Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

バッド・エデュケーション

2006-10-21 | 外国映画(は行)
★★★★ 2004年/スペイン 監督/ペドロ・アルモドバル

「ガエル・ガルシア・ベルナルのクドい女装。この趣味がまさにアルモドバル」



ペドロ・アルモドバル作品は大好き。取り上げるテーマ、目の付け所がとても悪趣味でその趣味の悪さがスクリーンでは鮮やかな映像と個性的な俳優の怪演により、とてもキッチュでオシャレな作品に変身する。キワ物なんだけど、アートだし、文芸作品的。何だかカメレオンのような映画を作る。

ところがこの最新作では、物語が「入れ子構造」になっていて、その手法にこだわりすぎたのか、自分で酔ってしまったのか、いつものアルモドバル節がかなり弱く、拍子抜け。一番したかったのは、ガエル・ガルシア・ベルナルの女装なんて嫌みを言われてもしょうがないかも。

教会の神父による性的虐待というアルモドバルらしい目の付け所なんだけど、今作はネタとして面白かったから取り上げただけとも取られかねない消化不良な扱い方。よくこれで教会から抗議されないなあ。マドンナの十字架パフォーマンスなんかより、よっぽどひどいけど(笑)。前作「トーク・トゥ・ハー」でも非常にきわどいテーマを取り扱ってたけど、ちゃんとけじめをつけてたのに。

そもそもこの映画「入れ子構造」にする理由がわからん。語り口を凝るってことは、ラストにひねりがあったり、サスペンスとしてのオチがあったりするのかと思うがそれもたいして驚くようなものでもない。もっと素直な流れにして、ガエル・ガルシア・ベルナル演じるアンヘルという人物に深みを持たせた方がよほど面白くなったと思う。

ただドキッとさせる、これぞアルモドバル的カットが随所にあって、これが中毒のもと。今回は、ガエル・ガルシア・ベルナルがブリーフを半分ずり下げるカット。まず彼に白いブリーフを履かせるってのがね、アルモドバルでないと思いつかない(笑)。そして、クドい女装。筋肉モリモリのガエルが髪の毛カールして派手なパンプス履いてるんだもん。のけぞります。

今後もアルモドバルには、手法にこだわらず独自の変態道を突き進んで欲しい。最新作はペネロペ・クルス主演とか。アルモドバルの「オール・アバウト・マイ・マザー」で一躍脚光を浴びた彼女が主役になって恩返しってことで、期待も高まる。ハリウッドスターの仲間入りをしたペネロペがどこまでアルモドバル節に付き合っているのか、興味津々である。