★★★★ 1999年/メキシコ 監督/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
「あの彼女役はないよなあ」
熱い、熱いよ。「トラフィック」の時も感じたけど、メキシコの風景および人々の熱情って、日本人から見るとホント異文化に感じる。熱気を感じます。熱風という方が正しいか。今、アメリカやヨーロッパの街並みを見てもなんとも思わないもんね、身近すぎて。
今作は3つの物語が同時進行し、交通事故をきっかけにそれぞれの物語が交錯する。こういう手法の見せ方は、お互いの話がつながるまでちょっとイライラしたりするんだけども、この作品は、最初の物語「兄嫁に恋する男」がとても面白くてぐいぐい引き込まれる。演じるのは、ガエル・ガルシア・ベルナル。兄嫁と逃亡するために闘犬に手を伸ばし、どんどん危ない世界へ足を踏み入れる青年をパワフルに演じてる。まあ、コイツがもの凄く積極的なんだ。で、恋する兄嫁が「なんでこの女なの?」ってくらいイカつい。美人じゃないってのも、それがそれで味なんだな。
アモーレス・ペロスとは「犬のような愛」だって。なるほど、見返りも期待せず、相手を愛して、愛して、愛し抜いた3つの物語。そして、いずれもその愛は報われはしない。ストーリーだけ見れば悲劇なんだけども、見終わった後は気持ちが沈むかと言えばそんなことは全くない。己の愛を全うするために全身全霊で生き抜いた人々の姿は、むしろ潔い。
暴力シーンや出血シーンも多いけれど、眉をひそめるような感情には陥らない。暴力を全肯定はしないが、これらのシーンを通じて人生を全力疾走で駆け抜ける生き様がよりリアルに我々にせまってくる。メキシコの街を走り抜けるようなドキュメンタリー風のカメラワークもかっこいい。
3つの物語が最終的に一つのエピソードに結実するわけではない。観客をあっと言わせるような展開に敢えてせず、突き放すようにそれぞれの物語は終わる。それは、大人だけが味わえるビターな結末。お子ちゃまのワタシは、3つの物語をつなげてあっと言わせて欲しかった、と甘い味を求めてしまうのだった。
「あの彼女役はないよなあ」
熱い、熱いよ。「トラフィック」の時も感じたけど、メキシコの風景および人々の熱情って、日本人から見るとホント異文化に感じる。熱気を感じます。熱風という方が正しいか。今、アメリカやヨーロッパの街並みを見てもなんとも思わないもんね、身近すぎて。
今作は3つの物語が同時進行し、交通事故をきっかけにそれぞれの物語が交錯する。こういう手法の見せ方は、お互いの話がつながるまでちょっとイライラしたりするんだけども、この作品は、最初の物語「兄嫁に恋する男」がとても面白くてぐいぐい引き込まれる。演じるのは、ガエル・ガルシア・ベルナル。兄嫁と逃亡するために闘犬に手を伸ばし、どんどん危ない世界へ足を踏み入れる青年をパワフルに演じてる。まあ、コイツがもの凄く積極的なんだ。で、恋する兄嫁が「なんでこの女なの?」ってくらいイカつい。美人じゃないってのも、それがそれで味なんだな。
アモーレス・ペロスとは「犬のような愛」だって。なるほど、見返りも期待せず、相手を愛して、愛して、愛し抜いた3つの物語。そして、いずれもその愛は報われはしない。ストーリーだけ見れば悲劇なんだけども、見終わった後は気持ちが沈むかと言えばそんなことは全くない。己の愛を全うするために全身全霊で生き抜いた人々の姿は、むしろ潔い。
暴力シーンや出血シーンも多いけれど、眉をひそめるような感情には陥らない。暴力を全肯定はしないが、これらのシーンを通じて人生を全力疾走で駆け抜ける生き様がよりリアルに我々にせまってくる。メキシコの街を走り抜けるようなドキュメンタリー風のカメラワークもかっこいい。
3つの物語が最終的に一つのエピソードに結実するわけではない。観客をあっと言わせるような展開に敢えてせず、突き放すようにそれぞれの物語は終わる。それは、大人だけが味わえるビターな結末。お子ちゃまのワタシは、3つの物語をつなげてあっと言わせて欲しかった、と甘い味を求めてしまうのだった。