遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

対米外交で威信を失墜した習近平 国内政権基盤は弱まっていく

2015-11-05 23:58:58 | 中国 全般
 9月下旬の米中首脳会談では、習近平が「新型大国関係構築の米中合意」を掲げましたが、オバマ政権は完全無視の姿勢を貫き、会談は失敗に終わりました。 しかし、中国国内では、「訪米大成功」の嘘が流布され、習近平の「大国指導者」としての威信低下を防いだのだそうです。しかし、米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」の人口島の12カイリ内の航行により、その嘘がバレてしまいました。 「大国の強い指導者」の虚像が崩された今後、習近平政権の基盤は弱まっていき、反腐敗運動で追い詰められている党内派閥が、「倒習運動」を展開してくる可能性がでてきたと指摘するのは、石平氏。
 

「裸の王様」となった習主席 (11/5 産経 【石平のChina Watch】 )

 
先月27日、米海軍のイージス艦が南シナ海の、中国の人工島周辺海域を航行した。中国政府は「中国に対する深刻な政治的挑発だ」と強く反発したが、米軍の画期的な行動は、実は外交面だけでなく、中国の国内政治にも多大なインパクトを与えている。
 話は
9月下旬の米中首脳会談にさかのぼる。この会談が双方にとって大失敗であったことは周知の通りだ。南シナ海問題などに関する米中間の溝はよりいっそう深まり米国の習近平主席への失望感が一気に広がった。
 過去数年間、習主席は米国とのあらゆる外交交渉において自らが提唱する「新型大国関係構築」を売り込もう
としていた。「対立せず、衝突せず」を趣旨とするこのスローガンは「習近平外交」の一枚看板となっているが、訪米前日の人民日報1面では、習主席は米国側との新型大国関係構築を「大いに前進させよう」と意気込んだ。
 しかし訪米の結果は散々であった。習氏が唱える「新型大国関係」に対して
オバマ政権は完全無視の姿勢を貫き、習主席の「片思い」はまったく相手にされなかった


 その時点で習主席の対米外交はすでに失敗に終わっているが、中国政府と官製メディアはその直後からむしろ、「習主席訪米大成功」の宣伝キャンペーンを始めた。
 まずは9月26日、
人民日報が1面から3面までの紙面を費やして首脳会談を大きく取り上げ、49項目の「習主席訪米成果」を羅列して、筆頭に「新型大国関係構築の米中合意」を挙げた。同27日、中央テレビ局は名物番組の「焦点訪談」で「習主席の知恵が米国側の反響を起こし、米中が新型大国関係の継続に合意した」と自賛した。同29日、今度は王毅外相がメディアに登場し「習主席のリーダーシップにより、米中新型大国関係が強化された
」と語った。
 この異様な光景は世界外交史上前代未聞の茶番だった。
米中首脳が「新型大国関係構築」に合意した事実はまったくなかったにもかかわらず、中国政府は公然と捏造(ねつぞう)を行い「訪米大成功」と吹聴していたのである。それはもちろん、ひたすら国内向けのプロパガンダである。習主席訪米失敗の事実を国民の目から覆い隠すためにはそうするしかなかった。「新型大国関係構築」がご破算となったことが国民に知られていれば、習氏のメンツは丸つぶれとなって「大国指導者」としての威信が地に落ちる
からだ。

 まさに習氏の権威失墜を防ぐために、政権下の宣伝機関は「訪米大成功」の嘘を貫いたが、問題は、
米海軍の南シナ海派遣の一件によってこの嘘が一気にばれてしまったことである。オバマ政権が中国に対して「深刻な政治的挑発」を行ったことで、習主席訪米失敗の事実は明々白々なものとなり、米中両国が「新型大国関係構築に合意した」という嘘はつじつまが合わなくなった。しかも、米海軍の「領海侵犯」に対して有効な対抗措置が取れなかった習政権への「弱腰批判」
が広がることも予想できよう。
 今まで、習主席はいわば「大国の強い指導者」を演じてみせることで国民の一部の支持を勝ち取り、党内の権力基盤を固めてきたが、その
虚像が一気に崩れてしまった結果、彼はただの「裸の王様」となった。
 いったん崩れた習主席の威信回復は難しく、今後は政権基盤が弱まっていくだろう。反腐敗運動で追い詰められている党内派閥が習主席の外交上の大失敗に乗じて「倒習運動」を展開
してくる可能性も十分にあろう。

 1962年のキューバ危機の時、敗退を喫した旧ソ連のフルシチョフ書記長はわずか2年後に失脚した。今、米軍の果敢な行動によって窮地に立たされた習政権の余命はいかほどだろうか。


 欧州に対する札束外交で威信回復に努めています。
 
英国の対中偏向 英米のメディアは警鐘 - 遊爺雑記帳

 また、拡大ASEAN国防相会議では、ASEAN諸国に圧力をかけ、共同宣言の採択をさせませんでした。
 

中国、取り込み策が奏功 対話姿勢をアピール (11/5 読売朝刊)

 中国は、「航行の自由」の重要性を強調した共同宣言の採択見送りに成功し、日米主導の対中包囲網の形成を防いだ。周到なASEAN取り込み策が功を奏した
とみられ、引き続き、習近平(シージンピン)国家主席のASEAN諸国歴訪などを通じ、南シナ海問題で主導権を握ろうとしている。

外交攻勢へ
 「宣言の内容は、ASEAN加盟国の共通認識を前提にすべきだが、一部の域外国はこれを顧みず、会議の原則を完全に踏みにじった」。中国国防省は4日、宣言見送りのいきさつについて、日米などを念頭にこう批判した。
 常万全(チャンワンチュエン)国防相は3日夜、会議に先立つカーター米国防長官との会談で、南シナ海の領有権は絶対に譲ることのできない「中国の核心的利益」と位置付け、「いかなる国も『航行の自由』を口実に他国の利益を害することはできない」と述べ、米国の関与をけん制した。
 
中国は今回の会議を見据え、準備を進めてきた。
10月16日に加盟10か国との国防相会議を中国国内で初めて開き、南シナ海での艦艇の偶発的接触に備えた共同訓練実施を提案。合同の海上救難訓練や、海賊・テロ対策での協力強化も打ち出した。直後には南シナ海の「行動規範」策定を巡るASEANとの高官協議を開き、対話促進に積極的な姿勢をアピールした。

 さらに、習氏は5日からベトナムを訪問する。南シナ海の領有権問題で摩擦を抱えるベトナムとの協調姿勢を演出し、当事国が適切に問題を管理しているとの立場を強調するとみられる。中国は、問題が国際的な会議で俎上そじょうにあがるのを避け、相手に圧力をかけやすい2国間で取り扱おうとしているからだ。
 6日にはシンガポールを、中旬にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でフィリピンを、それぞれ訪問する予定で、南シナ海問題をにらんだASEAN外交に集中する構えだ。(北京 竹腰雅彦)

 しかし、虎退治で戦々恐々としていた反習近平勢力が、反攻するきっかけが出来てしまいました。
 国内経済の成長減速の他に、対米外交で失敗した習近平。国内での威信回復に向け、奮闘中ですが、今後の進展に目が離せませんね。
 レームダックの馬英九と会談する習近平。次期総統選で国民党の敗退が判っていながら会談するのは、いまのうちに中台首脳対話の仕組みの実績をのこし、次期総統時代に備えるのが目標と言われていますが、対話をして国民党候補が敗退すれば、国内での威信失落に繋がる可能性があるギャンブルだとの声もあります。リスクを覚悟で賭けに出なくてはならないくらい、追い詰められているということでしょうか。。



 # 冒頭の画像は、ASEAN拡大国防相会議




  この花の名前は、福寿草


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