Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

サマードレス

2006-09-03 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 1996年/フランス 監督/フランソワ・オゾン

「軽やかなゲイの目覚め」



たった15分の短編映画だけども、非常に印象的な作品。「海を見る」みたいにエグいシーンはなく、えらく軽やかな仕上がりですが、「おいおい、なんじゃこれ」とそのキッチュな映像センスにツッコミどころは満載。

のっけから若い男の子が「BANG BANG」という曲に合わせて踊るんです。えんえんと、しかもカメラ目線で。これが、なんか奇妙で面白いんですよ。で、それが「焼け石に水」では4人で一列に並んで踊るってシーンに引き継がれるんですが、そもそも劇中、歌うってのはですね、主人公の気持ちとかを歌にするわけですよね。ただ、これは全く何の脈絡もない状態で歌に突入するんです。それが、ミョーにむずがゆいんだけど、楽しい。

主人公のミックはバカンスのために友人と共に別荘に来ている。ふたりはゲイのカップル。でも、友人はなぜか機嫌が悪いので、ミックは一人で海にいって真っ裸で泳ぎ、そのまま昼寝してしまう。すると一人の女がミックを誘ってそのままセックス。このくだりがね~、実にあっけらかんとしてるんだよ~。はいはい、やりましょね~って感じで。ミックにとっては、女の子とするのは初体験なワケ。

で、浜辺に戻ると洋服が盗まれていて、結局女の子のワンピースを借りて帰ることになる。最初は恥ずかしいんだけど、自転車をこいでる内になんだ気分が高揚してくる。で、別荘に戻ってゲイの彼と晴れ晴れと(またまた)…。

世の中、性の目覚めを描いた映画って結構あるでしょ。古くは「青い体験」とか。でもね、ゲイとして性に目覚めるっていうテーマで、こんなにウキウキした軽やかな描き方って、あんまりないと思うんだよね。要は「僕はする方よりされる方が好きだったんだ!」ってことなんだけど(んまあ~お下劣)、ここまであっけらかんと描かれると、「そうか、スッキリわかって良かったな!」なんて、ぽんぽんと肩を叩きたくなっちまうよ(笑)。ほんと、お下品でキッチュで愉快な作品です。