Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

シャイニング

2006-07-06 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 1980年/イギリス 監督/スタンリー・キューブリック
「正面アングルのこだわり」


まあまあ、ジャック・ニコルソンの恐ろしさはいわずもがな、なんですけども、特筆すべきは妻役のシェリー・デュバル。この人のこの「ホラー顔」は、何ですか!あまりにもハマりすぎてて、ちょっと笑いが出てしまうほどなんです。しょっぱな登場するシーンで、ワタクシ思わず吹き出してしまいました。この人がムンクの叫びしたら、そりゃ「絵になる」だろうな、と。で。まさにその通りだったわけです。


ね。嫁さんの顔の方が怖いでしょ。

さて、本題。非常に印象的な「絵」が多数頭に残る映画です。エレベーターから血の波が押し寄せるシーン。子供が三輪車でホテルの廊下を走るシーン。双子の姉妹が登場するシーン。フラッシュバックのように鮮烈に蘇ります。まるで自分の目でシャッターを切ったように、頭の中にこびりつきますね。こういうところがキューブリックの絵作りのすごいところです。

とにかく「正面アングル」なんです。廊下の手前から奥を映す。ホテルの玄関から奥を映す。しつこいくらいに真正面。これを見ていると、美術の時間に習った、遠近法の描き方のスケッチを思い出しますね。なぜ、ここまで正面なんだろう。実際、私たちの生活って、景色を真正面からは見ないですよね。遠近法の奥行きに当たる点は、いつも景色の真ん中にはないはず。「見ろ!」と頭を押さえつけられているような奇妙な感覚に陥ります。奇妙な感じというのは、この3人の家族そのものにも言えるんですよね。まず、この夫婦が全然夫婦っぽくない。まったく釣り合わない。そして、超能力を持つ金髪のかわいい息子が、これまた全然この夫婦の子供に見えない。この3人はどう見ても家族に見えません。この居心地の悪さも、変な恐ろしさに結びついているのかも知れないです。

この映画の以前に、エクソシストとかオーメンなどの名作がすでに公開されているのですが、「あの映画のあのシーンはこの映画のパクリなんだ!」と気づくところがいくつもあります。そういう意味でもホラーに「様式美」を持ち込んだ名作と言えるでしょう。

原作者である、スティーブン・キングはこの映画を酷評したらしいです。というのも、原作ではしっかり描かれていた主人公やその家族の人物描写が映画ではごっそり抜け落ちているからとか。確かに、主人公ジャックは、ただ取り憑かれてキレまくってる親父でしかないですからね。でも、あのキューブリックがヒューマニズムとか、親子愛とか映画に持ち込むわけないですよ。そういうのをそぎ落として、ただただ恐ろしくも美しい絵作りに、完璧に打ち込む。これでこそ、キューブリック。それにしてもジャック・ニコルソンは、完全にイッってますよ。だってね、冒頭ホテルに面接にやってきて、椅子に座ったその時からもう目がイッてるんですよ。すでに取り憑かれてる。見てて寒気したもん!いやあ、ホントにすごいな、この人は。


映画ランキングに参加しています。面白かったらポチッと押してね。


幻の光

2006-07-06 | 子育て&自然の生き物
蛍見物に出かけようと、玄関を出たら「お母さん、ほら!」と息子。ふわふわ飛んでいくのが見える。たった一匹だけど、ついつい目で追ってしまう。我が家のすぐ横に流れる用水路のそばで蛍が生まれている。

さて、車に乗って蛍ポイントまで。います、います今日はたくさん。周りに外灯も何もない、本当に真っ暗闇の川辺なので、目線の向こうが「天の川」みたい。とりあえず、だめもとで適当に何度かシャッターを押す。フラッシュたいたり、たかなかったり。で、唯一、なんかこれ、写ってるの?みたいな写真がこれ。<後日、これは蛍ではなく、雨粒と判明。(悲)蛍は難しいよぉ~>


蛍の飛び方は独特で、すいーっ、すいーっと移動する。紙飛行機を飛ばした時に最初はすーっと勢いよく飛び出して、後は風にのってふわぁっとカーブを描くのに似ている。川面に浮かぶ光も好きだけど、周りの木の中から光る感じが私は好き。真っ暗な中、うっそうとした大木のあちこちがふわっ、ふわっと光る様子はすごく幻想的。自然のクリスマスツリーみたいだ。もちろん、あんなに賑やかじゃないけど、厳かに光っている。つい、無口になってしまうんだ。



にほんブログ村 生活ブログへ 
楽しかったらポチッと押してね。やる気が出ます!