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福島第一原発は、地震と津波の被害に遭い世界規模で危惧を招く史上に残る状況で今なをあえいでいます。
同時に被災した、東北電力の女川や、福島第二、東海第二はなんとか大事故に至るのを凌ぎました。
福島第一の窮状の一日も早い脱出は、世界の願いでもあり望まれますが、女川、福島第二、東海第二との差は何なのかも、今後の原子力発電の評価に向け検証が待たれます。
このうち、女川については別稿で触れました。ここでは、今朝の朝日が、福島第二などとの比較をしていた記事を、備忘のため転載します。
非常設備改修漏れ 福島第一原発、70~80年代 「大規模工事カネかかる」関係者証言 (4/6 朝日朝刊)
東京電力の福島第一原発が津波に襲われた後、被害が拡大した理由に、非常用ディーゼル発電機などの設置場所など安全設計上の問題があった疑いが浮上した。1970年代から第一原発の運転を続ける中で、東電は改良工事など対策を講じることはできなかったのか。
「福島第一原発は、ほかの原発と比べても極端に津波に弱いんです」。原発の安全確保の基本方針を決める原子力安全委員の一人は、事故から復旧の見通しが立たない中で、こう指摘した。
福島第一原発は、国内の商業用原発としては最も古い部類に入り、60年代から70年代にかけて建設された。その後、耐震性などを強化するため、70~80年代にかけて改良工事が行われた。
この工事にかかわった元東電社員の原子力技術者によると、各建屋につながれている電気ケーブルやパイプなどをコンクリートで覆い、岩盤と接するように工夫した工事などが繰り返されたという。ただ、今回、津波の被害を拡大させた疑いがある、非常用ディーゼル発電機の設置場所や、海水ポンプがほぼむき出しの状態で置かれていたことを見直すことについては、この技術者は「検討課題にはなっていなかったと思う」。
この理由について、原子力技術者は「想定した津波の高さで原子炉建屋は安全な位置にあると判断していることがまずあるが、発電機の位置などを変えようとしても、原子炉建屋の中に収納できるようなスペースはなく、設計の大幅な変更につながる。その発想は当時なかった」。海水ポンプを建屋に収容することについても、「様々な配管が下を通っており、これを移設することが必要になり、大きな工事になってしまう」という。また、東電の中堅幹部は、「もし、改修に踏み切ったとしたら、大規模な工事になり、多額のカネがかかる。そもそも福島第一の原子炉の設計図は、ゼネラル・エレクトリック(GE)から東芝などがまるまる買っただけで、設計通りに作ることが当時の至上命題だった」と話した。
この背景には、60~70年代の建設当時、原発先進国・米国の技術を移入し、日本側はそれを学ぶ過程にあったことがある。東電元幹部はこう説明する。「福島第一はGEの設計を東芝と日立製作所が試行錯誤しながら学ぶ練習コースみたいなものだった」
福島第一原発に六つある原子炉のうち、1~5号機はGEが開発をした、「マークー」と呼ばれるタイプの沸騰水型炉。関係者によると、福島第一の非常用発電機の場所や、ポンプの構造は、GEの基本設計の通りだという。一方、6号機からは、原子炉建屋により余裕のある「マークH」が採用され、70年代中ごろから90年代にかけて建設された福島第二と、柏崎刈羽両原発では「マーク皿」の改良炉が主になっている。非常用発電機の位置やポンプを覆う建屋の建設も、東芝や日立製作所が経験を積みながら、次第に改良していった点だ。
だが、後発の原発に盛り込まれた安全設計の進展が、福島第一に活用されることはなかった。原子力技術者は「福島第二などの建設からも何年もたっているわけで、なぜ、福島第一に安全思想をリターンしなかったのかという点は、この大震災があったからこそ悔やまれる。東電は今後、厳しく検証を迫られることになるだろう」と指摘した。
「甘い想定指摘避けたかった」
一方、「日本では大きな原発事故はありえない」という、「安全神話」に頼る意識も影響した。
東日本大震災が起きる前から、想定以上の津波が起きる危険性は指摘されていた。「防波堤をもっと高くできたはずだ」という声は東電社内でも起きている。ただ、東電の中堅幹部がかつての上司に「なぜ改良しなかったのか」と聞いたところ、「後から高くすると、当初の津波対策は甘かったという指摘を受ける。それを避けたかった」ということを言われたという。この中堅幹部は「非常用発電機を原子炉建屋に移すことについても、同じ考えがあったと思う」と話す。
安全確保を目的とした、国の規制も改良を妨げたという指摘もある。原子力安全委員の一人は「日本は非常用発電機一つの位置を変えるにも、複雑な許認可が伴う。そのあたりが硬直化している」と話した。
東芝の幹部は語る。「事故を起こさないための対策に重きが置かれていたのに、今回事故が起こってしまった。原発が落ち着いた段階で、検証しなくてはならない。これまでの発想を考え直さないといけない」
(板橋洋佳、市田隆、小島寛明)
東京電力の福島第一原発が津波に襲われた後、被害が拡大した理由に、非常用ディーゼル発電機などの設置場所など安全設計上の問題があった疑いが浮上した。1970年代から第一原発の運転を続ける中で、東電は改良工事など対策を講じることはできなかったのか。
「福島第一原発は、ほかの原発と比べても極端に津波に弱いんです」。原発の安全確保の基本方針を決める原子力安全委員の一人は、事故から復旧の見通しが立たない中で、こう指摘した。
福島第一原発は、国内の商業用原発としては最も古い部類に入り、60年代から70年代にかけて建設された。その後、耐震性などを強化するため、70~80年代にかけて改良工事が行われた。
この工事にかかわった元東電社員の原子力技術者によると、各建屋につながれている電気ケーブルやパイプなどをコンクリートで覆い、岩盤と接するように工夫した工事などが繰り返されたという。ただ、今回、津波の被害を拡大させた疑いがある、非常用ディーゼル発電機の設置場所や、海水ポンプがほぼむき出しの状態で置かれていたことを見直すことについては、この技術者は「検討課題にはなっていなかったと思う」。
この理由について、原子力技術者は「想定した津波の高さで原子炉建屋は安全な位置にあると判断していることがまずあるが、発電機の位置などを変えようとしても、原子炉建屋の中に収納できるようなスペースはなく、設計の大幅な変更につながる。その発想は当時なかった」。海水ポンプを建屋に収容することについても、「様々な配管が下を通っており、これを移設することが必要になり、大きな工事になってしまう」という。また、東電の中堅幹部は、「もし、改修に踏み切ったとしたら、大規模な工事になり、多額のカネがかかる。そもそも福島第一の原子炉の設計図は、ゼネラル・エレクトリック(GE)から東芝などがまるまる買っただけで、設計通りに作ることが当時の至上命題だった」と話した。
この背景には、60~70年代の建設当時、原発先進国・米国の技術を移入し、日本側はそれを学ぶ過程にあったことがある。東電元幹部はこう説明する。「福島第一はGEの設計を東芝と日立製作所が試行錯誤しながら学ぶ練習コースみたいなものだった」
福島第一原発に六つある原子炉のうち、1~5号機はGEが開発をした、「マークー」と呼ばれるタイプの沸騰水型炉。関係者によると、福島第一の非常用発電機の場所や、ポンプの構造は、GEの基本設計の通りだという。一方、6号機からは、原子炉建屋により余裕のある「マークH」が採用され、70年代中ごろから90年代にかけて建設された福島第二と、柏崎刈羽両原発では「マーク皿」の改良炉が主になっている。非常用発電機の位置やポンプを覆う建屋の建設も、東芝や日立製作所が経験を積みながら、次第に改良していった点だ。
だが、後発の原発に盛り込まれた安全設計の進展が、福島第一に活用されることはなかった。原子力技術者は「福島第二などの建設からも何年もたっているわけで、なぜ、福島第一に安全思想をリターンしなかったのかという点は、この大震災があったからこそ悔やまれる。東電は今後、厳しく検証を迫られることになるだろう」と指摘した。
「甘い想定指摘避けたかった」
一方、「日本では大きな原発事故はありえない」という、「安全神話」に頼る意識も影響した。
東日本大震災が起きる前から、想定以上の津波が起きる危険性は指摘されていた。「防波堤をもっと高くできたはずだ」という声は東電社内でも起きている。ただ、東電の中堅幹部がかつての上司に「なぜ改良しなかったのか」と聞いたところ、「後から高くすると、当初の津波対策は甘かったという指摘を受ける。それを避けたかった」ということを言われたという。この中堅幹部は「非常用発電機を原子炉建屋に移すことについても、同じ考えがあったと思う」と話す。
安全確保を目的とした、国の規制も改良を妨げたという指摘もある。原子力安全委員の一人は「日本は非常用発電機一つの位置を変えるにも、複雑な許認可が伴う。そのあたりが硬直化している」と話した。
東芝の幹部は語る。「事故を起こさないための対策に重きが置かれていたのに、今回事故が起こってしまった。原発が落ち着いた段階で、検証しなくてはならない。これまでの発想を考え直さないといけない」
(板橋洋佳、市田隆、小島寛明)
非常用発電や冷却ポンプの位置が、スリーマイル島の事故以降見直され、福島第一の 6号機、福島第二と順次改良されていたのでした。被災しあえいでいる第一の 1~4号機はコストと面子が理由で改善が放置されていたのです。
安全向上の技術はあったのですが、放置されていたのです。
東海第二は、福島に比べると津波の高さは半分であったとも幸いしたとのことですが、国の耐震指針が改定されたことにより、茨城県が出した「津波浸水想定」に基づき、冷却用海水ポンプを守るための防護壁補強工事をしていたことで、大事に至らなかったのだそうですね。
原子炉を循環水で冷やすのが目標ですね。
漏れ出ている水を処理することは必須ですが、水を除去しても、地震や冠水したECCS関連設備を復旧するには、機器や部品の交換が必要とはどなたでも考えられることです。ならば、別経路での循環水の冷却仮設も同時進行させるという案が、根元に直結しているように素人には思えるのですが、現象の後追いではなく、米仏の支援もうけた先取りの対策の着手が待たれます。
# 冒頭の写真は、福島第二原発です。
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