Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

コープス・ブライド

2006-07-15 | 外国映画(か行)
★★★★ 2005年/アメリカ 監督/ティム・バートン
「さすがの人形造形」


気持ち悪くて、ゲテモノ趣味な世界をメジャーに押し上げたティム・バートンの功績ってホント大きいと思う。これって、ディズニーなどのキラキラした美しい世界に対してケンカ売ってるようなもんじゃない。世の中にキレイばかりがファンタジーじゃないんだぜって言い続けているその姿勢にあっぱれ。しかも「ダークサイドを描く」っていうのは、アニメなんかでもよくあるけど、オタクな奴だけじゃなくて、子供から女性まで幅広く支持されるようなものを作るところがティム・バートンは偉い。

人形の造形がね、いつもながら非常に面白い。この極端な表現方法が、デザインとして成り立つのは、やっぱり外国人の顔がベースになってるからなのかな、と考えちゃう。だって、ものすごくデッカイ目とか、デッカイ鼻とか、とんでもなく長いアゴ、細くて長い足で、アジアの物語が描ける?一回、中国とか日本の物語に挑戦してくれないかな。

私が気に入ったのは、現実世界を表現するダークな色彩。銀盤写真のイメージ、とスタッフが語っていたが、まさにその通りで非常に奥行きがあって深みのある画面で美しい。滑らかな指の動きなどは、人形を動かしての撮影「ストップモーション・アニメ」とは思えない完成度の高さだ。

一緒に見ていた息子は、ミュージカルシーンには楽しげな反応を示したものの、チャリチョコのような満足感は乏しかった模様。主人公ビクターは、現実世界に疲れていて、自由で楽しげな「死の世界」へ心引かれてゆく。こういった心理は、ちょっと子供には共鳴しにくいものだったのかも。でも、目からウジ虫出してるガイコツ女のコープス・ブライドがとても魅力的だったので、全体的に非常にロマンチックな物語に仕上がっている。ラスト、コープス・ブライドがビクターを身を挺して庇うシーンは、ついうるっとしてしまった。