Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

インファナル・アフェア

2006-10-27 | 外国映画(あ行)
★★★★★ 2002年/香港 監督/アンドリュー・ラウ

「トニー・レオンのやさぐれ具合がたまんない」




マフィア組員のラウ(アンディ・ラウ)は、香港警察へ入隊し、内部情報を流す潜入員となる。また警察官のヤン(トニー・レオン)は、マフィアの潜入捜査のため、マフィアの一員になる。10年後、ラウは内部調査課長に昇進し、ヤンは、長年の潜入捜査に疲れきっていた。ある夜、大きな麻薬取引の際、組織と警察は互いに情報漏れに気付き、警察はラウに、組織はヤンに、それぞれ内通者を探すよう命じる。やがて2人の距離は、少しづつ縮まっていく…。

前々から見たかった作品。ついに観賞。いやあ、面白かった!ヤクザの一員がもぐりで警察官になってのし上がり、片や警察官が潜入捜査でヤクザに潜り込む。自己を消して組織のために尽くす男同士。役割は同じでも、立場は180度違うふたりの駆け引き。そして、互いの境遇にシンパシーも感じ、敵ながらひかれあう男たち。アンディ・ラウとトニー・レオンの対決はとても見応えありました。

ほんとはマフィアのアンディ・ラウがきりりとしていて、警官のトニー・レオンがやさぐれ男という対比も実にうまく出ている。特にトニー・レオンのしなびれ具合が母性本能をくすぐるなあ(笑)。

麻薬の取引だとか、警察内部調査だとか、物語の伏線となるストーリーは有れども、ここに対した仕掛けやひねりはない。ストーリーは至ってシンプル。それが何より楽しめた原因だと思う。「警官がマフィアになりすまし」「マフィアが警官になりすましている」というエックス構造そのものが引き起こすスリリングな展開のみに集中し、余計なラブストーリーも一切なし。他のことを考えなくていいので、見ていてとてもラク。

また、銃撃戦や爆発、カーチェイスなどのアクションシーンもとても抑えた演出。物語が物語だけに警察の突入シーンや麻薬の駆け引きシーンはもっとドンパチできるはず。でも、敢えてそうしていないのがとてもいい。

演出も、爆発物も、物語も、「てんこ盛りにしない」ことが、これほど見ていて気持ちよいとは。過剰でない分、ふたりの俳優の演技がとても際だっていた。ハリウッド版もバカスカ爆弾飛ばさず男と男の対決をスリリングに描いているものであることを願う。