「韜光養晦(とうこうようかい)」の蓑をかなぐり捨てた習近平の外交が、行きづまりを見せ始めています。その現状を指摘する記事と、そうなるのは、共産党政権だからというのではなく、中国の行動様式は2300年の歴史が規定しているのだと、原因を説く記事とに続けて接しました。
妥協を知らない、高圧的、厚顔無恥な中国政府の姿勢は、2300年の歴史で育まれた、DNAなのですね。
常に高圧的姿勢で国内を統治してきた中国は、外国との交渉でも強硬姿勢を崩さない。なので、18世紀の終わりから19世紀かけてイギリスと対峙し破綻した。今また南シナ海の問題などで米国と対立し始めたが、妥協を知らない中国政府のやり方は、相手が強い時には裏目に出ると。。
なので、小平は「韜光養晦」を強調し、今日の発展の道を拓いたのですが、習近平は、「中国の夢」を追い求め、「韜光養晦」の蓑をかなぐり捨て、「新しいタイプの大国関係」を米国に迫っているのですが、落ち目とは言え大国の米国。自由主義の旗印に連携する諸国の力が加われば、再び破綻の歴史を再現させることになります。
その兆しが、見え隠れし始めた様ですね。
中国外交誤算続き 南シナ海、米、朝鮮半島・・・ (3/9 読売 獅子の計略 '16全人代)
【北京=竹腰雅彦】中国の王毅外相は8日、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)に合わせて記者会見し、「中国は特色のある大国外交の道を歩んでおり、新しいタイプの国際関係の構築を目指す」と述べて、中国主導の新たな国際秩序形成に意欲を示した。だが、習近平政権の対外政策は「失敗と誤算続き」(外交筋)が実情で、仕切り直しを迫られている。
王毅外相は成果強調
「三年有成(3年にして成果あり)」━━。王氏は会見で「論語」の記述を引用し、習政権の大国外交を評価した。だが、実際の対外環境は「南シナ海、対米、朝鮮半島の三方面で揺さぶりを受けている」(複数の中国筋)のが現状だ。
王氏は、中国が南シナ海で進めている軍事拠点化について、「自衛権の行使に過ぎない」と改めて正当化した。だが、習国家主席は昨年の訪米で「軍事拠点化の意図はない」と発言しており、関係国から「言行不一致」を追及される事態となっている。その発言は「軍内で不満が出るなど内部でも一時的に問題化した」(中国筋)とされる。
中国政府は、戦闘機や地対空ミサイル配備、レーダー施設建設などについて「軍事化には当たらない」(外務省報道官)と苦しい釈明を強いられている。一連の強引な海洋進出は東南アジア諸国連合(ASEAN)でも警戒を呼び、インドネシア、マレーシアとの良好だった関係に影を落とし始めているとの指摘もある。
昨年の外交で最も重視された習氏の訪米では、特に南シナ海問題で米中の立場の違いが際立ち、事実上の失敗に終わった。王氏は会見で、米中が対抗、衝突せず共通利益を求めることを意味する「新しいタイプの大国関係」を改めて求めた。だが、政権末期のオバマ大統領との間では関係安定の土台作りは難しく、新政権誕生まで、米中関係は足踏みする可能性がある。
更に、中国の自制要求を無視した北朝鮮の相次ぐ挑発は、日米韓の安保協力進展という誤算を生んだ。韓国は中国の反対を押し切り、米最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」配備の公式協議を開始。王氏は「我々は半島の安定破壊や中国の安全利益が損なわれることを座視しない」と配備を強くけん制した。日米韓協力にくさびを打ち込む従来の外交戦術は、大幅な見画しを迫られている。
このほか、対台湾関係も、5月に独立志向の強い民進党の蔡英文(ツァイインウェン)政権が発足することで、難しいかじ取りを迫られる。新秩序構築戦略の柱である「一帯一路」構想も中国経済の減速で、軌道に乗るかは予断を許さない状況で、習政権の課題は山積している。
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記者会見の要旨
【日中関係】日本の政府と指導者は関係改善が必要と言う一方で中国と面倒を引き起こそうとしている。裏表のある人のやり方だ。日本の為政者は中国を友人やパートナーと見るのか、敵やライバルと見るのか。日本側は真剣に考えるべきだ。
【北朝鮮】制裁は必要な手段だが、安定の維持が急務で、交渉が根本の道だ。我々は半島の安定が破壊され、中国の安全利益が損なわれることを座視しない。制裁や圧力への妄信は半島
の末来に対して無責任だ.
【南シナ海】自らの島嶼(とうしょ)に防御施設を建設することは自衛権の行使に過ぎない。中国は、南シナ海に最も早く、最も多くの兵器を配備し、最も頻繋に軍事活動をしている国ではない。「軍事化」という帽子は中国がかぶるのではなく、もっとふさわしい国がある。
【米中関係】「新しいタイプの大国関係」構築は双方の長期的利益に合致する。指導者が交代しても、米国が正しい道に沿って中国と共に歩むことを希望する。
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【北京=竹腰雅彦】中国の王毅外相は8日、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)に合わせて記者会見し、「中国は特色のある大国外交の道を歩んでおり、新しいタイプの国際関係の構築を目指す」と述べて、中国主導の新たな国際秩序形成に意欲を示した。だが、習近平政権の対外政策は「失敗と誤算続き」(外交筋)が実情で、仕切り直しを迫られている。
王毅外相は成果強調
「三年有成(3年にして成果あり)」━━。王氏は会見で「論語」の記述を引用し、習政権の大国外交を評価した。だが、実際の対外環境は「南シナ海、対米、朝鮮半島の三方面で揺さぶりを受けている」(複数の中国筋)のが現状だ。
王氏は、中国が南シナ海で進めている軍事拠点化について、「自衛権の行使に過ぎない」と改めて正当化した。だが、習国家主席は昨年の訪米で「軍事拠点化の意図はない」と発言しており、関係国から「言行不一致」を追及される事態となっている。その発言は「軍内で不満が出るなど内部でも一時的に問題化した」(中国筋)とされる。
中国政府は、戦闘機や地対空ミサイル配備、レーダー施設建設などについて「軍事化には当たらない」(外務省報道官)と苦しい釈明を強いられている。一連の強引な海洋進出は東南アジア諸国連合(ASEAN)でも警戒を呼び、インドネシア、マレーシアとの良好だった関係に影を落とし始めているとの指摘もある。
昨年の外交で最も重視された習氏の訪米では、特に南シナ海問題で米中の立場の違いが際立ち、事実上の失敗に終わった。王氏は会見で、米中が対抗、衝突せず共通利益を求めることを意味する「新しいタイプの大国関係」を改めて求めた。だが、政権末期のオバマ大統領との間では関係安定の土台作りは難しく、新政権誕生まで、米中関係は足踏みする可能性がある。
更に、中国の自制要求を無視した北朝鮮の相次ぐ挑発は、日米韓の安保協力進展という誤算を生んだ。韓国は中国の反対を押し切り、米最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」配備の公式協議を開始。王氏は「我々は半島の安定破壊や中国の安全利益が損なわれることを座視しない」と配備を強くけん制した。日米韓協力にくさびを打ち込む従来の外交戦術は、大幅な見画しを迫られている。
このほか、対台湾関係も、5月に独立志向の強い民進党の蔡英文(ツァイインウェン)政権が発足することで、難しいかじ取りを迫られる。新秩序構築戦略の柱である「一帯一路」構想も中国経済の減速で、軌道に乗るかは予断を許さない状況で、習政権の課題は山積している。
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記者会見の要旨
【日中関係】日本の政府と指導者は関係改善が必要と言う一方で中国と面倒を引き起こそうとしている。裏表のある人のやり方だ。日本の為政者は中国を友人やパートナーと見るのか、敵やライバルと見るのか。日本側は真剣に考えるべきだ。
【北朝鮮】制裁は必要な手段だが、安定の維持が急務で、交渉が根本の道だ。我々は半島の安定が破壊され、中国の安全利益が損なわれることを座視しない。制裁や圧力への妄信は半島
の末来に対して無責任だ.
【南シナ海】自らの島嶼(とうしょ)に防御施設を建設することは自衛権の行使に過ぎない。中国は、南シナ海に最も早く、最も多くの兵器を配備し、最も頻繋に軍事活動をしている国ではない。「軍事化」という帽子は中国がかぶるのではなく、もっとふさわしい国がある。
【米中関係】「新しいタイプの大国関係」構築は双方の長期的利益に合致する。指導者が交代しても、米国が正しい道に沿って中国と共に歩むことを希望する。
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経済の減速で、国内の格差問題など、独裁政権の存続の危機が露呈化しかねない中、日中首脳会談の再会で、日本の投資を仰ぐ為か、歩み寄り姿勢の兆を見せ始めていましたが、今回の王毅外相の会見は、日本に喧嘩を売る強がりの姿勢です。それだけ、内情が苦しい証なのですね。
こうした、高圧的、厚顔無恥な外交姿勢の行動様式は2300年の歴史が規定している。それを考えれば、中国が世界を支配できないことは明らかであろう。妥協を知らない強硬な態度を貫けば必ず失敗する。織田信長ではないが、“高ころび“するに決まっている。と指摘するのは、東京大学大学院農学生命科学研究科の川島博之准教授
引くことをまったく知らない中国の残念な行く末 食料生産の歴史から見た中国政府の“気質”とは | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.3.8(火) 川島 博之
個々の中国人はそれほど悪い人ではない。付き合いやすい人も多い。中国人を友人として持つ人も多いだろう。しかし、中国政府を見るとその発言や行動は途端におかしくなる。
自分に都合のよい理由だけを並べ立てて非を認めない。一度言い出したら絶対に譲らない。現在、南シナ海で生じていることを思い浮かべれば、その異常さはすぐに納得できる。個人はよいのだが、政府となると極めて付き合い難い相手に変身する。
なぜ、こんなことになるのだろう。不思議に思う人も多いはずだ。ちょっと穿った見方になるかも知れないが、筆者が専門とする食料生産の観点からこのことを考えてみたい。
■中国の特異性
人類が食料を生産する方法は大きく3つに分類できる。遊牧、畑作、コメ作である。日本はコメ作の国である。一方、モンゴルなど中央アジアの国々は遊牧によって食料を生産してきた。南ヨーロッパでは畑作が盛んだった。一方、寒冷で畑作だけでは十分な食料を確保できなかった北ヨーロッパでは、畑作と遊牧がまじりあった有畜農業が発達した。
中国には2つの食料生産方式が併存する。黄河流域を中心とした華北は畑作。長江流域を中心とした華南はコメ作。インドでもガンジス川流域と南部の東側がコメ作、その他は畑作と2つのタイプの農業行われている。
だが、インドがその歴史において現在のような1つの国であったことはない。常にいくつかの国に分かれていた。そのような目で見ると、長い歴史を持つ国で、同じ国の中に2つのタイプの農業が存在したのは中国だけである。
中国の政権は常に北にあった。主な王朝の都は、秦が咸陽、前漢と唐は長安、北宋は開封、明(当初は南京)、清、中華人民共和国は北京である。全て黄河流域。長江流域に都を置いたのは南宋(臨安)、中華民国(南京)だが、そのいずれも弱い政府であり、短期間で滅びた。
中国を統治する王朝は黄河流域に都を置く。第1には中国の北には遊牧民が暮らしており、度々その襲撃を受けたからであろう。襲撃を防ぐために万里の長城を作った。都を北に置いて国を守る気概を示さなければ国を保てない。そんな理由もあったと思う。
だが、もっと重要な理由があった。それは「南船北馬」という言葉に言い表されている。北は乾燥しており馬が交通手段になる。一方、南は河川や水路が多いから船での移動。ここで、鉄砲が発明されるまで騎馬軍団が最強の軍隊であったことを忘れてはならない。
中国は西域やモンゴルからやって来る騎馬軍団に苦しんだ。華北に住む人々は度々騎馬軍団と対峙してきた。そのために、自分でも騎馬軍団を操れるようになった。
中国を最初に統一した王朝は秦であるが、秦は当時の中国のテリトリーの西端に位置しており、騎馬戦にもっとも慣れ親しんでいた国であった。畑作地帯に住む人々が騎馬民族の軍事技術を取り入れて強くなった。その結果、中国を統一することができた。
■2300年間、力で支配し続けてきた
畑作地帯に住む人々と水田地帯に住む人々は気質が異なる。水田地帯では水管理が重要になるが、河川から水田に水を引く作業は1人ではできない。村人との協力が必須になる。そして、河川や水路が堀の役割を果たすから外敵に襲われる危険性が少ない。
また水田は生産性が高いから食料に困ることもない。そんなわけで、水田地帯の人々の意識は村の中に集中する。他の地域を征服しようとは思わない。
一法、畑作地帯では水は雨によってもたらされるから、水管理において隣人と協力する必要はない。だから自分勝手が許される。そしてどこまでも地続きだから、突然、馬に乗った軍団が押し寄せてくる可能性がある。また水田に比べて生産性が低いから、食料が不足することも多い。
中国の政権はそんな畑作地帯に作られた。政権を作った人々は南の水田地帯から食料を収奪した。中国ではこのようなことが秦の始皇帝以来2300年間にわたり行われてきた。
同じような食料生産方式を持っている人々なら、少々の違いはあっても、その気質は似ている。だから、率直に内情を語り合って妥協も可能になる。
一方、中国では長い期間にわたって、畑作地帯に拠点を構えた政府が南の水田地帯をあたかも植民地のように扱い、食料を収奪するシステムが続いてきた。そんな中国では、北に作られた政府が一度出した命令を撤回することはない。話し合いによって妥協点を探ることもない。強引に支配するだけである。
これが中国政府の習い性となった。いくら厚顔無恥と言われても、たとえ間違っていても訂正などしない。全ては力によって解決する。「由らしむべし知らしむべからず」に代表される儒教は畑作文化の影響を強く受けている。
■妥協することを知らない
そんな中国である。政府が高圧的、厚顔無恥であることには長い歴史がある。昨日今日始まったことでない。共産党が悪いからあのような態度に出るわけではない。共産党政府が瓦解して新たな政権が出現しても、その政権が力を持てば相変わらず高圧的かつ厚顔無恥な態度を貫くであろう。
中国の行動様式は2300年の歴史が規定している。だから、あれこれ言っても始まらない。中国政府が自分の行動様式を恥じて、そのやり方を改めることはない。隣人である日本はそのつもりで付き合って行くしかない。
常に高圧的姿勢で国内を統治してきた中国は、外国との交渉でも強硬姿勢を崩さない。周辺の小国に朝貢を迫るときはよいが、18世紀の終わりから19世紀かけてイギリスと対峙した時には、高圧的な姿勢を貫いたために失敗してしまった。それは中国の近代化が遅れた理由の1つである。
今また南シナ海の問題などで米国と対立し始めたが、妥協を知らない中国政府のやり方は、相手が強い時には裏目に出る可能性が高い。
巨大な中国を見る時には、一つひとつのことに目くじらを立てて怒るより、より長期的な視野を持つことが大切である。イギリス人は妥協の天才と言われる。だから小さな島国に住みながら世界を制覇することができた。
それを考えれば、中国が世界を支配できないことは明らかであろう。妥協を知らない強硬な態度を貫けば必ず失敗する。織田信長ではないが、“高ころび“するに決まっている。
個々の中国人はそれほど悪い人ではない。付き合いやすい人も多い。中国人を友人として持つ人も多いだろう。しかし、中国政府を見るとその発言や行動は途端におかしくなる。
自分に都合のよい理由だけを並べ立てて非を認めない。一度言い出したら絶対に譲らない。現在、南シナ海で生じていることを思い浮かべれば、その異常さはすぐに納得できる。個人はよいのだが、政府となると極めて付き合い難い相手に変身する。
なぜ、こんなことになるのだろう。不思議に思う人も多いはずだ。ちょっと穿った見方になるかも知れないが、筆者が専門とする食料生産の観点からこのことを考えてみたい。
■中国の特異性
人類が食料を生産する方法は大きく3つに分類できる。遊牧、畑作、コメ作である。日本はコメ作の国である。一方、モンゴルなど中央アジアの国々は遊牧によって食料を生産してきた。南ヨーロッパでは畑作が盛んだった。一方、寒冷で畑作だけでは十分な食料を確保できなかった北ヨーロッパでは、畑作と遊牧がまじりあった有畜農業が発達した。
中国には2つの食料生産方式が併存する。黄河流域を中心とした華北は畑作。長江流域を中心とした華南はコメ作。インドでもガンジス川流域と南部の東側がコメ作、その他は畑作と2つのタイプの農業行われている。
だが、インドがその歴史において現在のような1つの国であったことはない。常にいくつかの国に分かれていた。そのような目で見ると、長い歴史を持つ国で、同じ国の中に2つのタイプの農業が存在したのは中国だけである。
中国の政権は常に北にあった。主な王朝の都は、秦が咸陽、前漢と唐は長安、北宋は開封、明(当初は南京)、清、中華人民共和国は北京である。全て黄河流域。長江流域に都を置いたのは南宋(臨安)、中華民国(南京)だが、そのいずれも弱い政府であり、短期間で滅びた。
中国を統治する王朝は黄河流域に都を置く。第1には中国の北には遊牧民が暮らしており、度々その襲撃を受けたからであろう。襲撃を防ぐために万里の長城を作った。都を北に置いて国を守る気概を示さなければ国を保てない。そんな理由もあったと思う。
だが、もっと重要な理由があった。それは「南船北馬」という言葉に言い表されている。北は乾燥しており馬が交通手段になる。一方、南は河川や水路が多いから船での移動。ここで、鉄砲が発明されるまで騎馬軍団が最強の軍隊であったことを忘れてはならない。
中国は西域やモンゴルからやって来る騎馬軍団に苦しんだ。華北に住む人々は度々騎馬軍団と対峙してきた。そのために、自分でも騎馬軍団を操れるようになった。
中国を最初に統一した王朝は秦であるが、秦は当時の中国のテリトリーの西端に位置しており、騎馬戦にもっとも慣れ親しんでいた国であった。畑作地帯に住む人々が騎馬民族の軍事技術を取り入れて強くなった。その結果、中国を統一することができた。
■2300年間、力で支配し続けてきた
畑作地帯に住む人々と水田地帯に住む人々は気質が異なる。水田地帯では水管理が重要になるが、河川から水田に水を引く作業は1人ではできない。村人との協力が必須になる。そして、河川や水路が堀の役割を果たすから外敵に襲われる危険性が少ない。
また水田は生産性が高いから食料に困ることもない。そんなわけで、水田地帯の人々の意識は村の中に集中する。他の地域を征服しようとは思わない。
一法、畑作地帯では水は雨によってもたらされるから、水管理において隣人と協力する必要はない。だから自分勝手が許される。そしてどこまでも地続きだから、突然、馬に乗った軍団が押し寄せてくる可能性がある。また水田に比べて生産性が低いから、食料が不足することも多い。
中国の政権はそんな畑作地帯に作られた。政権を作った人々は南の水田地帯から食料を収奪した。中国ではこのようなことが秦の始皇帝以来2300年間にわたり行われてきた。
同じような食料生産方式を持っている人々なら、少々の違いはあっても、その気質は似ている。だから、率直に内情を語り合って妥協も可能になる。
一方、中国では長い期間にわたって、畑作地帯に拠点を構えた政府が南の水田地帯をあたかも植民地のように扱い、食料を収奪するシステムが続いてきた。そんな中国では、北に作られた政府が一度出した命令を撤回することはない。話し合いによって妥協点を探ることもない。強引に支配するだけである。
これが中国政府の習い性となった。いくら厚顔無恥と言われても、たとえ間違っていても訂正などしない。全ては力によって解決する。「由らしむべし知らしむべからず」に代表される儒教は畑作文化の影響を強く受けている。
■妥協することを知らない
そんな中国である。政府が高圧的、厚顔無恥であることには長い歴史がある。昨日今日始まったことでない。共産党が悪いからあのような態度に出るわけではない。共産党政府が瓦解して新たな政権が出現しても、その政権が力を持てば相変わらず高圧的かつ厚顔無恥な態度を貫くであろう。
中国の行動様式は2300年の歴史が規定している。だから、あれこれ言っても始まらない。中国政府が自分の行動様式を恥じて、そのやり方を改めることはない。隣人である日本はそのつもりで付き合って行くしかない。
常に高圧的姿勢で国内を統治してきた中国は、外国との交渉でも強硬姿勢を崩さない。周辺の小国に朝貢を迫るときはよいが、18世紀の終わりから19世紀かけてイギリスと対峙した時には、高圧的な姿勢を貫いたために失敗してしまった。それは中国の近代化が遅れた理由の1つである。
今また南シナ海の問題などで米国と対立し始めたが、妥協を知らない中国政府のやり方は、相手が強い時には裏目に出る可能性が高い。
巨大な中国を見る時には、一つひとつのことに目くじらを立てて怒るより、より長期的な視野を持つことが大切である。イギリス人は妥協の天才と言われる。だから小さな島国に住みながら世界を制覇することができた。
それを考えれば、中国が世界を支配できないことは明らかであろう。妥協を知らない強硬な態度を貫けば必ず失敗する。織田信長ではないが、“高ころび“するに決まっている。
おもに日米がもたらした、安価な人件費に依る世界の工場のビジネスモデルと、小平が産み出した、日本などの経済モデルを真似た改革・解放社会主義経済体制で、今日迄の成長を果たしました。
しかし、人件費の高騰、官製(国営)の物まねの製造業の行き詰まりで、経済成長の勢いは減速を始め、バブル崩壊の爆弾を抱えている現状です。
それでも、「中国の夢」を追い求めて、軍拡を進め、札束と、軍事力にものを言わせて覇権拡大にひた走る習近平政権。札束をばら撒く外交で、諸国をひきつけていますが、内需は財政出動で作り出す官製にとどまっている現状。金の切れ目が縁の切れ目となりやすい構造であることは、諸兄がご承知の通りです。
そこへ、2300年の歴史の中で綿々と育まれ続けてきた、中国政府の妥協を知らない、国際ルールを無視した、高圧的、厚顔無恥な外交姿勢。
川島准教授が指摘されるように、世界を支配できないどころか、"高ころび"しかねない兆候が見え始めてきた様ですね。
# 冒頭の画像は、全人代にあわせて記者会見する中国の王毅外相
【中国全人代2016】安倍政権の二面性が「日中関係を阻害」と王毅外相 「敵か友人か」日本に択一迫る - 産経ニュース
この花の名前は、ノコンギク
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