Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

スーパーサイズ・ミー

2006-10-18 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2004年/アメリカ 監督/モーガン・スパーロック
「どうせなら本丸に斬り込まないと」



1日3食、1ヶ月間マクドナルドを食べ続けたらどうなるか。監督自ら身を削っての人体実験。明けても暮れてもマクドナルドのハンバーガー。いやあ、想像しただけでもクラクラするよ。

ファーストフードが体に悪いってことは、みんなわかっている。だから、食べたくなきゃ食べなきゃいいんだ、と街行く人は言う。でも、それじゃあ、タバコは?酒は?ってことになる。特に最近のアメリカの嫌煙活動は個人的にはヒステリック過ぎないかと思う次第。販売時間や購入時間など厳しい処置がなされるタバコや酒と比べると、ファーストフードはあまりにも無制限。むしろ、膨大な広告の投下によって、イメージアップしているのが実情。

監督自身が毎日マックを食べることで、どんどん不健康になっていく様子が非常にリアル。特にお腹のたぷたぷ具合が悲しい。アメリカの肥満率や自分の検診結果など、具体的なデータをふんだんに取り込んでいるので説得力もある。

が、いかんせん、この映画の最大の欠点は、「本丸」マクドナルドに乗り込めなかったことだろう。15回も電話でアポイントを取った様子は出てくるものの、マクドナルドの誰とも接触できずじまい。マイケル・ムーアの作品と比べられることが多いようだが、そこんとこムーアとは大きな開きがある。

それでも、アメリカの食事情と言うのがよくわかる。甘いもので太らせる→ダイエット商品が売れる→健康器具が売れる→スポーツセンターが儲かる、というワケわかんない利益のスパイラルがあって、結局「健康のため」ではなく「誰かが儲かるため」に全ての流通が回っているのがよくわかる。これは何も食品業界だけに限ったことでもない。

それからロビー活動を行う圧力団体。契約している企業のために世論を見張り、企業に不利益な運動や行為に圧力をかけ、企業に有益な法案を通すため活動する組織。劇中ではこの団体に取材もしているけど、もう一押し足りない。裏には、巨大な陰謀と利権の匂いがぷんぷんしているのに。ここでもっと突っ込むと命が危なくなるのかな。それともムーアの二番煎じになっちゃうか。

私が最も驚いたのは、学校給食の取材のシーン。フライドポテトとコークだけなんだよ。それで誰も文句も言わないし、疑問も抱かない。農務省から仕入れた冷凍食品を温めるだけ、なんて給食も出てくる。それがまあ、ほんとに悲惨なんだ。こんな給食でこの後、ちゃんと頭も体も活動できるのか、と心配になる。いやあ、いかに日本の学校給食がすばらしいか、身にしみてよくわかった。手作りにこだわってるし、栄養バランスもカロリーもしっかり考えてるしさ。こんなものしか食べてなかったら、アメリカは滅ぶんじゃないか、と本気で思ってしまった。