昨日に続いて、米国に挑む習近平についての読売の連載記事のお付き合いです。大国の米国は、習近平の狙い通りに屈するはずもなく、習近平に苛立ちがみえると。ただ、米国には大統領選という空白期間が生じるため、その隙に付け込もうとしている。「アジア回帰(リバランス)」を打ち出している米国と、覇権拡大を進める習近平の衝突。アジアの雄を自他ともに認める日本は、その最前線に立たされています。
安保法制の成立は、その日本のプレゼンスに必須の最低条件です。参院の特別委員会を通過し、明日にも成立していると思われますが、日米での中国の暴走への抑止力が強化されることになり、アジアの平和に歴史的な節目が産まれ、万全とは言えないものですが、先ずは一歩を踏み出したことは慶賀至極です。
「抗日戦勝利70周年」の軍事パレードは、日本を通り越して、米国に追いつき、追い越す力を誇示するものであったことは衆知のことです。
オバマ大統領が、「世界の警察」を放棄宣言したことで、ロシアのウクライナ侵攻、シリアの生殺しによる自称イスラム国の台頭、中国の南シナ海の暴挙が始まり、第一次大戦前の様な混乱が世界各地で生じています。
世界経済は、高度成長を続け、最近のけん引役だった中国に陰りが生じ、低成長への転換期を迎えた様子です。そこで注目を浴びているのが、アジア市場。
オバマ政権は、フラつきながらも「アジア回帰(リバランス)」に注力し、中国は膝元のアジアへの覇権拡大行動を驀進させています。我が安倍政権も、少子高齢化で縮小する国内市場からアジアや広く世界市場との結合を期して、遅れじと俯瞰外交に注力しています。
市場獲得競争は、第一次世界戦争の様な、植民地争奪合戦をするわけにはいきませんが、軍事力を背景とした力と、資金力をもってする開発援助での争いとなっています。
軍事力を背景として、力で現状変更を進めているのが、中国、ロシア、自称イスラム国。
各地で各国が奮闘していますが、東アジアでは、日米同盟を軸として、ASEANの有志国、豪州(政権交代で新政権については未明)、インドなどと連携が必要となっています。
習近平が目指す、中華民族の偉大な復興の実現、近代以降の中華民族の最も偉大な夢という「中国の夢」。世界制覇。
ますます軋轢は激化しそうですが、日本は、関連諸国との連携を深め、抑止力を高めて、中国の暴走を抑止し、平和を護っていく、アジアの雄国として、各国の期待に応えて行かねばなりません。
# 冒頭の画像は、参議院特別委員会で安保関連法案が可決成立される様子
良識の府が、議論ではなく実力行使の場となり、時間が空費されたのは、対案を出し堂々と論戦に挑まず、感情論戦術に終始した野党の責任が大きいですね。
この花の名前は、マドンナリリー
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安保法制の成立は、その日本のプレゼンスに必須の最低条件です。参院の特別委員会を通過し、明日にも成立していると思われますが、日米での中国の暴走への抑止力が強化されることになり、アジアの平和に歴史的な節目が産まれ、万全とは言えないものですが、先ずは一歩を踏み出したことは慶賀至極です。
獅子の計略 対米攻防 [下] 露骨な示威招く緊張 譲歩なく習氏いらだち (9/17 読売朝刊)
実現していれば、中国の習近平国家主席は南国の日差しの中、眼前に広がる真っ青な海原を眺めたことだろう。
習氏の初の公式訪米の準備にあたり、少なからぬ学者が「ハワイ行き」を中国外務省に進言した。
「広大な太平洋には中米両大国を受け入れる十分な空間がある」。2013年6月、習氏はオバマ米大統領との初会談でこう語り、米中が太平洋を2分割する構想とも受け止められた。2年後、太平洋のほぼ真ん中に位置するハワイの地に習氏が降り立てば、その構想が米国に受け入れられたかのような印象を、世界に与えることもできる。
ハワイには米太平洋艦隊の司令部があり、指揮下の第7艦隊は南シナ海を担当している。「ハワイの米軍がいきり立っている」。南シナ海のスプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)で岩礁を埋め立て軍事拠点化を進める中国に対し、米軍が本気で制止に乗り出すとの情報が伝わってきた。習氏のハワイ行きは幻に終わった。
訪問先には13年に財政破綻し、中国の投資で経済がやや持ち直したデトロイト市も検討されたが「安全上の理由」で見送られた。結局、習氏の最初の訪問地は、歴代主席の訪問実績のあるシアトルに落ち着いた。
■ ■
中国は、習氏の訪問先選びでは米国に配慮した。だが、「大国外交」の国内での最大の見せ場となった9月3日の軍事パレードでは、あからさまな対抗心を隠そうとしなかった。
「『空母キラー』に『グアム急行』。中国の米国向け『宅配業』は著しく発達した」。パレード後のネット論壇は、愛国主義に酔いしれる書き込みで埋まった。マックス・ボーカス駐中国米大使(73)も見守る中、米本土を射程に入れる「東風5B」、米空母が標的の「東風21D」、グアムの米軍基地や南シナ海をカバーする「東風26」といった弾道ミサイル群が、続々と登場したからだ。
同じ頃、天安門から約5000キロ離れた米アラスカ州沖のべーリング海では、5隻の中国軍艦船が、初めて米領海を通過した。アラスカには直前まで、オバマ氏が滞在していた。
「意図的にしろ偶発的にしろ、首脳会談直前にあまりに軽率だ」。米外交筋は不快感をあらわにした。
習氏が力の誇示に傾くのは、対立を抱えながらも利害の一致する分野で協力を進めるという「新しいタイプの大国関係回」を、米国にのませることが目的の一つだ。だが、オバマ米政権が、中国がじりじりと勢力圏を拡大し、衝突回避のためには米国が身を引けといわんばかりの習政権の提案を受け入れるわけはない。対米外交の現実に、習氏はいらだちも感じているようだ。
■ ■
「全ての公務員は、中米関係を学習せよ」。党関係者によると、習氏の指示で、中央、地方政府の内部ネットワークには今年、共産党幹部養成機関・中央党校の米研究者が米国とのつきあい方を解説する「ビデオ講座」が流れるようになった。
習氏は中国の研究機関が「後進的」と不満を示し、「100以上の調査研究機関の新設」も指示した。
米国研究の強化には、手っ取り早く「大国」のシステムを取り込む狙いもある。習政権が進める軍の統合運用強化や軍区再編などの機構改革は、米国の「統合参謀本部」制を参考にしているとの見方が強い。
米国内に自らの主張をしみこませようとの試みも本格化させている。米バージニア州に昨年11月開設された「中国米国研究所」。「中国政府から独立した非営利機関」(洪農・執行主任)とされるが、南シナ海の埋め立て問題が先鋭化した今春以降、領有権を主張する中国の立場を英語で発信するのに一役買っている。女性職員は「交流し、宣伝し、誤解を減らす」と話す。
「アジアでの米国とのプレゼンス争いは続くが、今をうまく乗り切れば、地域の新たな安全保障環境を切り開ける」。中国政府関係者の見方は楽観的だ。
だが、来年11月の米大統領選では民主党、共和党のいずれが勝っても、オバマ政権より厳しい対中政策を取るとの見方が強い。その前に「既成事実」を作ろうと、南シナ海で滑走路建設などを加速させる中国の身勝手な行動が、米中関係をいっそう緊張させている。
イラン核問題やアフガニスタン和平、気候変動問題など、両国の歩み寄りが進展につながった「成功例」もある。だが、米外交筋は「習氏の中国とどう向き合うか。米国を含め、世界が正解を見つけられずにいる」と打ち明ける。訪米する習氏の言動に、世界の目が注がれる。
実現していれば、中国の習近平国家主席は南国の日差しの中、眼前に広がる真っ青な海原を眺めたことだろう。
習氏の初の公式訪米の準備にあたり、少なからぬ学者が「ハワイ行き」を中国外務省に進言した。
「広大な太平洋には中米両大国を受け入れる十分な空間がある」。2013年6月、習氏はオバマ米大統領との初会談でこう語り、米中が太平洋を2分割する構想とも受け止められた。2年後、太平洋のほぼ真ん中に位置するハワイの地に習氏が降り立てば、その構想が米国に受け入れられたかのような印象を、世界に与えることもできる。
ハワイには米太平洋艦隊の司令部があり、指揮下の第7艦隊は南シナ海を担当している。「ハワイの米軍がいきり立っている」。南シナ海のスプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)で岩礁を埋め立て軍事拠点化を進める中国に対し、米軍が本気で制止に乗り出すとの情報が伝わってきた。習氏のハワイ行きは幻に終わった。
訪問先には13年に財政破綻し、中国の投資で経済がやや持ち直したデトロイト市も検討されたが「安全上の理由」で見送られた。結局、習氏の最初の訪問地は、歴代主席の訪問実績のあるシアトルに落ち着いた。
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中国は、習氏の訪問先選びでは米国に配慮した。だが、「大国外交」の国内での最大の見せ場となった9月3日の軍事パレードでは、あからさまな対抗心を隠そうとしなかった。
「『空母キラー』に『グアム急行』。中国の米国向け『宅配業』は著しく発達した」。パレード後のネット論壇は、愛国主義に酔いしれる書き込みで埋まった。マックス・ボーカス駐中国米大使(73)も見守る中、米本土を射程に入れる「東風5B」、米空母が標的の「東風21D」、グアムの米軍基地や南シナ海をカバーする「東風26」といった弾道ミサイル群が、続々と登場したからだ。
同じ頃、天安門から約5000キロ離れた米アラスカ州沖のべーリング海では、5隻の中国軍艦船が、初めて米領海を通過した。アラスカには直前まで、オバマ氏が滞在していた。
「意図的にしろ偶発的にしろ、首脳会談直前にあまりに軽率だ」。米外交筋は不快感をあらわにした。
習氏が力の誇示に傾くのは、対立を抱えながらも利害の一致する分野で協力を進めるという「新しいタイプの大国関係回」を、米国にのませることが目的の一つだ。だが、オバマ米政権が、中国がじりじりと勢力圏を拡大し、衝突回避のためには米国が身を引けといわんばかりの習政権の提案を受け入れるわけはない。対米外交の現実に、習氏はいらだちも感じているようだ。
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「全ての公務員は、中米関係を学習せよ」。党関係者によると、習氏の指示で、中央、地方政府の内部ネットワークには今年、共産党幹部養成機関・中央党校の米研究者が米国とのつきあい方を解説する「ビデオ講座」が流れるようになった。
習氏は中国の研究機関が「後進的」と不満を示し、「100以上の調査研究機関の新設」も指示した。
米国研究の強化には、手っ取り早く「大国」のシステムを取り込む狙いもある。習政権が進める軍の統合運用強化や軍区再編などの機構改革は、米国の「統合参謀本部」制を参考にしているとの見方が強い。
米国内に自らの主張をしみこませようとの試みも本格化させている。米バージニア州に昨年11月開設された「中国米国研究所」。「中国政府から独立した非営利機関」(洪農・執行主任)とされるが、南シナ海の埋め立て問題が先鋭化した今春以降、領有権を主張する中国の立場を英語で発信するのに一役買っている。女性職員は「交流し、宣伝し、誤解を減らす」と話す。
「アジアでの米国とのプレゼンス争いは続くが、今をうまく乗り切れば、地域の新たな安全保障環境を切り開ける」。中国政府関係者の見方は楽観的だ。
だが、来年11月の米大統領選では民主党、共和党のいずれが勝っても、オバマ政権より厳しい対中政策を取るとの見方が強い。その前に「既成事実」を作ろうと、南シナ海で滑走路建設などを加速させる中国の身勝手な行動が、米中関係をいっそう緊張させている。
イラン核問題やアフガニスタン和平、気候変動問題など、両国の歩み寄りが進展につながった「成功例」もある。だが、米外交筋は「習氏の中国とどう向き合うか。米国を含め、世界が正解を見つけられずにいる」と打ち明ける。訪米する習氏の言動に、世界の目が注がれる。
「抗日戦勝利70周年」の軍事パレードは、日本を通り越して、米国に追いつき、追い越す力を誇示するものであったことは衆知のことです。
オバマ大統領が、「世界の警察」を放棄宣言したことで、ロシアのウクライナ侵攻、シリアの生殺しによる自称イスラム国の台頭、中国の南シナ海の暴挙が始まり、第一次大戦前の様な混乱が世界各地で生じています。
世界経済は、高度成長を続け、最近のけん引役だった中国に陰りが生じ、低成長への転換期を迎えた様子です。そこで注目を浴びているのが、アジア市場。
オバマ政権は、フラつきながらも「アジア回帰(リバランス)」に注力し、中国は膝元のアジアへの覇権拡大行動を驀進させています。我が安倍政権も、少子高齢化で縮小する国内市場からアジアや広く世界市場との結合を期して、遅れじと俯瞰外交に注力しています。
市場獲得競争は、第一次世界戦争の様な、植民地争奪合戦をするわけにはいきませんが、軍事力を背景とした力と、資金力をもってする開発援助での争いとなっています。
軍事力を背景として、力で現状変更を進めているのが、中国、ロシア、自称イスラム国。
各地で各国が奮闘していますが、東アジアでは、日米同盟を軸として、ASEANの有志国、豪州(政権交代で新政権については未明)、インドなどと連携が必要となっています。
習近平が目指す、中華民族の偉大な復興の実現、近代以降の中華民族の最も偉大な夢という「中国の夢」。世界制覇。
ますます軋轢は激化しそうですが、日本は、関連諸国との連携を深め、抑止力を高めて、中国の暴走を抑止し、平和を護っていく、アジアの雄国として、各国の期待に応えて行かねばなりません。
# 冒頭の画像は、参議院特別委員会で安保関連法案が可決成立される様子
良識の府が、議論ではなく実力行使の場となり、時間が空費されたのは、対案を出し堂々と論戦に挑まず、感情論戦術に終始した野党の責任が大きいですね。
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