遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ベトナムの反中感情は、反政府感情につながる

2011-10-18 00:25:24 | EEZ 全般
 中国、インド、ASEANの関係を、複雑な「三角関係」として特集記事を産経が連載を始めています。
 初回の今日、ベトナムから始まっています。反中感情が相当高く、それは反政府感情にもつがっいるのだそうです。「(ベトナム)戦争があったが、米軍が協力してくれるのであれば、ここに戻ってもらいたい。強い国がついていた方が安心だ」との漁師さんの声も。
 ASEAN諸国との多国間交渉をリードしたり、米印の応援を取り付けたり、中国に対しては近づいたり反発したりの巧みな外交を展開しているベトナム政府は、内に爆弾を抱えている様ですね。
 現地の生の声を交えた記事は、今後の連載の展開が見ものです。
 

【ボーダーレスの三角関係】~中国、インド、ASEAN~(1) (10/17 産経)

ベトナム、高まる反中感情 「やつらの狙いは侵略」

 ベトナム中部ダナン。ベトナム戦争時代、米軍最大の基地が置かれ、ベトナム民主共和国(北ベトナム)が1968年、「テト攻勢」をかけたかつての激戦地は今、“対中国前線基地”のひとつになっていた。
 南シナ海に面したソンチャ半島のティエンサ港の波止場には、大型貨物船やコンテナ、漁船が並ぶ。その一角に、ひっそりと第三海軍区の基地はある。
 ベトナム戦争当時、米海軍が使用していたこの基地は、色あせた黄色のフェンスにさえぎられ、岸壁には幾隻ものグレーの艦船が、いかりを下ろしている。それらと寄り添うように、白い貨物船が横付けされているのが、ふと目にとまった。中国海軍の艦船を監視するための「偽装貨物船」であることが、後で関係者の話で分かった。
 ダナンから、中国の海南島南部の三亜市まで約280キロ。目と鼻の先である。沖合には74年にベトナムとの武力衝突の末、中国が実効支配する西沙(英語名・パラセル)諸島がある。中国海軍の艦船は「偽装漁船」を含め、ベトナム沿岸を北から南下し、南部沿岸まで来ると北上する監視、示威行動を繰り返す。そして、ベトナムの石油・天然ガスの探査活動を妨害し、漁船を拿捕(だほ)、あるいは漁を妨げては追い払う。
 こうした中国の行動に対抗し、ベトナムも「偽装貨物船」や「偽装漁船」を計約100隻保有し、情報収集や警戒監視に振り向けているのだという。民間の船を召し上げ、船長こそ民間人で「本物」だが、他の乗組員は軍人。船は中国のそれより小さく、「衝突すれば負ける」という。
 だが、お互いに偽装していても、海軍だと分かっている。「武力ではかなわず、中国との軍事衝突は避けたい」というのが、ベトナム側の乗組員の本音だという。それは政府も同じだ。

 海軍基地のほぼ対岸には、折から接近中の台風の上陸に備え、数百隻もの漁船が退避していた。13歳のときから海に出ているという漁師(27)に、生活ぶりを聞いた。
 「海南島のそばまで行って、長いときで15日間漁をする。そこが一番、モンゴウイカなどが取れるから」
 年収は多いときで5億ドン(約180万円)。船は10億ドンで買ったから、2年もすれば元は取れる。
 「
中国の漁師との間では、漁場は『共有』になっている。怖いのは中国海軍の船だ。空砲で威嚇され、網を切られた。やつらは邪魔だ。やつらの狙いは侵略だ

 別の漁師(57)は「うちの海軍は、そこ(対岸の基地)からちょこっと出てきて、中国の船を撃ちもせず、俺たちや領海を守ることもせずに、すぐ逃げていく」と苦笑いした。
 ダナンの海軍基地には時折、米海軍などの艦船が入港し、沖合では米国、インドなどとの共同訓練や軍事交流が実施されている。米空母ジョージ・ワシントンも姿を現す。ダナンは対中安全保障戦略の拠点でもあるのだ。
 波止場で出くわした男性(40)は言う。
 「(ベトナム)戦争があったが、
米軍が協力してくれるのであれば、ここに戻ってもらいたい
。強い国がついていた方が安心だ」

 ダナンから南へ約500キロのニャチャン。白い砂浜が続くこのリゾート地の沖合には、南沙(英語名・スプラトリー)諸島がある。海岸沿いの道路の中央分離帯には、標語が書かれたバナーが立ち並ぶ。
 「Truong Sa(南沙)を守るために協力しよう」
 海岸沿いのレストランで働く男性(45)は「(南沙諸島は)われわれの島であり、
中国に皆、怒りを感じている」と話す。怒りの矛先はベトナム政府にも向けられた

 「
指導者は中国に弱腰だ。カネをもらっているに違いない
。政府が頭を下げているから、こんな状況になった」
 「反中運動はやらないのか」と聞くと、「この国は(共産党の)一党独裁だから。運動をしたいと思っても政府に逮捕されてしまうのでできない」という答えが返ってきた。首都ハノイではひところ、毎週日曜日に反中デモが繰り広げられていた。今はそれも禁止され、逮捕者が出ている。
 
ベトナム国民の反中感情は想像以上だった。そして、反中感情は反政府意識と結びついている
。政府はそうした国民感情と意識を内に抱え、中国にはうまく立ち回り、味方を増やそうとしている。味方とは超大国の米国であり、新興の大国、インドである。(ダナン 青木伸行)

 中国、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)は、経済分野では協力を深め、相互依存度を強めている。国境を超えたボーダーレスの関係だ。しかし、南シナ海の領有権問題など、安全保障分野では様相を異にする。複雑な「三角関係」の現状を報告する。


 かつて戦争をした米国に支援をいとわない国民。それだけ中国の侵略が著しいということなのですね。偽装漁船は、中国の専売特許かと思いきや、ベトナムも負けず劣らず対抗しているのですね。
 西沙諸島を武力で奪われ、南沙諸島も危機に曝されている厳しい現状にどう対処し、国を護るか。前線で実体験している漁民の声に応える(?)政府は、一党独裁国家の強権を発揮する面も見せながらも、外交の手を尽くしているのですね。
 これまでに外から見ていたベトナムの外交姿勢の揺らぎへの理解が深まった感がしました。

 海からも、空からも攻勢を強められている尖閣を抱える日本。南シナ海の経緯が教訓として注目されていますが、どだけ実行に反映できているのか。グローバルな世論の味方造りを進めているのか。外交で取り残される一方の、親方日の丸の姿勢のぬるま湯感覚の民主党政権(新執行部の自民党も)の日本。
 ベトナムに学ぶところは、少なくないでしょう。

# 冒頭の写真は、尖閣諸島の北50~60キロまで接近した中国海軍のY8情報収集機





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尖閣諸島灯台物語
中国は日本を併合する




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