遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国もついに、1990年代の日本と同じように「失われた20年」に突入した

2016-02-10 23:58:58 | 中国 全般
 中国経済減速・原油価格暴落のダブルショック(リーマンショックならぬ中原ショック)は、年明けからの世界同時株安を招き、いまだに留まるところが見通せませんね。リーマンショックの再来かとの声もちらほら聞こえます。
 そのうちの、中国経済減速について、田舎の都市の現状の地味な記事がありました。株価バブル崩壊や人民元安、外貨準備激減が話題になり、理財商品・シャドーバンキング、不動産バブルといった言葉を最近は聞かなくなっていますが、その問題が解決されたわけではなく、静かに、しかし確実に影を広げている様子です。
 

異様な光景に絶句、若者が逃げ出す中国の田舎町 日本をはるかに上回るハコモノ行政の残骸 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.2.10(水) 川島 博之

 年明けから世界の金融市場が混乱し、その原因として中国経済の不振が挙げられている。不振の原因は過剰投資
にあるとされ、特に2008年のリーマンショックへの対応として行われた「4兆元(約60兆円)」対策の影響が大きいと言われる。
 筆者は昨年(2015年)11月に大連の北方約200キロメートルに位置する営口を訪ねた。それについては既に「中国のゴーストタウンで見た官制バブルのなれの果て」と題して報告したが、年初来、中国の過剰投資が金融市場で大きな問題になっているために、もう一度、
過剰投資問題に絞って報告
してみたい。

■閑散とした農村の新幹線
 冒頭の写真は営口市の北の外れに作られた新幹線の駅の様子だ。朝9時頃の写真である。PM2.5が混じった朝靄がかかっているために周囲はよく見えないが、周囲は農村である。
 
農村の中に突然、新幹線の駅が出現
したといった感じ。この写真は列車が入線する5分ほど前に撮影したものだが、ホームは閑散としている。反対側のホームに人影は見えない。
 車両は日本の新幹線によく似ており、乗り心地はよかった。ただ、1時間に1本程度の運行なのに車内はすいていた。大連まで新幹線で1時間、在来線でも3時間程度であろう。
 多忙なビジネスマンが多く乗っているわけでもなく、小さな子どもを連れた母親が移動している様子を見ていると、在来線でも十分ではなかったのかと思われる。ただ、写真からも分かると思うが、駅舎はなかなかモダンな造りであり、駅舎だけを見れば中国も立派な先進国である。


 写真(1) 営口市にある海浜公園

 上の写真(1)は誰もいない巨大な海浜公園。円形の奇抜な建物はスポーツや演劇などを行うホールだそうだ。遠くに立派な橋が見える。この海浜公園に至る道もよく整備されており、片道が3車線あるところも多かった。ただし、車はほとんど走っていない。
 当日は晴れていたにもかかわらず寒かった。営口は遼寧省の中では黄海に面しているために暖かいとされるが、それでも11月は寒くこの写真を写した時には、この広大な公園に筆者たちしかいなかった。祭りなどが行われて賑わうのは7月から8月にかけてのごく短い時期だけだそうだ。

■取り残された街並み
 中国の過剰投資と言うと、工場設備や、ゴーストタウンを意味する「鬼城」と呼ばれ誰も住んでいないマンションなどが有名だが、公園や公会堂も各地に建設されている。
 その建設の主体は地方政府であり、
営口では公園の整備は営口市が行った。このような広大な公園を作れば、維持費もかさむ
だろう。夏の2カ月ほどしか使わないのであれば、巨大な公園は重荷になっていると思われる。
 案内してくれた人はその地方ではインテリと言ってもよい人物であったが、それでも一介の市民であり、
建設資金の出所については分からない
と言っていた。ただ「営口市は困っているのかもしれない」との印象をふと漏らした。それは昨今、市長が度々替わるからだそうだ。

 次の写真(2)は営口市の中心部にある海神を祭った神社である。営口は黄海に面した漁村であったために、このような神社があると言っていた。


 写真(2) 営口市にある海神を祀った神社

 写真が示す通りこの神社はさびれており、現在改装が進行しているとのことだったが、工事をしている様子はなかった。
 このような写真を撮ったのは、
海浜公園とのアンバランスさに驚いたからだ。日本で広大な海浜公園「葛西臨海公園」が開園したのはバブル期の1989年だ。その頃には、神社仏閣もきれいになっていた。しかし中国では、門の下に投げ捨てられた壊れたリアカーが示すように、伝統的な建築物の修復は二の次
になっている。
 もちろん、共産党は神社を中国の伝統とは思っていない。そう言い切ってしまえばそれまでかもしれないが、街を歩いていると、
きれいに整備されている部分と、取り残された部分の落差に驚く
。中心部を少し離れれば、旧態依然とした街並みが続く。
 日本でも「
ハコモノ行政」が非難されたが、中国のそれは日本をはるかに上回る
。これが4兆元対策の実態である。

■過剰な投資依存の果てに・・・
 
そもそも中国はなぜ4兆元(約60兆円)もの経済対策を行ったのであろうか
。リーマンショックによる景気の落ち込みを防ぐといっても、リーマンショックは所詮、米国での出来事であり、対岸の火事と言ってもよい。中国に大きな影響を及ぼしたのは事実であろうが、それにしても対岸の火事に4兆元も経済対策を行う必要性はなかったであろう。
 バブル期の日本と同じように、あの頃、中国は急速に経済が発展する中で高揚感を押さえきれなかったようだ。そんな雰囲気の中で、
建設業者はリーマンショックを口実に公共事業の大幅な拡張を要求した。政策担当者は賄賂や接待攻勢の中で、それを断ることができなかった。それが4兆元対策につながり、そして今日の困難な状況を招いた


 日本のバブルは民間企業が銀行から借金をしまくって土地を買い占めたことが原因だったが、
中国でバブルを作ったのは地方政府
である。中央政府のお墨付きを得て、地方政府が巨額の投資を行った。
 当初のプランは、田舎から農民を集めて営口を一大工業都市にするというものだったが、営口に工場地帯が出現することはなかった。今回の訪問で、新たに作られた工場を1つも見ることはなかった。世界中でもの余りが続く現在、これからも営口が工業によって栄えることはないだろう。
 そんな事情を察してか、若者は北京、上海、広州、深圳に移り住みたがっている。最低でも大連という。若者が逃げ出す街が発展するわけがない。
 中心部人口が20万人程度の
田舎街に相応しくない巨額投資である。いささか度が過ぎたようだ。案内してくれた人は市のバランスシートは知らない
と言っていた。一般市民には知らせていないようである。
 だが、
債務が秘密のベールに覆われていれば、債務処理を進んで行う市長や官僚はいないだろう。問題の先送りが繰り返される
。債務の飛ばしなどによって、現状維持に固執することになる。しかし、それでは発展は止まってしまう。

 
中国もついに、1990年代の日本と同じように「失われた20年」に突入した。そう考えてよいと思う。

 リーマンショックで世界が同時不況であえぐ中、中国はその影響がなかったかのごとく、いち早く経済発展を遂げました。政府の公共投資による、官制不動産バブルが経済をけん引したのですが、地方政府が業績を競ったことで、理財商品・シャドーバンキングの金融危機をはらんだことは衆知のことでした。
 田舎から農民を集めて一大工業都市にするという営口の計画は、頓挫したままなのですね。同様の都市はここだけではない。そして、その負の財務内容は蓋をされたまま先送りされているのです。この不動産バブル崩壊から生じる、金融破綻は、日本が1997年に経験した金融パニックと同じ道で、しかも国家規模での壮大なものとなることで、世界が懸念していました。
 繰り返しますが、話題には上らくなっていますが、なんらその状況は解消されることなく、先送りされているだけなのですね。

 その解決策の一つとして打ち出したのが、官制株価バブル。しかし、見事に失敗したのが、現在の中国の株価。政府が資金をつぎ込み、規制することで、小康状態をなんとか保っていますが、「中原ショック」の危惧の一翼を担っています。

 記事は「中国もついに、1990年代の日本と同じように「失われた20年」に突入した。そう考えてよいと思う。」と結んでいます。「中原ショック」が「リーマンショック」の再来とならないことを願っています。

 数年前から唱えられて、これも最近聞かなくなった「チャイナプラスワン」or「脱中国」。聞かなくなったし、日本からの対中投資の減額報道を観るので、浸透しているのかとおもいきや、中国経済減速の影響が、日本経済や株価に連動するのは、唱えられていたリスクへの対応がなされていない企業が多いということですね。
 「チャイナプラスワン」or「脱中国」でのリスク回避の進行が求められます。



 # 冒頭の画像は、中国 遼寧省 営口市、新幹線が停まる駅のホーム




  この花の名前は、オミナエシ




竹島に関する動画 / 政府広報 - YouTube

杉原由美子氏による絵本「メチのいた島」読み聞かせ - YouTube


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竹島は日韓どちらのものか




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