Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

リンダ・リンダ・リンダ

2006-11-05 | 日本映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2005年/日本 監督/山下敦弘

「文化祭のユルい雰囲気が、ものすごリアル」


ペ・ドゥナのとっぽい雰囲気が見事にこのゆるい感じと融合。独特の雰囲気を作りだしている。適当に探したボーカルを入れて女子高生がバンド練習する、文化祭発表までの3日間を描いているんだけれども、何とかしなきゃ!っていう緊迫感もないし、発表できたときのカタルシスもすごい大きいわけじゃない。そこんところが、逆に今どきの女子高生っぽくって、すんごいリアルなのだ。

もちろん、がんばって練習してるんだよ。夜の学校に集まって、寝不足になって、スタジオも借りて日夜練習してる。だけども、「必死さ」はないんだ。あくまでも、みんなマイペース。その肩の力が抜けまくった演出が、見事に自分の学生時代を思い出させてくれる。ペ・ドゥナが練習室に来ても、他のメンバーがメールしてたりして、なかなか練習が始まらない。だから、教室を出てぶらぶらして帰ってきたら「ソンちゃん、遅いよ~」とかみんなに言われて。やる気あるんだか、ないんだか、よくわかんないこの感じがすごい笑える。で、こういうイベントごとのある時に決まって告白する奴いるんだよな~。

文化祭のセットもスカスカな感じ。クレープ焼いてる教室を廊下から撮ってるシーン。教室内の机や椅子が端に置かれて、がら~んとしている。教室の中も手伝うわけでもなくぶらぶらしている生徒がいる。ほんとにどこかの高校の文化祭にカメラを持ち込んだみたい。

さて、ぶっきらぼうな女子高生、香椎由宇もいいんだけど、何と言っても韓国からの留学生ソンちゃんを演じるペ・ドゥナがいい。美人じゃない分、味わいで、なんて言ったら失礼なんだけど、ほんとに味のある表情を見せてくれる。ハングル語でものすごい頑張って告白してくれる男子生徒に「はあ…」みたいな受け答え。バンドのことでいっぱいいっぱいな感じが出てて面白かった。また、言葉が通じないから、ソンちゃんと他の3人のメンバーは、かなりぎこちない。ぺちゃくちゃしゃべらないし、お互いのことをあまり突っ込んだりしない。ちょっと冷めた関係だ。でも、このあっさり感がまたとってもリアルなんだな~。

夢のシーンの「ギター用の大きな手」と「ピエールさんとラモーンさん」には笑った。しょうもなすぎて笑った。そうそう実行委員会が撮ってるビデオもね、「ああ、あんな感じだったな~」と、ノスタルジー。