた、非常識な「反日」政策や教育が修正されればいいのですが...。

 最近公刊された江沢民氏の『江沢民文選』は、「日本に対して、歴史問題は永久に追及し続けろ」とし、歴史問題を対日カードとして重視しています。また、この本を胡氏が推奨しているという記事を見たことがありました。
 ところが、中国的な理解からは、江沢民その人が実は「過去の歴史」になったとの認識の流布なのだそうです。

 北朝鮮制裁でも、北朝鮮と心中して国際的に孤立することを回避するため制裁を容認するなど、随所に路線変更が見られるようになった今日ですが、厳しい言論・報道規制の上に成り立っている現状では、まだまだ体制が安定してきているとは言えない様で、注目が必用です。


 

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中国はなぜ「反日」になったか  

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