日本では最近、閣僚3人が更迭され、辞任に追い込まれた。この時に、中国海警局の艦艇がこれ見よがしに領海侵入したのは偶然ではない。
中国政府は、92年に「領海法」を制定して、尖閣諸島を中国領としてきた。中国側では常に尖閣侵奪の機を窺(うかが)っているからであると、下條教授。
石原都知事(当時)と、中山石垣市長とで、尖閣諸島の都有化に向け、民間の所有者からの買い取りに、全国からの寄付を募っていたのに対し、2012年 9月、民主党の野田佳彦政権が横槍を入れ、買い取り、国有化すると、中国側が領海侵入を常態化させたのはそのためだ。中国海警局の艦艇が、歴史的に中国領でもなかった尖閣諸島で傍若無人の振る舞いを続けるのは、日本が付け入る隙を与えてしまったからだと、下條教授。(一部、遊爺追筆)
今回もそれに近いことがあった。松野博一官房長官は25日午後の記者会見で、次のように抗議したとされているからだと、下條教授。
「国際法違反であり、外交ルートで厳重に抗議し、速やかにわが国領海から退去するよう強く求めた」「中国海警局に所属する船舶による接続水域内の航行や領海侵入などが相次いでいることも極めて深刻だ」「中国側に対して冷静かつ毅然(きぜん)と対応していく」
だが中国側にとって、松野氏のこの発言は痛くも痒(かゆ)くもない。
中国側では '12年 9月、国連の一般討論で「日本は尖閣諸島を窃取した」と演説して以来、中国海警局の艦艇が尖閣諸島の周辺海域で航行を続けている。
更に、国際法を無視し、'92年には「領海法」を制定。
にもかかわらず、内閣官房が編纂(へんさん)した尖閣関連のパンフレットでは、「尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しません」とするなど、非現実的な対応をしていると、下條教授。
「台湾有事」=「尖閣有事」が現実味を帯びてくると、国会では、憲法改正や防衛費増額の論議が喧(かまびす)しくなった。この動きは、「領有権の問題はない」とする日本政府とは矛盾する。
'06年 4月29日付の「博訊」(電子版)によると、中国国家海洋局の孫志輝局長は同月、「中国は海上で日本と対峙(たいじ)する能力と決意を持っている」と発言したのだそうですが。その際、孫氏は、竹島問題に対する韓国政府の姿勢を例にして、「一切の代価と犠牲を惜しまない」韓国には、学ぶ必要があると述べているのだそうです。
竹島問題の解決に不作為で臨んだという点では、安倍晋三政権も大同小異であったと、下條教授。
野党から復帰した衆院選の公約には、「竹島の日」を「北方領土の日」と同様に、国が主催する様にするとしていましたが、未だに実現していません。
安倍政権では不特定多数を対象に広報はしたが、なぜ竹島問題を解決できなかったのか。積年の日本外交の悪弊を見ていなかったのであると、下條教授。
それを象徴しているのが、新設した領土問題担当相である。彼らがマスコミに注目されるのは、大臣に就任して「領土・主権展示館」を視察した時か、領土問題に関連して北海道や島根県を訪れた時のみである。そんな大臣に、領土問題の解決を期待する方が無理である、と。
'10年 9月、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した時も、中国側は竹島を侵奪した韓国政府の手法を尖閣侵奪のモデルにした。竹島問題を解決することのできない弊害は、尖閣問題にも及んでいるのであると。
今、国会がなすべきなのは、尖閣諸島は中国領でないという事実を中国側に知らしめることだ。それが国会議員にできないとすれば、それは「尖閣有事」ならぬ「国会有事」であると、下條教授。
尖閣が、日本の実効支配下にあるので、日米安保条約の対象であると、ヒラリー・クリントンコム長官の言質を得たのは、前原外務大臣(当時)。
以後、トランプ政権でも、バイデン政権でも引き継がれています。
海警が実効支配に挑んできているのは、この故なのですね。
国会も勿論ですが、岸田政権が先ず尖閣は日本の領土であることの、国際アピールと、日米の絆を強固にしていただきたい。
# 冒頭の画像は、日本漁船を追尾する「海警」
この花の名前は、イヌザクラ
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中国政府は、92年に「領海法」を制定して、尖閣諸島を中国領としてきた。中国側では常に尖閣侵奪の機を窺(うかが)っているからであると、下條教授。
【竹島を考える】「尖閣有事」ならぬ「国会有事」 憂うべき日本の状況 - 産経ニュース 2022/12/4 東海大・島根県立大客員教授 下條 正男
中国海警局の艦艇4隻が11月25日午前、相次いで尖閣諸島沖の日本の領海内に侵入した。そのうちの1隻は今までにない76ミリ砲を搭載していると報じられた。
一方、日本では最近、閣僚3人が更迭され、辞任に追い込まれた。そのいずれも国会議員としての資質が問われる事案での辞任だった。この時に、中国海警局の艦艇がこれ見よがしに領海侵入したのは偶然ではない。中国政府は1971年12月に尖閣諸島の領有を主張して以来、92年には「領海法」を制定して、尖閣諸島を中国領としてきた。中国側では常に尖閣侵奪の機を窺(うかが)っているからである。
2012年9月、民主党の野田佳彦政権が尖閣諸島を国有化すると、中国側が領海侵入を常態化させたのはそのためだ。中国海警局の艦艇が、歴史的に中国領でもなかった尖閣諸島で傍若無人の振る舞いを続けるのは、日本が付け入る隙を与えてしまったからだ。
■非現実的な対応
今回もそれに近いことがあった。松野博一官房長官は25日午後の記者会見で、次のように抗議したとされているからだ。
「国際法違反であり、外交ルートで厳重に抗議し、速やかにわが国領海から退去するよう強く求めた」「中国海警局に所属する船舶による接続水域内の航行や領海侵入などが相次いでいることも極めて深刻だ」「中国側に対して冷静かつ毅然(きぜん)と対応していく」
だが中国側にとって、松野氏のこの発言は痛くも痒(かゆ)くもない。日本側では尖閣諸島は日本領だと思い込んでいるが、中国側では12年9月、国連の一般討論で「日本は尖閣諸島を窃取した」と演説して以来、中国海警局の艦艇が尖閣諸島の周辺海域で航行を続けているからだ。
にもかかわらず、内閣官房が編纂(へんさん)した尖閣関連のパンフレットでは、「尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しません」とするなど、非現実的な対応をしている。
現に国会では、「尖閣有事」が現実味を帯びてくると、憲法改正や防衛費増額の論議が喧(かまびす)しくなった。この動きは、「領有権の問題はない」とする日本政府とは矛盾する。領有権の問題はないとしながら、憲法改正や防衛費増額を論ずれば、中国側には日本が憲法を改正し、軍事力を増強して中国側に対抗しているようにも映るのである。
それに06年4月29日付の「博訊」(電子版)によると、中国国家海洋局の孫志輝局長は同月、「中国は海上で日本と対峙(たいじ)する能力と決意を持っている」と発言したという。その際、孫氏は、竹島問題に対する韓国政府の姿勢を例にして、「一切の代価と犠牲を惜しまない」韓国には、学ぶ必要があると述べている。
この発言は、05年3月、島根県議会が「竹島の日」条例を制定して、竹島の領土権確立を求めた際のことが念頭にあったのであろう。時の小泉純一郎政権は、条例の成立を阻止しようと島根県議会に圧力をかけたが、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は民族感情を前面に出して、次々と対抗措置をとったからである。
■日本外交の悪弊
竹島問題の解決に不作為で臨んだという点では、安倍晋三政権も大同小異であった。確かに安倍政権は内閣官房に「領土・主権対策企画調整室」を設置して、東京に「領土・主権展示館」を開館した。だがそれは、「国民世論の啓発」と「国際社会に向けた発信の一環」としてで、問題解決のためではなかった。
この安倍政権の対応は、「竹島の領土権確立」を求め、韓国側の主張を検証して論破した島根県とは全く違っていた。安倍政権では不特定多数を対象に広報はしたが、なぜ竹島問題を解決できなかったのか。積年の日本外交の悪弊を見ていなかったのである。
それを象徴しているのが、新設した領土問題担当相である。彼らがマスコミに注目されるのは、大臣に就任して「領土・主権展示館」を視察した時か、領土問題に関連して北海道や島根県を訪れた時のみである。そんな大臣に、領土問題の解決を期待する方が無理である。
10年9月、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した時も、中国側は竹島を侵奪した韓国政府の手法を尖閣侵奪のモデルにした。竹島問題を解決することのできない弊害は、尖閣問題にも及んでいるのである。
■「国際法」に偏重
現時、日本の国会では「尖閣有事」と騒ぎ立て、防衛費の増額を論じ、敵基地攻撃能力の是非を云々(うんぬん)している。
だが残念なことに、「国際法」に偏重する日本政府は、中国側には尖閣諸島の領有権を主張できる歴史的権原がない事実について、十分な論証ができていないのである。この状況で防衛費の増額や敵基地攻撃能力を論ずるのは、中国側に挑発の口実を与えるのに等しい。
今、国会がなすべきなのは、尖閣諸島は中国領でないという事実を中国側に知らしめることだ。それが国会議員にできないとすれば、それは「尖閣有事」ならぬ「国会有事」である。
中国海警局の艦艇4隻が11月25日午前、相次いで尖閣諸島沖の日本の領海内に侵入した。そのうちの1隻は今までにない76ミリ砲を搭載していると報じられた。
一方、日本では最近、閣僚3人が更迭され、辞任に追い込まれた。そのいずれも国会議員としての資質が問われる事案での辞任だった。この時に、中国海警局の艦艇がこれ見よがしに領海侵入したのは偶然ではない。中国政府は1971年12月に尖閣諸島の領有を主張して以来、92年には「領海法」を制定して、尖閣諸島を中国領としてきた。中国側では常に尖閣侵奪の機を窺(うかが)っているからである。
2012年9月、民主党の野田佳彦政権が尖閣諸島を国有化すると、中国側が領海侵入を常態化させたのはそのためだ。中国海警局の艦艇が、歴史的に中国領でもなかった尖閣諸島で傍若無人の振る舞いを続けるのは、日本が付け入る隙を与えてしまったからだ。
■非現実的な対応
今回もそれに近いことがあった。松野博一官房長官は25日午後の記者会見で、次のように抗議したとされているからだ。
「国際法違反であり、外交ルートで厳重に抗議し、速やかにわが国領海から退去するよう強く求めた」「中国海警局に所属する船舶による接続水域内の航行や領海侵入などが相次いでいることも極めて深刻だ」「中国側に対して冷静かつ毅然(きぜん)と対応していく」
だが中国側にとって、松野氏のこの発言は痛くも痒(かゆ)くもない。日本側では尖閣諸島は日本領だと思い込んでいるが、中国側では12年9月、国連の一般討論で「日本は尖閣諸島を窃取した」と演説して以来、中国海警局の艦艇が尖閣諸島の周辺海域で航行を続けているからだ。
にもかかわらず、内閣官房が編纂(へんさん)した尖閣関連のパンフレットでは、「尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しません」とするなど、非現実的な対応をしている。
現に国会では、「尖閣有事」が現実味を帯びてくると、憲法改正や防衛費増額の論議が喧(かまびす)しくなった。この動きは、「領有権の問題はない」とする日本政府とは矛盾する。領有権の問題はないとしながら、憲法改正や防衛費増額を論ずれば、中国側には日本が憲法を改正し、軍事力を増強して中国側に対抗しているようにも映るのである。
それに06年4月29日付の「博訊」(電子版)によると、中国国家海洋局の孫志輝局長は同月、「中国は海上で日本と対峙(たいじ)する能力と決意を持っている」と発言したという。その際、孫氏は、竹島問題に対する韓国政府の姿勢を例にして、「一切の代価と犠牲を惜しまない」韓国には、学ぶ必要があると述べている。
この発言は、05年3月、島根県議会が「竹島の日」条例を制定して、竹島の領土権確立を求めた際のことが念頭にあったのであろう。時の小泉純一郎政権は、条例の成立を阻止しようと島根県議会に圧力をかけたが、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は民族感情を前面に出して、次々と対抗措置をとったからである。
■日本外交の悪弊
竹島問題の解決に不作為で臨んだという点では、安倍晋三政権も大同小異であった。確かに安倍政権は内閣官房に「領土・主権対策企画調整室」を設置して、東京に「領土・主権展示館」を開館した。だがそれは、「国民世論の啓発」と「国際社会に向けた発信の一環」としてで、問題解決のためではなかった。
この安倍政権の対応は、「竹島の領土権確立」を求め、韓国側の主張を検証して論破した島根県とは全く違っていた。安倍政権では不特定多数を対象に広報はしたが、なぜ竹島問題を解決できなかったのか。積年の日本外交の悪弊を見ていなかったのである。
それを象徴しているのが、新設した領土問題担当相である。彼らがマスコミに注目されるのは、大臣に就任して「領土・主権展示館」を視察した時か、領土問題に関連して北海道や島根県を訪れた時のみである。そんな大臣に、領土問題の解決を期待する方が無理である。
10年9月、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した時も、中国側は竹島を侵奪した韓国政府の手法を尖閣侵奪のモデルにした。竹島問題を解決することのできない弊害は、尖閣問題にも及んでいるのである。
■「国際法」に偏重
現時、日本の国会では「尖閣有事」と騒ぎ立て、防衛費の増額を論じ、敵基地攻撃能力の是非を云々(うんぬん)している。
だが残念なことに、「国際法」に偏重する日本政府は、中国側には尖閣諸島の領有権を主張できる歴史的権原がない事実について、十分な論証ができていないのである。この状況で防衛費の増額や敵基地攻撃能力を論ずるのは、中国側に挑発の口実を与えるのに等しい。
今、国会がなすべきなのは、尖閣諸島は中国領でないという事実を中国側に知らしめることだ。それが国会議員にできないとすれば、それは「尖閣有事」ならぬ「国会有事」である。
石原都知事(当時)と、中山石垣市長とで、尖閣諸島の都有化に向け、民間の所有者からの買い取りに、全国からの寄付を募っていたのに対し、2012年 9月、民主党の野田佳彦政権が横槍を入れ、買い取り、国有化すると、中国側が領海侵入を常態化させたのはそのためだ。中国海警局の艦艇が、歴史的に中国領でもなかった尖閣諸島で傍若無人の振る舞いを続けるのは、日本が付け入る隙を与えてしまったからだと、下條教授。(一部、遊爺追筆)
今回もそれに近いことがあった。松野博一官房長官は25日午後の記者会見で、次のように抗議したとされているからだと、下條教授。
「国際法違反であり、外交ルートで厳重に抗議し、速やかにわが国領海から退去するよう強く求めた」「中国海警局に所属する船舶による接続水域内の航行や領海侵入などが相次いでいることも極めて深刻だ」「中国側に対して冷静かつ毅然(きぜん)と対応していく」
だが中国側にとって、松野氏のこの発言は痛くも痒(かゆ)くもない。
中国側では '12年 9月、国連の一般討論で「日本は尖閣諸島を窃取した」と演説して以来、中国海警局の艦艇が尖閣諸島の周辺海域で航行を続けている。
更に、国際法を無視し、'92年には「領海法」を制定。
にもかかわらず、内閣官房が編纂(へんさん)した尖閣関連のパンフレットでは、「尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しません」とするなど、非現実的な対応をしていると、下條教授。
「台湾有事」=「尖閣有事」が現実味を帯びてくると、国会では、憲法改正や防衛費増額の論議が喧(かまびす)しくなった。この動きは、「領有権の問題はない」とする日本政府とは矛盾する。
'06年 4月29日付の「博訊」(電子版)によると、中国国家海洋局の孫志輝局長は同月、「中国は海上で日本と対峙(たいじ)する能力と決意を持っている」と発言したのだそうですが。その際、孫氏は、竹島問題に対する韓国政府の姿勢を例にして、「一切の代価と犠牲を惜しまない」韓国には、学ぶ必要があると述べているのだそうです。
竹島問題の解決に不作為で臨んだという点では、安倍晋三政権も大同小異であったと、下條教授。
野党から復帰した衆院選の公約には、「竹島の日」を「北方領土の日」と同様に、国が主催する様にするとしていましたが、未だに実現していません。
安倍政権では不特定多数を対象に広報はしたが、なぜ竹島問題を解決できなかったのか。積年の日本外交の悪弊を見ていなかったのであると、下條教授。
それを象徴しているのが、新設した領土問題担当相である。彼らがマスコミに注目されるのは、大臣に就任して「領土・主権展示館」を視察した時か、領土問題に関連して北海道や島根県を訪れた時のみである。そんな大臣に、領土問題の解決を期待する方が無理である、と。
'10年 9月、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した時も、中国側は竹島を侵奪した韓国政府の手法を尖閣侵奪のモデルにした。竹島問題を解決することのできない弊害は、尖閣問題にも及んでいるのであると。
今、国会がなすべきなのは、尖閣諸島は中国領でないという事実を中国側に知らしめることだ。それが国会議員にできないとすれば、それは「尖閣有事」ならぬ「国会有事」であると、下條教授。
尖閣が、日本の実効支配下にあるので、日米安保条約の対象であると、ヒラリー・クリントンコム長官の言質を得たのは、前原外務大臣(当時)。
以後、トランプ政権でも、バイデン政権でも引き継がれています。
海警が実効支配に挑んできているのは、この故なのですね。
国会も勿論ですが、岸田政権が先ず尖閣は日本の領土であることの、国際アピールと、日米の絆を強固にしていただきたい。
# 冒頭の画像は、日本漁船を追尾する「海警」
この花の名前は、イヌザクラ
↓よろしかったら、お願いします。
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