Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ファイト・クラブ

2006-09-18 | 外国映画(は行)
★★★★☆ 1999年/アメリカ 監督/デビット・フィンチャー
「予想外のラストまで突っ走れ」


ジャックは不眠症のヤング・エグゼクティブ。そんなある日、自宅が謎の爆発事故で全壊し、偶然知り合ったタイラーという男の家に同居することになる。宿泊の条件として自分を殴るように頼むタイラー。殴り合いを続けるうちに見物人が増え、やがてタイラーは素手でケンカすることを目的とする"ファイトクラブ"の設立を宣言する。そしてクラブは組織化され、次第に過激な方向へと進んでいく…。

ジャックは、物質社会にまみれた典型的なヤッピーだ。金はあるけど満たされない。そんなジャックをユーモアいっぱいに皮肉ってみせる。ブランドモノのバッグを買うために体を売る女子高生から、給料のほとんどをつぎ込んで外車を買うサラリーマンまで、日本人だって物欲にまみれている。ジャックはそこらじゅうにいる。だから、タイラーが熱弁をふるう物質社会批判には誰もが惹きつけられる。

また、ジャックが空虚な心を癒すために毎夜いろんな「患者の集まる会」に顔を出すというエピソードもとても興味深い。病気と向き合っている人の中にいると「生を感じる」。人はぬるま湯の中では生きる実感を味わえない。そこでジャックが目覚めたのは、殴り合いによる自己確認という方法だったのだ。

タイラーが、ファイトクラブをしきるその様は、まさに「カリスマ」。生きてる実感をストレートに伝え、体を張って男どもに証明する。演じるのは、ブラッド・ピット。カッコイイね~。最近は不良がすっかり板に付いてる。「ジョー・ブラックをよろしく」の王子様みたいなブラピも好きだったけど、もう年だから無理かな。

ファイトシーンも迫力あるし、映像のテンポもいいし、青みがかった無機質な映像トーンも映画の雰囲気にぴったり。ぐいぐい引っ張りますね。さすが、デビッド・フィンチャー。暴力がテーマでも、女子の私もすっかり楽しめましたよ。そしてラスト30分で謎の男タイラーの正体が暴かれびっくり仰天。素直に騙された私です。(大概、オチが読めずに素直に騙されるいい観客です、ワタクシ)

エンドロール、エドワート・ノートンの役名は、ジャックではなく「ナレーター」。ってことは、ジャックは存在しないの?誰かさんの頭の中の妄想を映像化したってこと?などなど、謎は深まるけど、それもまた良し。オチを頭に入れつつ、もう一回みようかな。