Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

私の頭の中の消しゴム

2006-07-17 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★ 2004年/韓国 監督/イ・ジェハン
「ふざけているのか、まじめなのか」


イージーに流してしまう、という部分があちこちに見受けられて、せっかく話にのめり込もうとしているのに、すっと醒めちゃう、その繰り返しになってしまった。主人公二人がとってもいいのに、すごく惜しいなあ。この辺りのツメの甘さが韓流と言えば、そうなんだけど。

まず、アルツハイマーを宣告する医師がコントのお笑い芸人みたいだ。チョルスの師匠とか言うおじいさんも、しかり。なんで、こんなにコントみたいなの?それとも、これが大まじめなの?理解に苦しむ。チョルスを捨てた母親が借金苦で、その肩代わりをしろって、スジンは言うけど、このあたりは、無理矢理主人公を不幸にするためにエピソード追加しましたー!って風に見える。わざわざチョルスを一文無しにさせなくても、愛する女性がアルツハイマーになるって言うだけで十分、悲しいじゃん。なんでもかんでも悲しいエピソードをねじ込まなきゃ気が済まないかね。

チョン・ウソンは野性的でありながらも、ひたむきに愛する男を好演。まさに女が好きな不良タイプ。現場でデキの悪い工事はすぐにぶっ壊すくせに、宮大工としての下積みがあったから木工などの繊細な仕事も上手。妻のいぬ間にキッチンを改装したりして。で、現場スタッフからあれよあれよと建築士、そして独立。うまく行き過ぎー。こんな男がいたらいいよね、を全てぶち込んだキャラクター。チョン・ウソンはよくやったよ。

だけどもね、久しぶりに再会した時スジンの膝からスケッチブックがポトリと落ちて、そこにはチョルスの顔のデッサンが…みたいな、とってつけたようなクサいシーンが鼻につく。何が何でもメロドラマ的演出をしないと気が済まない。その最たる物がラストのコンビニシーン。店員がみんな身内になってるじゃねーか。目の縁に盛り上がった涙がすーっと引いてしまったよ。