遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

2020年代の日本の安全保障政策 「防衛的防衛」

2019-12-29 01:23:58 | 日本を護ろう
 明治維新で日本の独立を産むきっかけを造ったのは、ペリーの黒船でした。
 そして平成から令和に変わった今、世界は「新冷戦時代」に突入、日本と隣接する東アジアの中国、ロシア、南北朝鮮の国々の、日本への侵略や不法占拠のエスカレートは、それらへの日本の対応の変化を必要とされています。
 米国の核の傘へのおんぶにだっこで平和ボケしている日本に、改革が必要となっていますが、トランプ大統領が、平成・令和の黒船だとは、これまで唱えさせていただいていました。
 防衛大学・神谷万丈教授が、2020年代の日本の安全保障政策について、安全保障学の「防衛的防衛」という考え方を提唱しておらりれます。
 米国第一主義のトランプ大統領の出現をきっかけとした、日米安全保障体制を基軸とした日本の安全保障改革への提言です。
 
【正論】2020年代の「新防衛」発想を 防衛大学校教授・神谷万丈 - 産経ニュース 2019.12.27

 今日、日米同盟は奇妙な状況にある。同盟が「史上かつてなく強固」であるにもかかわらず、日本人の間では同盟の将来に対する不安感が払拭されない。米国との関係をどう規定し直していくのかが、2020年代の日本の安全保障政策にとっての大きな課題となろう。

≪常識が今後も通用するか≫

 世界最強の米国との同盟を基軸にして安全保障政策を進め得たことは、戦後の日本にとっての幸運だった。だが今や
強固な日米同盟の維持が日本の意思だけでは保証されない状況が生じ始めているようにみえる。日本が同盟国として十分な安全保障努力を行う限り、米国が自らの世界戦略上不可欠なこの同盟を弱めるような態度をとるはずはない。それが従来の常識だった。だがトランプ政権の同盟政策をみると、この常識が今後も通用するかどうかは心もとない

 トランプ氏は、米国は世界中の金持ち国の軍を助成しているのにそれらの国々に食いものにされていると言う。彼にとって同盟とは米国が同盟国を守ってやる装置であり、米国主導の国際秩序の維持に同盟が必要だとの発想はない。その結果、彼の同盟政策には他の外交分野同様に不確実性が目立つ。日米同盟だけがその例外だと考えてよい理由はなかろう。

 来年の大統領選挙で民主党が勝ったとしても、米国の同盟政策が「トランプ以前」に戻るとは限らない。
トランプ流の米国第一主義の根底にある、面倒で金のかかる国際問題からできるだけ手を引きたいという発想には、米国国民の多くが共感しているからだ。

 
米国の同盟政策に不確実性が増しているとすれば、日本の安全保障政策は日米同盟基軸を唱えるだけではもはや十分ではない。米国による日本の好まぬ政策転換に備える必要があるからだ。そのためには、日本は安全保障面での米国への依存度を下げる必要がある

 だが、それが同盟を傷つけることは避けねばならない。中国の台頭やロシアの復活が著しい今日、基本的な価値や理念を共有する世界最強の国と肩を組み続けることは、日本にとっての最善シナリオだからだ。だが、
強い同盟を維持しつつ対米依存度を下げるのは容易ではない。そのためには、少なくとも二つのことが必要だ。

≪基地共同使用の推進を≫

 
一つは、米国の日本防衛への関与を繋(つな)ぎとめるための手を打つことだ。非介入主義的傾向を強めた米国が日本有事の際の行動をしぶるという悪夢を防ぐためには、米国が日本を防衛せざるを得ない状態を作り出すべきだ。そのために考えられるのが、自衛隊と在日米軍による基地共同使用の推進だ。

 基地の共同使用が進めば自衛隊への攻撃は即在日米軍への攻撃ともなるため米国が反撃しないことは考えられなくなる。しかも基地共同使用で自衛隊と在日米軍の一体化が進めば同盟協力も強化されるので一石二鳥の方策といえる。

 
もう一つは、日本自身の国を守る能力を高めることにより対米依存度を下げることだ。現在の日本の防衛支出は国内総生産(GDP)の0・9%強で、中国の1・9%、韓国の2・6%などと比べて著しく少ない。これを増額すれば、トランプ氏が問題にする日米の防衛負担の非対称を緩和する効果もあるのでやはり一石二鳥だ。

 
その第一歩として、米国の在日米軍駐留経費負担(HNS)の増額要求に対し、防衛費を増やすことで応えてはどうか。トランプ政権は日本に対してHNSの4倍増を求めたと報じられたが、その場合増額は年に約6千億円になる。それを防衛費に回せば、防衛費を約11%押し上げる効果が出る。

≪「防衛的防衛」の考え方≫

 
日本の防衛力の内容についても修正が必要だろう。日米の「盾と矛」という役割分担は再検討すべきではないか。米国の軍事力は世界最強で、日本国民は平和主義の継続を望んでいる。ゆえに日本有事に際して攻勢作戦は米軍中心で行い、自衛隊は主に防勢作戦を担うという分担には合理性がある。だが、日本が矛の能力を持てないという考え方は問題だ。攻撃力を持たない国は自前の抑止力も持てぬ。しかも米国の同盟政策に関する不確実性の増大は、有事に際して米軍が約束通りに攻勢作戦を行うかどうかを以前よりは不確実にしている。日本は敵基地反撃能力としての巡航ミサイル導入をはじめ、一定の攻撃能力を手にすることを検討すべきだろう。

 攻撃力を持つことは専守防衛の放棄を意味しない。
安全保障学には「防衛的防衛」という考え方がある。これは国家が自らを守るには十分だが他国を攻撃するには不十分という武力しか持たないことが平和につながると説くものだ。防衛的防衛は、上の基準内で防衛のための攻撃兵器の保有を否定しない以外は専守防衛とほぼ同じだ。平和学の泰斗(たいと)坂本義和教授はかつて国会の憲法調査会で両者を同一のものとして説明している。

 
日米同盟を維持しつつ対米依存度を下げるには、イノベーティブな発想が求められる。本稿で提起したのは、その一端にすぎない。(かみや またけ)

 「防衛的防衛」とは、国家が自らを守るには十分だが他国を攻撃するには不十分という武力しか持たないことが平和につながると説くものなのだそうです。
 基準内で防衛のための攻撃兵器の保有を否定しない以外は専守防衛とほぼ同じ。
 日米同盟を維持しつつ対米依存度を下げ、核の傘への過度な依存から脱却し、日本が普通の独立国として、日本をとりまく安全保障の変化に対応する策です。

 トランプ流の米国第一主義は、トランプ大統領が独り唱えているものではなく、かつての世界の警察の地位で疲弊しながらも、米国に挑み世界の覇権獲得を目指す中国に対抗する米国。
 米国第一主義は、与野党も国民も一致したものですね。

 中国の東シナ海でのEEZ境界のガス田の攻防から、今や沖縄の尖閣諸島の攻防へエスカレートした日中関係。北方四島を不法占拠し、平和条約締結に向け協議してきたロシアによる、ゼロ島返還への後退姿勢。拉致日本人の帰還の進展もなく、核ミサイル開発を続け、日本列島列島を沈没させると豪語する金王朝の北朝鮮。戦後のどさくさの中、竹島を不法占拠し、反日政策で政権維持を歴代大統領がエスカレートさせている韓国。
 そのいずれものが、緊張を深めこそすれ、改善の見通しがない今日。
 2020年代の日本の安全保障はどうあるべきか。これまでとは異なる改革に迫られています。

 攻撃力を持たない国は自前の抑止力も持てないと、神谷教授。
 世界の常識ですが、日本では憲法前文で、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と宣言し、自前の抑止力ではなく、他国に安全保障を依存している形なのですね。

 9条も含め、そこを見透かして、不法占拠や侵略をエスカレートさせている近隣諸国。
 2020年代、令和の時代の日本の抱える、大きな課題ですね。



 # 冒頭の画像は、ロシアに連行された日本漁船
 



  この花の名前は、セイヨウノコギリソウ


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